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第1章裏 異世界の決戦、誰が為に戦うのか

 リメイク基準にするには大分加筆、修正がいるなぁ・・・書き直すとなるとそれもキツいな・・・

 私は椅子に腰掛けた。


 「さて、次はどう出る」


 タマと忠也は囮の討伐に向かった。その間に一気に攻め込んでくるかと思ったが、足音が聞こえない。聞こえるのは風・・・そう言う事か。


 『ザクゥッ!!』


 突然私の体を何かが貫いた。背後から一撃で心臓を捉えられた。油断したな、だが・・・


 「ほぅ、そろそろ報復に来る頃かと思ったが、暗殺で来たか」


 私の背後をとった奴は、どんな者か


 「しかし中々やるな、音を立てずに上からの奇襲。あの国もいい人材がそろってきたな」


 「僕はあの国出身ではありませんよ。あなたに質問があってきただけです。あなたがゼロですか?」


 少年の声だ。そしてあの国出身ではない?そうか、どうりで後ろを取られる訳だ。


 「ゼロ・・・懐かしいな、冷徹の零。昔そう呼ばれていたことがあったな」


 私は少年の質問に答えた。成る程、こいつは私を頼りに来たという事か。


 「じゃあ次に聞きます。なぜあなたはあの国を襲うんですか?」


 「お前も知っているのだろう?私があのバケモノ共をコントロールできることは、私は他と違う。弱者の上に強者が立つのは当然の事だろう?あの愚かな奴らは、私に支配されるべきなのだよ」


 私は次々に投げかけてくる質問に答えてやった。少年よ、そんな事を聞いても無駄だ。


 「僕は日本から来ました。本当の目的を言います。『なぜあなたはバケモノになっていないんですか』これが僕の一番の目的です」

 

 少年のこの質問、凄いな。自力で解き明かしたというのか、あの事実を。


 私は少し興味が沸いた。逆に質問をし返した。


 「日本から来た?それはかわいそうにな。だが何故あいつらの正体が分かった?お前の身の回りに『なってしまった』ものがいるのか?」


 「いや、来たのは僕一人だけです。気付いたのは、あなたが首都にあのバケモノを送り込んだ時です。バケモノは回復し魔法も使う。僕と同じと思いましてね。


 だから仮説を立てた。バケモノは僕のいた世界から来た人間。そして何かの拍子でその人はバケモノになる。あなたはそれを免れる方法を知っている。僕は、どんな拍子でバケモノになるか分からない。だから準備も何もせず飛び出したんですよ。居ても立っても居られないってやつです」


 ハチと戦っただけでそこまで気が付いたというのか・・・正直言って感激した。だかこいつは私と同じだが、こいつは私のように覚醒には至ってないようだ。念には念を、手を打たねばな。


 私は冗談半分で少年を勧誘してみた。もし覚醒した時敵にしておきたくはない。とは言っても無駄だったか。少年は私を軽蔑し、断った。


 さて、交渉は元よりやる気はない。私の支配には邪魔だ。消えてもらおう。私は後ろに溶岩の魔法を放った。


 私は立ち上がった。そして振り返り少年を見た、幼さのある少年だ。だが子供と言うにはかなり落ち着いている。そして手に持つ剣が震えていない。恐怖心がないのか、それとも恐怖を既に乗り越えているのか。だがそれでも、こいつの目は人を殺せる顔ではない事だけは分かる。


 私はもう一つ質問をした。


 「お前は何故ここに来た?あの国にそこまで情を移すようなことでもあったのか?」


 この質問の答え、私の予測を上回る回答が帰って来た。こいつはいたって単純な目的でここに来た。ただ死にたくない。それだけだった。


 面白いな、自分自身の為だけに周りを危険に晒す。普通に考えればあまりに非情だ。だがこいつはそんな事を全く思ってはいない。向こうの奴らを相当信用しているのか、もしくはそう自分に言い聞かせているだけなのか。


 「言うじゃないか。私はてっきり、漫画の主人公みたいに『人々が困っているのなら助けたい』とかいうありきたりな理由で、私に挑んできた愚か者と思っていたが、お前はひねくれ者だな」


