愛されてます
監禁された女性目線
私、監禁されてるの。
でも彼のことは嫌いじゃないわ
彼と初めて会ったのは人気のない公園だった。
鞄につけてるストラップが落ちてしまったみたいで、拾ってくれたの。
それで、ありがとうございますって言って終わり。
次はコンビニで、あって声が聞こえて振り向いたら彼だったの。
ストラップの人ってすぐわかったわ。
それで少し話したらとても話が合う人だって分かったから、嬉しくて連絡先を交換したの。
彼はとてもいい人で、仲良くなるまでに時間はかからなかったわ。
どんな話をしても笑顔で聞いてくれるから嬉しくって。
だって、今まで私が好意を持った人たちは皆私の話に疲れた顔をするんだもの。
君の考えは重すぎるって。
男友達と遊びに行った日に偶然彼に会ったことがあるの。
今思えば、あれが偶然だったのかすら怪しく思えてしまうけど。
で、次に彼と会ったときにその話になったから一緒にいた男友達についても話したわ。
それからしばらくして、次に会ったとき彼は珍しく待ち合わせに遅れてきたの。
待たせてごめんねって飲み物を貰ったわ。
喉が渇いてた私がそれを飲んで、気づいたらここにいた。
最初は、こんなことする彼が憎かったし大嫌いだった。
でもね、彼は私に何もしてこなかったの。
それに、私が望んだものは全部用意してくれるのよ。
読みたい本も見たい映画も欲しい洋服も食べたい物も全部。
彼は私に手錠も足枷も何もつけなかったし、何もしなかった。
外に連絡を取るのと、部屋から出るのは許してくれなかったけど、それ以外なら何でも許して貰えたわ。
だから、あまり不満なんてなかった。
それに、私がどんなに拒んでも彼は笑ってそんな君も好きだよって言うだけだもの。
ある日、彼に
「君の全てを愛してる。君が僕を受け入れてくれなくても僕は君だけを愛してあげる。だけどもし良ければ、僕のものになって欲しい」って言われたわ。
そのときにはもう彼を嫌いじゃなかったし、むしろ好きだったから「いいわ、なってあげる」って答えちゃった。
彼は私を初めて抱きしめて耳元で囁いたわ。
「僕は君を傷つけたくないんだ。だから、僕だけのものでいて」
ああ、私たち似た者同士だったのね。
「私もあなたを傷つけたくないわ、だから私だけのものでいて」