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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
教会 –チャーチ–
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恋模様……?

「このクソガキが!!ふざけてんじゃねぇぞ!!今すぐ魂抜いてやろうか、あ"ぁ"!?」


 何をしているかと申しますと、私はただ今正座をしています。そして目の前にいるのは、ハロスです。

 かれこれ3時間ほど正座をしっぱなしです。

 まぁ、それもこれも全て、私が悪いんですけどね。


「ったく……お前が帰って来ないから皆んな心配したんだぞ。魔力はその首輪で感知出来ないし、もともとお前を縛るために作ったモンじゃ無いから誰の魔力とも繋げてなかったし……

 俺が神で、魂の色が見えてなかったらどうなってたことか……

 せめて説明してから出て行け。あいつら、寝ずにお前のことを探し回ってたんだぞ。死者を出す気かよ……」


 ハロスが呆れたような、疲れを滲ませたような溜息を吐く。


 ハロスの言っていることは最もだ。

 私が言ってから出ていれば、ギルドのみんなに迷惑も、心配もかけることは無かったはず。

 前世の記憶が有って、常識もあるはずなのに基本的なことすらしっかり出来なかった。馬鹿みたいに、思いつきだけで行動してしまった。


「ごめんなさい」


「……まぁ、身体の年齢に心が引っ張られてるって言うのは多少なりと有るだろうから、思いつめ過ぎってのも駄目だから」


「はい」


「で?ミーナは、天命の儀を受けるって事で合ってる?しかも明日」


 はい、そうです。そうなのです。ついに明日になってしまいました。

 聖女には絶対になりたくない。バレる可能性がかなり大きい。だから、諦めるしかないのかなって考えたりして。

 でも、やっぱり嫌だから解決策を探したりなんだり、色々して……。


「その事だけど、多分聖女になる可能性は限りなくゼロに等しいよ」


 え?今、聖女認定されない、的なこと言った?なんで、どうして!?

 いや、聖女にならないのはすごく嬉しいんだけど、訳がわからない。説明求む!!


 ハロスの話を聞くと、どうやら彼から貰ったスキル封じの首輪、っていうかもはや形からしてゴツめのチョーカーの効果で外部からのスキル干渉も防げるらしい。

 いや、そんな設定知らないんですけど。


 まぁ、確かに、外からのスキルを封じられなければ簡単に奴隷に逃げられてまうわな。本来の用途としてはそういう効果が有るのは自然か。

 というか、私の使い方が間違っているんだろうし。


「でも、そうなったらそうなったであの人たちは魔王の仕業だの、魔王退治だ、なんだのうるさく言って、余計に面倒になると思いますよ」


 それまで口を閉ざしていたライアーナちゃんが、急に口を挟んだ。

 彼女は、さっきまで、急に乗り込んできたハロスを追い出しもせず、私との会話を静かに聞いていた。というか、お茶を出して、もっとやれ的な雰囲気を出していた。

 怖すぎです。急にやったこと、あなたもキレてたんだって初めて気がつきましたよ。


 でも、確かにライアーナちゃんの言ってることは一理ある。

 だけど、どうしてライアーナちゃんが魔王のことを気にしてるんだろう?普通、魔王は悪!的な考えを持ってるんじゃないの?この世界の人って。

 持ってないの?私の思い込みで、そう思ってない人も普通にいるってこと?


「この世界で、魔王に少しも嫌悪感を抱いていない人間って初めて見た……」


「あ、いや、えっと……あの……なんでもいいじゃないですか!!」


 えっと?

 その反応はどういう事ですか??頬を赤く染めて、まるで恋する乙女のよう……って、まさかライアーナちゃんって!


「もしかして、魔王のこと好きなの?」


「え!?いや、でも……だとしたら…………」


 何か、ブツブツと呟き出したライアーナちゃん。

 しばらくハロスと顔を見合わせていると、意を決したのか私たちの方を見て語り出した。


「一目惚れ、したの。森で迷ったとき、魔物に襲われそうになってもう無理だって思ったら助けてくれたの。森の出口まで一緒に行ってくれてね、その時の笑顔が……ね?」


 同意を求められても知らんがな。

 だってゲームじゃ魔王のスチルは全部仮面が付いてたし。

 にしても、ライアーナちゃんが魔王に一目惚れですか……って、そういえば、ゲームで魔王退治に出かけるときのあらすじに、とある少女が攫われてどうのってあった気が……。

 ということはつまり、攫われた認定された少女はライアーナちゃんだった説浮上しない?しかも、自ら行ったっていう説が。


 もしもそうだったとしたら、世間って狭いんだね!!


「まぁ、好きに種族も性別も関係ないと思うしいいと思うよ」


「ミーナちゃん……」


 なんかウルウルしてる。可愛い。

 これで魔王が惚れなかったとしたら、殺しちゃ……ってそんなことはしちゃダメだから、宙吊りにするくらいはしちゃうかも、なんてね!


「とりあえず、魔王さん?のことは心配しないで!私にいい考えがあるから。打倒魔王への気持ちを高めず、なおかつ誰もが認める方法が」



 そう、考えが有るには有るんだよね。

 ただし、ちょっとどころかかなりヤバイんだけど。


 ……まぁ、魔王が殺されちゃって世界破滅っていうリスクを高めるよりかは、遥かにマシな結果になるんだよね。私が我慢すればの話だけど。


 そういえば、魂の色を見分けて私を探し出したとして、ハロスってどうやって侵入したんだろ??

 まぁ、いっか!!

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