 「もとより僕はひねくれ者です。ですけど一割ぐらいはあの国を救ってみたい気持ちはありますけどね」


 「私に勝てると思うか?」


 「さあ?ゲームでもここまでの縛りプレイはしたことないですよ。初見、低レベル、ノーコンティニューなんてね」

  

 この戦いをゲームか、つくづく面白いなこいつ。こいつの目は自分自身の命をないがしろにしている訳でもない、絶対に私に勝つという気迫を感じる。


 「さぁ行くぞ」


 ・


 ・


 ・


 やはり面白い。単純な実力だけならこの私にも匹敵している。いや、私が鈍ってしまったのか。バケモノを集めるのにあまり体を動かしていなかったからな。


 私は心臓を再び貫かれた。こんなド素人にここまでやられるとはな、昔の私なら死んでいたな・・・だが、大分戦いの感覚を思い出してきた。反撃といこうか。


 あいつも私と戦う事で徐々に成長している。そしてあの白い剣は・・・


 ならこの男、仲間にするのも有りか・・・見せてみよう、あの村にこいつを連れて行こう・・・そして分からせる、支配しなければならない理由を・・・


 



 だが、こいつはこの世界の秘密を知っても世界の支配を考える事は無かった。


 その時だった、唸るようなバイクのエンジン音と共に一人の男がここへとやって来た。こいつの顔には見覚えがある。ビーン・ムゥ。そしてこのバイクは、囮として使っていたもの。まさか、あいつ等までやられたのか・・・

 

 コイツがここに来たという事で私は理解できた。タマと忠也は倒された。これはかなり予想外の結果だ。だが問題はない。


 そうか、私一人でも必ずこいつらを倒し、全てを手に入れる。それが私のやるべき事・・・支配こそが正義、どれだけ犠牲を払ってもいい。もう二度と、あの悲劇を生み出さない為に!


 私が一歩踏み出そうと歩き出した。私は歩けない事に気が付いた。冷たい。私はビーンに向かって溶岩を放った。だが、この冷たさは・・・

 

 理解するのに少し時間がかかった。凍らされている。全身を一瞬だ。こんなことが出来るのはルーアンぐらいか?


 私は目線を動かした。そしてこの氷の魔法を放った者の正体が分かった。子供だ、小さな子供・・・そしてもう一つ、あれは昔見た喋る狐。


 偶然というか、運命と言うか、今私はかつての自分が憎い。この子供のこの目ですぐに分かった。そしてあの青緑のような色の髪の中に混ざった真っ赤な髪がそれを更に確信させた。こいつはルーアンとマリリンの子だ。


 そして、この狐・・・あの調印式の日にあいつも始末しておけば、私の障害にはならなかった。


 しかし、悔やんでも仕方ないか・・・ここにいるこいつらを全員倒し、全部終わらせる!!


 私は氷を破り外に出た。私は子のバケモノを呼んだ、流石に全員を一気に一人で相手をするのは面倒くさい。


 まずは、あの狐とあの子供を分けるか。


 先に少年とビーンが攻めた。電撃を纏ったナイフを一気に私に向かって投げた。またあの電撃の魔法か、芸の無い。私はある程度避けるだけにした。避けるのに体力を消耗しても何の意味もない。傷は後で治る。


 私はやってきた子に指示を出した。そしてそのまま子供と狐を襲わせた。


 「本当に子供に容赦しないんですね。恥ずかしくないんですか?」


 「私は、お前と違い子供すら信用できない世界で生きてきたからな。少なくともお前のように、のんきな世界では生きてきてはいない」


 子供と言うのは時に大人の予測出来ないことをする。何かをする前に手を打たなければいけない。


 さて、奴も準備を整えたな・・・


 少年は私に切りかかる。ビーンの槍が電撃を纏いながら振り回し、突き刺さったナイフを避雷針のように使い、電撃を飛ばす。


 「どうしたビーン、腕が衰えたか?」

 

 「どうだろうな!まぁ見てなよ。俺はお前を倒す為に強くなった。今度こそ俺はお前を倒して見せる」


 どこから来るのかその自信は、私は妙に苛立った気分になった。押しているのは私だ。なのになぜこいつは自信たっぷりに私に立ち向かう?


