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属性値

「いやぁ、マジで驚いたぜ……。まあ、ホムラが普通の人間とは思ってはいなかったけどよ。まさか、あの《者の力パーソナル》使いだったなんてな」


 僕がゼペットに話した内容。

 僕が女神により異世界から召喚された人間ということ。

 そして今現在、《亡者》の力を得ている《者の力パーソナル》使いだということ。


 女神をすでに殺したことや、同じく召喚されたクラスメイトらを殺すという目的については黙っておいた。

 

「前に見せてもらった、あの『溶かす力』も能力のうちの一つだったわけだな。今は事情があって使えないっつう話だが、でもよ、ホムラ。お前さん《亡者》っつうことは、《冥王》を倒さなきゃいけねぇってことだろ?」


「はい。なのでゼペットさんに相談というのは、そのことなんです」


 淹れてもらったお茶を飲み干し、僕は先を続ける。


「まずはこれを見てもらえますか?」


 椅子から立ち上がり、少しだけゼペットと距離を置く。

 そして意識を右手に集中し、能力を発動した。


 瞬時に僕の手に大きな黒い鎌が召喚される。


「これはまた……禍々しい力を宿した大鎌サイスだな」


 髭を撫で、まじまじと大鎌を眺めるゼペット。

 僕は彼のすぐ隣に設置された作業台に大鎌を置いた。


「これは《亡者》の力で具現化した『死神の大鎌』という武器です。属性は『闇』……らしいのですけれど、僕はこの世界の『ルール』をよく知らないんです」


 再び椅子に座った僕は、真剣な表情で大鎌を見つめているゼペットに問いかける。


「魔力の系統については、以前王立図書館で能力を調べたときに知り合いから教わりました。この世界には20種類の魔法と20種類の術があって、それぞれが合わさることにより『系統』が決まると……」


「ほう、そこは知っているんだな。ならばあとは簡単だ。この世界に存在する属性も20種類だからな。それぞれの属性と魔法、術の組み合わせで『系統』やら得意、不得意な『魔力』が決まるからな。世界に存在する王の数も20だし、お前さんみたいな《者の力パーソナル》使いも20人。覚えやすいだろう?」


 にやりと笑ったゼペットは椅子から立ち上がり、工房から布を持ち出した。

 そして僕を振り返り、問いかける。


「少し見せてもらってもいいか? それが目的でこいつを具現化したんだろう?」


「ええ、ゼペットさんなら色々分かるかと思って」


 僕の答えに満足したのか。

 ゼペットは直接鎌に触らないように、一旦布を鎌に被せた。


「どうして直接触らないのですか?」


 ゼペットの行動の意味が分からない僕は、正直にそう尋ねる。


「そりゃ、直接触ったら俺の指がぶっ飛んじまうからな。これは普通の武器と違って、お前さんの力で具現化した代物だ。具現者本人以外が触れた瞬間、闇属性が発動して、はいさよならっつうわけだ。ちなみにこの布は俺が作った鍛冶用の魔法の布さ」


 話ながらもゼペットは丹念に鎌の状態を調べ上げていく。

 そして数十秒も満たない時間で鑑定を終了させてしまった。


「ふうむ……。まあ、属性値がCの……切れ味がC⁺ってとこか。あとはお前さんの使い方次第だな


「あの……もう少し僕にも分かるように説明を……」


「ああ、すまんすまん。『属性値』っつうのは、この大鎌の闇属性の『強さ』……みたいなもんかな。切れ味は意味が分かるだろう? 鍛冶職人は武具の状態を見極めてランク付けをするのも仕事のうちだ。最大ランクをA⁺として、最低ランクがE⁻まで存在する。『+』や『-』っつうのは、なんつーか……職人の勘みたいなもんだな。将来性とか、加工したあとの状態の変化を予想してつけることが多い」


 鑑定を終え、再び椅子に座ったゼペット。

 僕は鎌に向かい右手を突き出し、大鎌を消滅させた。


「聞きたいことはこれだけか?」


 僕の顔を覗き込むようにして質問するゼペット。

 その目は何かに気付いている目だ。


「……いいえ。最後にもう一つだけ、質問があります」


 僕は彼に視線を合わせ、こう答えた。



「ゼペットさんは、この『死神の大鎌』を最高ランクまで強化することは可能でしょうか?」



















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