表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

-3-

「リリ、俺の可愛いリリ。どうしたんだ、そんなに目を赤くして」

「もしかして誰かにいじめられたの?お義姉ちゃんがすぐにそいつのこと〆てきてあげるから誰にいじめられたのか教えて」

朝起きて、ご飯を食べようとリビングへ向かったリリのもとへ兄と義姉が飛んできた。

「ううん、なんでもないの。大丈夫」

心配させちゃったのか、悪いことしたな。昨日は結構遅くまで泣いていたからな。

「ねえ、リリ本当に大丈夫なの?」

「うん、ありがとう。お兄ちゃん、お義姉ちゃん」

もうルシウスのことは諦めがついたから大丈夫だよ、とはシスコンの兄夫婦には口が裂けても言えない。

「まあ、リリがそういうなら」



リリはさっそく1週間後の出発に向けて準備を始めた。

両親には早めに伝えなくてはならない。伝えるにはまず都市に出た後の計画を立てなければ・・・


「さてと、うちの村から都市までは馬車に乗せて行ってもらうとして問題はどこに住むかよね」

リリたちの村ではほとんどの人たちが農業を営んでいるため外に働きに行くことがほぼない。都市に行くための馬車だって野菜の出荷の馬車くらいしか出ていないのだ。

そこでリリは都市から嫁に来た酒場のおばさんに話を聞くことにした。酒場といってもこの村では定食屋も兼ねているので昔からよく知っているのだ。


「ねえ、おばさん」

「なんだい、リリちゃん」

「都市ってどんなとこ?」

「都市はこの村よりもずーっと広くて人もたくさんいていろんなお店があるとこだよ」

「宿屋もたくさんあるの?」

「もちろんさ。なんだいリリちゃん、新婚旅行でも行くのかね?」

「ううん、ただ聞いてみただけよ」

酒場のおばさんは、にやにやしながら聞いてきたけど私にはそんな

都市というぐらいだ。それはすごいところなのだろう。人もお店もたくさんあるということは職には困らなそうだ。

今晩にでも両親に話そう、リリは決心した。



夜になり、両親に都市行きを話そうと思ったとき兄夫婦がいつもよりも早い時間に帰宅した。

都市行きはギリギリまで兄夫婦には黙っていようと思っていたリリにとっては最悪のタイミングだった。

「おい、リリ。兄ちゃんはお前を嫁に出すことをやめた。リリ、お前はずっと兄ちゃん達と一緒に暮らすんだよ」

「そうよ、リリちゃん。これからも私たちと一緒に暮らしましょう」

「お兄ちゃん、お義姉ちゃんいきなりどうしたの?」

「「あんなやつなんかにリリ(ちゃん)は渡さない」」

 2人が何を言っているのかリリにはよく分からなかったが私は嫁に出なくてもいいということだけは分かった。

 リリが都市に行く理由は、村に嫁ぎ先がないからだ。兄と義姉がいいというなら、ここにいたい。というか、兄夫婦の中では私が一緒に暮らすことは決定事項なのだろう。

「そっか」



リリの誕生日まで残り1日


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