さみしい左耳に噛み付く
私は女の子に恋をしている。
幼い頃から仲良くしてきた子に恋をしている。
ずっと一緒に居るから遠慮なんて物はない。
そんな彼女に好きな人が出来たらしい。
無理やり笑顔を作って応援した。
しばらくして、付き合いだしたと報告された。
思考が止まりかけたが、無理やり動かして笑った。
「良かったね! 」
少しも良くない。
あなたが好き。
そんなこと言わないけど。
彼女は右耳にピアスを付け始めた。
彼氏にプレゼントされたと嬉しそうに微笑んでいた。
ちなみに穴は高校に入る前に開けていた。
彼氏は左耳に付けているらしい。
彼女の左耳には何も付いていない。
何も付いていない左耳がなんだかさみしい。
その耳を見ていたら、なんだか悔しくなった。
だって私の方が彼女とずっと一緒に居たし、私の方が彼女のことを知っているのに。
気づかない彼女が憎らしい。
悔しい。憎い。好き。
色んな気持ちがごちゃごちゃになって。
思わず左耳に噛み付いた。
「何するの!? 」
「衝動的に噛んじゃった。ごめん」
「えぇ……。そんな痛くなかったし、いいけどさ……」
「ありがとう」
それでいいのか。
そんなに軽くていいのか。
女の子なんだからもっと危機感を持つべきなんじゃないのかな。
まぁ私が女の子だからかもしれないけどさ。
あぁ、なんかもういいや。
一旦寝よう。
お題箱に届いたお題です。
お題をくれた方、ありがとうございました。