この国の女王と王女と従兄弟
「クラウディーネ、降りておいで!!」
遥か彼方、雲ひとつない晴天の空を泳ぐように飛んでいた白竜が、彼女の一言で降りてくる。
彼女の名前はアクア・スチュワーデス・ブロッサム。
数々の空の神の加護を受ける、緑豊かな国のたった一人の王女である。
「どうしたの?」
アクアのもとに降りた白竜―クラウディーネは、ふいに何かを感じたように遠くを見た。
「よくきずいたわね、クラウディーネ」
「母様!!
どうしてここに?」
「俺もいるよ、アクア」
ひょいッと母の影から背の高い、賢そうな青年が顔を出す。
「げっ!どうしてユーリアがいるの!?」
そこにいたのはこの国の女王でありアクアの母であるラウラと、何を考えているのかわからない従兄弟のユーリアだった。
ちなみにアクアは、ユーリアが苦手である。
「げっ!とは失礼じゃない?
せっかく急がしいなか来たのに…ねぇ?陛下?」
「母様に助けを求めないでよ!!
しかも貴方、たいして忙しくないでしょ。
部下の人達を使ってるんだから」
「そんなことはないよ?ちゃんと自分でも働いてるって」
「本当?」
やや疑って(というかもろ疑って)私はじとっとユーリアをみる。
と、パンッと乾いた音が響いた。
「今はこんな話をしている時ではないの。
ユーリア」
「はい」
ユーリアはアクアから視線をはずすと、ラウラのそばで膝まずいた。
そこで私ははっとする。
これは女王陛下にするものだ、ときずく。
ユーリアにならって私も同じく女王陛下にすあ挨拶をする。
軽く裾をつまんで、背筋を伸ばす。
(私はアクア・スチュワーデス・ブロッサム。
この国の王女)
心の中で呟くだけでたたずまいが変わる。
ラウラは満足そうにその深青の瞳をすがめる。
私は静かに次の言葉を待った。