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第1章裏 異世界の国王、平和を願い・・・

ここから先は第1章、第2章のネタバレ、物語を知っている前提で話が進行しますので、先にそちらを読むことをお勧めします。これよりも更に読みずらいですけど・・・


ここの物語は、第1章での三上礼とは別の視点での物語になります。ので、一話ごとに主要キャラが変わってきます。


 創歴五百年 四月


 アレックスが普段通りに生活していたある日の事。


 『ジリリリリリリリリン!!』


 黒電話のベルが鳴り響いた。

 

 「私だ」


 『陛下、私です』


 「アンドリューか、どうしたんだい?」


 『陛下、ゼロとレイと言う人物に心当たりは?』

 

 「いや・・・ん?昔スチュワートがゼロがどうこう言っていたな。確かアマナ君の事をそう呼んでいた」


 『!? 彼がゼロだとしたら・・・陛下!今すぐこちらに来れますか!?』


 「どうかしたのかい?」


 「ここの図書館の者がである紙を見つけたんです!!そこにこう書かれている【異世界 ニホン より ゼロ 現る それは 「バケモノ」で 世界を 亡くすもの 後 異世界 ニホン より レイ 現る それは あらゆる魔法で 世界を 救う 勇者 そして 全てを始める者】と」


 「なんだって?異世界?何かの小説か何かじゃないのかそれ?」


 『私もそう思いましたが、妙な感じでしたから連絡したのです。そしたら侵略者の彼がゼロと仰ったので』


 「うーん・・・分かった。今丁度高速鉄道の試験走行を開始している。それで向かおう」


 「ありがとうございます。私の方もこれの解析を進めておきます」


 「頼んだよ」


 私は電話を切り、今日の全ての行事を止めボーダーに向かった。


 ・


 ・


 「陛下!お待ちしておりました」


 「待たせたね。ここまで五時間とちょっとか、大分早くなったね。頑張れば中央からここまで日帰り出来るようにしたいな。ってそんな事はどうでもいいか。話が脱線するところだった。で、例の紙は?」


 私は図書館の奥にある部屋に入った。そこでボロボロの紙を見つけた。


 「これか・・・」


 「はい、ですが誰が書いたのか全く分からないのが現状です。ここの者の一人にここの本を全て読破した者がいるんですが、彼女曰くこんな文章は見た事がないとの事です。そしてこんな設定の話なら、つまらなさすぎて逆に覚えているはずとも言って見えましたよ」


 アンドリューはニッコリと笑った。私も少しだけ鼻で笑った。さて、集中し直すか。私は紙をよく見た。


 「ん?なんかこの文章、最後が変じゃないか?句読点の間に隙間があるような・・・」


 「ですね、書き忘れか何かでしょうか?」


 「いや、違う気がする。アンドリュー、この紙を見つけた彼女はどうやってこの紙をみつけたんだい?」


 「うーん、ここの整理をしていたらなんだか良い匂いがしたからそこに向かったと。それ以外は・・・」


 「良い匂い?ここの近くに飲食店は?」


 「ありますよ?最近人気のドーナツと言うお菓子を売っている店です。そこの匂いにつられただけかと」


 「どんな臭いだと言っていた?」


 「確か甘酸っぱい匂いと、そう言えばあそこのドーナツ屋、新作のオレンジピールチョコのドーナツを作っていましたね。近くに丁度オレンジ畑があるからとか」


 「オレンジ?まさかな・・・アンドリュー、ロウソクはあるか?」


 私はアンドリューに火を持ってくるように言った。可能性は低いが・・・もしかしたら、あぶり出しか?