 「はぁぁぁぁあああ!!」


 少年もビーンと呼吸を合わせ、あの剣で攻撃を放つ。魔法も組み合わせ、確かにいい腕をしている。だが、こいつには殺気という殺気があまり感じない。


 ビーンはこの少年になにか期待しているというのか?ビーンの攻撃、さっきから妙な希望というか期待を感じる。本気でこの私を倒せると確信し攻撃を放っている。


 ふざけるなよ、そんな簡単な希望でこの私を倒せるのなら、みんな消えることはなかった。そんな期待で世界が救えるのなら、私が生まれる事も無かった!!


 「くっそがぁ!!」


 私は攻撃の手を更に激しくし、こいつらを追い詰めていく。皆を救えるのはこの私だ。私という恐怖が世界を平和に導く。


 「私の支配が、私の恐怖こそが正義!お前らのその程度の生半可な覚悟でこの私を止められるかぁっ!!」


 「さぁな!少なくとも俺はレイに命を賭けるぐらいの覚悟は出来てるぜ!!」


 「何故だ!何故お前はこいつに希望を見出した!!」


 「それも分かんねぇよ!!だがなゼロ。俺はここにお前を救いに来た。レイは希望だ。あいつは全てを救える。そう信じたからここに来た。見ていなアマナ。レイを舐めんじゃねぇよ!!」


 ビーンは上に飛んだ、そのすぐ後ろだ。少年は風の魔法を剣に纏わせ大きく横に薙いだ。


 「せいやああああああ!!」


 避けきれない、こんな子供の攻撃をもろに受けてしまった。そして感じた、殺気は無い、憎しみも無い。だが、信念を感じた。


 私の体は壁にぶつかり、大きく壁が凹んだ。


 そしてビーンは追い打ちをかけ、私を槍で貫いた。


 「この距離なら外さねぇ。おい知ってるか?俺の鎧は電気を通さないんだぜ?電撃は鎧の表面を通るだけで、俺は無傷だ。消し炭になりな!」


 まさか、こいつ自分ごと!?


 激しい痛みと、苦しさが一気に襲い掛かって来た。意識が消える・・・駄目   だ。死ぬわけには、いかない   必ず、みんなの   もとに!!!!


 「くぅぅうううおおおおおおおおお!!」


 私はいう事を聞かない腕を無理やり動かし、ドスを引き抜いた。


 ・


 ・


 ・


 指が動く、意識が戻って来た。俺は何をしていた?そうだ、死にかけたんだったな。


 この俺が死にかけた?私の中で怒りが燃え広がった。


 「危なかった。あの世が見えるなんて。あと少しで本当に死ぬとこだった。だが残念だったな。私はまだ生きている」


 私は転がっているビーンを蹴飛ばした。なんとか殺せたな・・・だが、なんだこのイライラは。何故こいつは、こうまでして戦った?私への憎しみだけではない。何がこのビーン・ムゥという男を突き動かしたんだ。


 その時だった、私は異様な恐怖が胸に刻まれるのを感じた。殺気だ。この殺気の正体は・・・あの少年だ。


 「私が憎いか?友達を殺されて憎いか?だったらかかってきなよ。あとを追わせてやるからな」


 私は少年を煽った。だが少年は意外な事に少し笑いながら私に質問をぶつけた。


 「ねぇ。僕が今考えていることは何でしょうか?」


 何かが変わった。この少年の中で・・・やはりだ、こいつも憎しみだけで戦っているのではない。私に刺さる殺気も憎しみからじゃない・・・だが分からない。この感覚は、一体なんだ?


 「知らないな、大方現実を受け入れていないってとこだろう、お前の様子を見る限りではな」


 違う、こいつは完全に現実を受け入れている。凄まじい怒りがこいつの中にあるのは確かだ。


 「答えはね、これだよ」


 !?  私は完全に反応が遅れた。あの剣が私を貫き衝撃で吹き飛ばされた。そしてすぐさまあいつの持つ銃から猛烈な烈風が放たれた。風は私を刻み、発生した電撃が体を焼く。


 「ぐぅううああああああ!!」


 私は外まで吹き飛ばされた。


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