第七話
注意:こちらはSS速報VIPに書き込んだ内容をまとめた物となっています。
作者=ゆうきゆい(仮)=>>1=◆rMzHEl9LA2です。
そう、ここからは私のターンだ!
地球汚染源を決して許さない人の台詞を思い浮かべながら行動を開始する。
作戦は簡単……いや、作戦と呼べないほど単純な話である。
そして、それを実行しない理由は無い。
現在、新島七海は変装した俺を河野純一と思い込んでいる。
さらに俺へ手を振って呼んだときのあの感じ……推測するに新島七海と河野純一は別行動を取っている。
少なくとも数十分ほどの……つまり、今、この瞬間は俺が、俺が河野純一だ!
ということは俺が新島七海の好感度を上げることが自然に新島七海から河野純一への好感度を上げることになるのだ。
神は俺を見放していなかった……こんな、取って置きのボーナスステージを用意してくれていたのだからな!
俺はメモ帳に『わかった、一緒に探そう』と書いて新島七海に見せる。
それを見た新島七海は嬉しそうな顔をして「ありがとうございます!」とお礼を言ってきた。
こちらこそ、ありがとうと言いたいぐらいだ……駄目だ、まだ笑うな、こらえるんだ……。
俺は新島七海の手を掴み強引に手を繋ぐ。「あっ」っと驚いた声を上げる新島七海にメモを見せる。
「『見失わないように……』ですか……はい、ありがとうございます」
少し強引だったが、恥ずかしそうに笑っている新島七海の顔を見るに選択肢は間違っていない。
そのまま新島七海の手を引っ張り、『先輩』を探すことにする……先輩はここに居るけどね!
捜索する相手はここに居て、本物の河野純一と鉢合わせにならないように注意すれば、ボーナスステージの時間制限は無いに等しいのだ。
周囲を確認しているフリをしながら手を繋ぎ一緒に歩いていると、新島七海が「あの!」と話しかけてくる。
俺はメモ帳に『何?』と書いて聞く。
「えっと、なんでメモ帳?」
『赤いドラゴンと契約した代償に声を失ったんだ……』
「そうなんだぁ」
フリアエッフリアエッな理由を書いて新島七海に見せる。
コレにゃんと違ってこの子は本気で冗談を信じているような気がするな……。
しかし、いい感じだな……あとで河野純一にフォローを入れる必要があるが、少しステップアップしてみるか……。
メモ帳に台詞を書いて新島七海に見せる。
『敬語禁止ね』
「えっ? でも、先輩なので……」
俺はさらにメモ帳に台詞を書いて新島七海に見せた。
『敬語とか壁があるみたいで好きじゃないから、普通に話してくれると助かる』
「……えっと、はい、じゃなかった。うん、わかったよ!」
いい感じだ……あとで、河野純一にフォローを入れることで完璧だな。
問題点を上げれば、人探し中だからデートが出来ないところか……。
まぁ、その辺は河野純一に期待することにする。
とりあえず、会話のついでに現状の情報収集も行なっておくか……。
メモ帳に台詞を書いて見せた。
『そういえば、あんな所で何してたの? 迷子になってたとか?』
「はい、お恥ずかしいことに実は少し迷子になっておりましてねぇ~」
恥ずかしいのか、少しおどけた感じに新島七海は答えた。
なるほど、俺の捜索中に迷子になったと……。
つまり、河野純一とは別行動を取ったのちに迷子なり、あそこにいた訳か……。
しかし、何故、俺を捜索することになったのだろうか? まぁ、いいか……今は好感度を上げるついでに情報を集めればいい。
「でも、河野先輩が来てくれて助かったよ! しかも、また、わたしを助けてくれたし……」
『気にしなくていい、困ってる人を助けるのが趣味みたいなものだからな』
そう書いたメモ帳を新島七海に見せる。
メモを見た新島七海は何か納得したような顔をしている。
そのまま、手を繋いで二人で先輩を探して街を歩く。
ふと、新島七海を呼ぶ「おーい、七海ー!」という声が聞こえた。
「あっ、あぁちゃんだ。おーい!」
あぁちゃん? そういえば、つい最近、そんな感じのあだ名を聞いた覚えが……。
などと考えている間にあぁちゃんと呼ばれる者がこちらにやってくる。
あぁちゃん……そう、それはコレジャナイあずにゃん、コレにゃんのあだ名であった。
「もう、七海! ちゃんと河野先輩に連絡しないと! 河野先輩、心配してたよ?」
「ごめんね、携帯の充電し忘れてて……電源落ちちゃってたよ」
「で、七海? 隣の人は?」
コレにゃんは俺を見て、新島七海に尋ねる。
汗が頬を伝う……心臓の鼓動が速くなる。
まだ、大丈夫だ。河野純一と鉢合わせになった訳ではない。
落ち着いて冷静に対処すればいい……俺は冷静になる為に軽く深呼吸をする。
そんな風に気持ちを落ち着かせていると、新島七海がコレにゃんの質問に得意げに答えた。
「何と! こんな格好してるけど、実は河野先輩なんだ~!」
「えっ? 河野先輩?」
「うん、実はそうなのです! 前もね、この格好をして河野先輩がわたしを助けてくれたんだ~」
全身が冷えてくる。心臓の鼓動がうるさく感じるぐらい速くなる。
大丈夫だ、落ち着いて河野純一のフリをすればいい……。
俺がそう考えているとコレにゃんは一言――
「えっと、河野先輩……つい2,3分前まで一緒に居たけど……」
「またまたぁ~」
そんなコレにゃんの一言を聞いた新島七海が手をひらひらさせながら言った。
「いや、本当なんだって!」とコレにゃんが言うと新島七海もだんだん事態を理解し始める。
落ち着け、落ち着け、落ち着け……まさか、コレにゃんがさっきまで河野純一と一緒に居た?
どうする、言い訳するか? 駄目だ、そんなことをして本物と鉢合ったら、変質者として通報されかねない……。
なら、ここで終わりか? いや、まだだ……まだ、俺に出来ることは一つだけある。
俺……いや、幹部には伝統的な戦いの発想法があってな……。
俺はその方法を実践する事にした。
俺はコレにゃん達に背を向けてその場から走り出す。
「あっ! 偽者が!」
コレにゃんの声が背後から聞こえるが気にしない。
さっきまで、新島七海と一緒に居たのは河野純一のフリをしたニセ河野純一であったと……そう、コレにゃん達に思わせるために……。
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