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神様遊戯  作者: サスタ・セレンティ
1/1

終わりと始まり


「私の存在理由はあの人がこの世にいるということだけ。あの人を殺すことだけが私の存在理由だった。」

 「死神は魂を狩る存在。そのことを小さな頃から教わって生きてきたはずでしょう」。

「だけれども、私はあの人を殺したくないのです。・・・その理由は分かりません。どうしてもあの人を殺めたくはないのです。」

「死神は人の魂を狩らなければ死んでしまいますよ。それでも貴方は狩りたくはないと?」

「はい」

「それならば、来世では貴方の自由にしてもよいです。しかし、人間としてですが」

「本当ですか!ありがとうございます」

「ですが、今世で魂を狩った場合だけです」

「え?・・・分かりました。」

マントを翻し、足早に歩いていく。その後ろ姿はとてもうれしそうであった。

その瞳に、綺麗な宝石のような涙を浮かべてさえいなければ。

「やはり、愛する者の魂を狩ることに抵抗があるのですね・・・」

死神は皆に等しく死を訪れさせる存在だ。一人だけを贔屓できない。ならば、今世ではなく来世ならば、あの人と幸せに暮らせるはず。



そう思っていた。




「ごめんなさい。愛していました。来世では幸せになりましょう」

やはり愛するものを自らの手で殺めるのは嫌だ。心がどんどん死んでいく気がする。

「別にいいよ。君になら殺されたって幸せなんだから」

あぁ、やっぱりこの人は綺麗だ。私に殺されることさえも幸せだと言ってくれるのだから。

「ありがとう」

そういって、私は愛する人を手にかけた。




 どれぐらいの時間が過ぎたのだろうか?愛する人の亡骸を腕に抱えながら暗い夜道を私は歩いていた。しばらく歩いていると、明かりが目に入った。教会だ。

「教会か・・・結婚式を挙げようと約束していたんだっけな。」

気づいたら足が勝手に動いていた。愛する人のいないこの世界で私はなぜ生きているのだろう?そういえば、神様は言っていたな。

「来世では自由にしてもよい」

と。死神に来世など来るのだろうか?なぜ、気づかなったのだろうか。

死神は、神様が自ら手を下すか、死神の鎌で殺されなければ死ねないのだ。か

なんてことだ、気づいてしまった。だがもう遅い。来世なんて来ないことに。

神は彼にだけ来世を生きさせるつもりだったのだと。

「あぁ!こんなことにも気づかないなんて!」

絶望に浸っていた。その時だ。ふと、視界の端に光るものを見つけた。

「・・・これがあったじゃないか。」

自分が使っていた鎌だ。愛するものを殺めた鎌だった。

「私もすぐに追いかけるよ。そしたら、もう離れないでくれるよね?」

だから先に待ってて。きっとどこにいても、見つけるから。

「さぁ、神様!私は約束を果たしました!今度は約束を果たしてください!」

貴方が私に出した【愛する者の魂を狩る】という約束が終わった。

「さようなら。私が愛した人が愛した世界。そして私が愛した人がいない世界」

そうして私は、自分の生をこの世から切り放した。






あぁ、やっとだ。やっと幸せになれるのだ。今世で果たせなった貴方との約束を来世では必ず果たすから。だから待ってて。私が貴方を見つけるまで。






 

「神様。シェヘル・ドリマーフェが自ら命を絶ちました。」

キリッした雰囲気の男性が言葉を発した。

「そうですか。・・・シェヘル一人でしたか?」

神は男性に尋ねた。なぜそのようなことを聞くのかとでも言いたそうな顔で質問に答える。

「いいえ。傍らにはシェヘル・ドリマーフェが担当していた男性の亡骸がありました」

その言葉を聞いて、神は満足した笑みを浮かべながら椅子に腰かけた。

「ありがとう。もう下がってよいですよ。」

少しばかり困惑した様子で男性はその場を去った。

男性がその場を去った後、神は考えた。やはり、シェヘルは耐えられず自害してしまったか。

しかし、シェヘルは約束を果たした。神として約束を破るわけにはいかない。

「仕方ありませんね・・・約束は守りましょうか。」

神は重たい腰を持ち上げ、先程の男性とは反対の方向に向かった。


「すみませんが、とあることを頼みたいのです。よろしいでしょうか?」

神が訪れた場所は、来世や今世でどのように生きるかなどを決める場所であった。

「はい、大丈夫ですがなにようでしょう?」

にこり。持ち場を担当している者たちに尋ねた。

「はい。実は・・・・・・・・・・・・・。」

                                

                            神様遊戯 第一話



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