 「あ、はい。こちらに」


 私は蝋燭に紙を近づけた。するとある文字が浮かび上がった。

 

 「これは・・・アンドリュー、この紙の事は他に誰が知っている?」


 「・・・彼女、かなり言いふらしていたらしいです。今から止めるのは無理でしょう」


 「分かった。だがこの事だけは外に絶対に漏らすなよ?これ以上の混乱は避けたい」


 「はい、だが大丈夫でしょう。逆に考えればいいのです。ここに未来の事が書かれているのならばそれは逆に対策が出来るという事です。この『終わりを』の文字。それを現実にはさせません」


 「そうだね、しかし念には念を。もし、レイと言う人物が現れるようなことがあったらその時は頼んだ」


 「はい、ってはい!?もしレイと言う人物が現れたら殺せと!?」

 

 「そうだ、レイは新たなるゼロだ。そしてそのレイはゼロをも超える。この紙はそう告げているようにしか見えない。ゼロをも超える恐怖。それをこの世界に呼んではいけない」


 「・・・はい、承知致しました」


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 そして一週間が経った。私は中央で王として普段通り仕事をしていた。


 「陛下~?スチュワート様からお電話ですよ~」


 ここの受付の女性が私を呼んだ。


 「分かった繋いでくれ」


 『お~、俺だ。久しぶりか?』


 「そうでもないよ。で、どうしたんだい?」


 『今日、こっちでちと事件が起きてよぉ。ま、被害はほぼねぇけど、主犯がアンドリューでしかも逃げちまった』


 「アンドリューが!?彼は一体何を!?」


 『分かんねぇか?あいつは用心深い。簡単にはしっぽを出すような真似はしねぇ。だが、今日のあいつは浅はかだったなぁ。だからここに来た避難民に事件を解決されるはめになったんだ』


 避難民?まさか、そんな事。あり得ない。


 「スチュワート、避難民が解決したと言ったがその人物の名前は?」


 『え~っと変な名前してたな・・・確かレイ、ミカミレイだ』


 「っ・・・レイだって?スチュワート、その人はどうしている?」


 『おめぇんとこに向かわせる。それはおめぇにとっても好都合だろ?』


 私の元に?スチュワートは一体何を考えている?


 「私にどうしろと?」


 『会って話せ、少しはいいことが聞けるかもしんねぇぜ?なんせ異世界の人物だ。俺ぁあいつを信じれるかんな。訳も分からねぇこの状況で事件を解決し、一人の少女を救った。


 思い出さねぇか?かつて二国が存在していた時、ここからあまり離れていない村にある人物が突然現れた。そこで一人の女性を救い出した。あいつもまた、ここの世界の者ではなかった


 レイ、そしてゼロ。こいつぁめちゃ面白れぇ展開だぜ?どうする?アレックスよぉ』


 私は受話器を下に降ろした。そして考えていた。どうすべきか、これはかなり危険なのかもしれない。あの予言の紙は本当の事を告げている。この電話で確信した。彼はここに来ると言った。手を打つべきだな。


 まずはアンドリューと連絡をとらねば、彼はきっとあの場所にいる。まずは彼を救い出し情報を手に入れよう。そこから手を考える。


 私は受話器を耳元に戻した。


 「・・・分かったスチュワート、話を聞くことにしよう」


 『あ、それともう一つ。その少女も一緒に行くぜ、その子はすんげぇ魔法の使い手だ。きっとおめぇの役に立つ。いいか、絶対に会え』


 少女も?スチュワート、一体私に何をさせたいんだ。既に私のしようとしていることを見越しているのか?


 『聞いてんのかおい?』


 「あ、あぁ。分かったよ」


 スチュワートはイライラ気味の声で私に言った。仕方ない、面会するしかない様だ。会ってから考えよう。アマナ君のようになる前に・・・


 『これでお前も少しは・・・』


 「ん?何か言ったかい?スチュワート」


 『いんや、そうだ。異世界についてちょっと教えてやろうか?レイから少し話を聞いてな・・・』


 スチュワートは何か言いかけたが話を逸らした。一体何を言おうとしたのか・・・それよりもなんだって?超小型の電話?しかも様々な機能が付いているだと?


 少し、いやスチュワートの話にかなり興味が沸いた。ゼロとかレイとか関係ない。その事についてもっと詳しく!


 私は電話越しにメモを取った。




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