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聖女は物理特化の冒険者を目指す。  作者: 玄峰 峡。
冒険者になって。
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対決です!!

「これより、冒険者・ミーナとカイル・リューターの試合を始める。ルールは戦闘不能となるまで。双方、ルールの付け足しはあるか」


 酒場の地下にある、もう閉鎖された小さな闘技場でバトルはやることになった。閉鎖されたと言っても、小さすぎるって理由だったから設備にはなんら問題はない。


 というか、おっさんが割とガチに審判をしてるよ……

 まぁとにかく、こんなことになったからには全力でやらないと。


「スキル禁止。オート発動系のスキルも切っての、純粋な実力勝負が良い。もちろん、カイルが嫌だって言うならスキルありでも良い」


「オレは構わない。オレからは特にはない」


 自信ありげに私を見つめてる。

 いや、周りを見てみなさい。私が「スキル禁止」って言った段階で周りは私が本気だということを理解している。

 本気で潰しにかかっているということを理解している。


 ぶっちゃけ、この世界の人って冒険者も含めてほぼ全員がスキルに頼っている節があるから、スキルを禁止すると格段に弱くなる。

 Aランクの冒険者がスキル無しでスキル有りのDランク冒険者と戦ったらDランクの方が勝つレベルだ。もちろん、そうならない人もいるけれど。


 つまり何が言いたいかと言うと、普段からスキル無しで戦っている私とカイルとでは慣れが違うってこと。慣れていないってことは、身体を動かせないってこと。


 ただ、そう思って油断するのは禁物だから、それこそ全力で、一撃で潰すつもりでやる。


「双方、用意」


 小さな声で、八咫霧に声をかける。八咫霧はネックレスの形状から黒い刀へと姿を変えて私の右手に収まった。

 刀身も、柄も、何もかもが漆黒の刀を一度振ってから正眼に構えてカイルを見る。


 カイルとの距離はお互いが手を伸ばせば届くほど。1つ深呼吸をして心を落ち着けさせる。


「それでは……始め!!」


「はぁっ!」


 合図とともに振り上げられた剣を刀で受け流しながら立ち位置を入れ替える。


「ガラ空きだっての!」


 流されたことで体勢を崩しているカイルの背中に突き刺す。

 致命傷にならないように肩口を狙ったけど、これでもう痛くて剣は持てないはず!!……って、嘘でしょ!?


 何が起きた、って傷が修復してる。

 チラリとおっさんの方を見ても何も言わないってことはスキルじゃない。となると一体どうやって?


「驚いた?これはこの剣の機能だ。持ち主が傷を負った時、それを癒す効果がある。これはスキルとしてカウントしないだろ!」


 確かにスキルではない!!だけどさぁ、それってアリかよ?だから余裕だったのね……

 そんじょそこらの攻撃じゃ戦闘不能にはならないってわけね。


 やってやろうじゃん、全力で倒す!


「八咫霧、変わって」


 距離を十分に取ってから八咫霧を刀の形から元の、ネックレスの形状に戻ってもらう。

 それでもって突っ込んで来てもらえるのを待つ。

 別に諦めたわけでは断じてない!


「諦めたのか?なら、オレから行く!!」


 ありがとうございます!!

 剣を避けてそのまま一気に詰め寄る。。振り方が大きすぎて、剣筋読みやすいから避けやすい。

 そのまま懐に入って……


「チョッキンチョ!!」


 つい調子に乗って口で擬音、というか効果音?をつけちゃった。


 何をしたかと申しますと、とっても簡単。

 カイルの懐に入った瞬間に八咫霧に超巨大ハサミになってもらって、そのままこう、ザクッと切りました!!


「「「「はあぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」


 え?私、変なことした?

 だって斬りつけるだけじゃダメだったから、もはや切り離して仕舞えば効果の範囲外かなぁ、って思ってやったんだけど。

 私、何か間違ったことしちゃったかな!?


 でも、剣の治癒効果は発動していないっぽいし、正しい攻略方法だったよね!?

 むしろこれ以外に何かあった!?


 確認を取るように周りを見たら、目を逸らされた。

 どうして!?おっさんまで目を逸らしてるし。間違った攻略方法だったのか?何か他に有ったの!?

 しんと静まった闘技場にはかすかに1人の笑い声が聞こえる。


 ……この笑い声は確実にハロスですね。

 今の今まで傍観して、一切口を挟まず、助けてくれなかったのに私のやったことを遠くから見て、楽しそうに笑っていますね。

 後で痛い目に遭って欲しいな。


「……っ勝者、ミーナ!」


 おっさんが思い出したように勝利宣言をしてくれて、周りの冒険者さんたちが慌てて気絶したカイルのそばに寄っていく。


「ミーナちゃん、治してやんなさい」


「……わかった」


 メル婆の気迫に押されて頷いてしまった。

 私が大量のスキル保持者だってのは、初めてメル婆に会った時に鑑定されてバレてるんだよね……

 どうしてあの時、【隠蔽】使ってなかったんだろう……自分を恨むよ。


 でも、今になってそんなこと言っても無意味だし、頷いたからにはやるだけやってみなくちゃ。

 失敗しても誰も文句は言わないよね。


 使うべきは【治癒】かな?でも、切れたものをくっつけるっていう意味だと修復?

 あー、もうよくわかんないからやってみよう!!


「スキル【治癒】、【修復】」


 正解だったのかな?みるみるうちにカイルの腕の怪我が治っていく。

 ただしその後、カイルが目を覚ましてから、さらに厄介になったのは言うまでもない。

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