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第一話

注意:こちらはSS速報VIPに書き込んだ内容をまとめた物となっています。

作者=ゆうきゆい(仮)=>>1=◆rMzHEl9LA2です。

 

 新学期が始まってしばらくが過ぎた四月某日のこと、部下と共に一緒に帰る途中の出来事だった――

 

「――先ほど総帥への成果報告が済み、部下に理想の世界について一方的に語りながら帰っていると、三人の不良とそれに絡まれているっぽい人を発見したのだった」

 

「……夕方でも飛ばしてますね、少し落ち着きませんか?」

 

 俺の隣を歩いていた部下が長いクリーム色の髪を揺らしながらそう言った。

 優秀なのだが、イマイチ乗りが悪く、上司に対しても遠慮しないのが問題点である。

 ちなみに彼女を選んだ理由はりっちゃんと同じ(りつ)という名前だったので……1.5秒ほどで即決した。理由としては十分なほどである。

 ただ、惜しむべきは苗字が西崎(にしざき)であることと声と見た目と性格とスペックが違うことだろう。

 せめて、資料の提出し忘れとか定期的にしてくれるとありがたいのだが……。

 俺は西崎の問いに、だが断るとだけ言って話を進める。

 

「……とりあえず、先頭から不良A、不良B、不良Cと被害者Aと命名しようと思うのだが、どうだろうか?」

 

 遠めなので人数だけしか確認できないが、彼らに俺はそう命名した。

 

「お任せします。あと、訂正するならば被害候補者Aです」

 

 そんな感じで『話したから気付かなかったフリ作戦』を決行しながら通り過ぎる事にした。

 怖いので、すごく、怖いので……触っただけで人の頭を風船のように破裂させるような人種とは関わりたくないので……。

 誰だって汚物として消毒されたくは無いだろうから、当然の判断である。

「被害者候補Aの方が語呂が良くない?」「いやいや、こっちの方が――」などと言って不良A、不良B、不良C、被害者Aもとい被害候補者Aの横を通り過ぎようとする。

 あとで警察にでも通報しておけばいいだろう……モブキャラな俺に出来ることは北斗でも南斗でもなく、その程度でのことである。

 警察は……一般人の俺とは鍛え方が違うだろうから、北斗や南斗を会得していてもおかしくわない。

 

「へぇ、キミ、あずさって名前なんだ~可愛いじゃ~ん!」

 

 不良の一人がそう言っていた。

 自然と足が止まる。あずにゃん……だと……?

 急に止まった俺に対して西崎が言った。

 

「……どうかしましたか?」

 

「いや、別に……」

 

 そう答えたものの気になってしまう。

 好奇心とは時に恐怖を凌駕する時があるが、それが今みたいな状態だろう。

 りっちゃん派の俺としてはあずにゃんは守備範囲外、むしろあざと過ぎね?だったりするのだが、あずにゃん経由でりっちゃんと関わるチャンスがある。

 だが、よくある名前のモブキャラの可能性もある。悩む、危険を冒してまで見るべきなのかと……。

 結局、下心……好奇心で気になった為に俺は視線を被害候補者Aに向けた。

 あずにゃんと同じ小柄だったが、腰まである綺麗な黒髪ストレートの女の子と目が合った。

 ツインテールでは無かった。つまり、人違いもといキャラ違いである。

 不良に絡まれるリスクを犯したのにも関わらずkonozamaで――その後に下した俺の判断はスルーであった。

 俺は再び歩み出す――

 

「あ! あの! あの! そこの人! た、助けてください!」

 

 ――阻止された。

 こちらに気がついた被害候補者Aによって呼び止められてしまう。

 不良達も気がついたらしく、こちらを向く。

 そして、不良Aがテンプレ的な台詞を言った。

 

「あァ? なんだぁ、てめぇ?」

 

「PSPは無いので、アナタ達の相手はしたくないです……」

 

「はぁ?」

 

 思わず本音を言ってしまった。

 それが気に障ったらしく、不良達がこちらにやって来る。

 そして、俺を囲むように立って言った。

 

「今、何か言ったかァ?」

 

 不良達は苛立っているようだ……。

 無理も無い、折角のナンパを被害候補者Aもとい、ニセあずにゃんの空気の読めない一言によって妨害されたのだ。苛立って当然である。

 斯く言う私も、俺を世紀末な世界に巻き込んだニセあずにゃんが憎くて憎くて仕方が無いのである。

 酷い造形ならば邪神の称号を与えたぐらいだ。これだから、名前一文字は中国製の可能性があって困る。

 まぁ、国産の偽者の可能性も無きにしも非ず?

 いやいや、実は平仮名表記やDQNネームだったりして二文字以上で『あずさ』なのかも知れない。

 ……とにかく、俺はこれ以上、怒らせないように不用意な発言は控える事にした。

 正直に答えて許してもらおう。正直、丸焼きか人体が破裂する結末は勘弁したい……。

 

「『PSPは無いので』と言いました……」

 

「あぁ? その後だよ! その後!」

 

 その後?「PSPは無いので」の台詞の後……。

 思考すること数分――そして、思い出す。

 俺が不良達に言った台詞は「PSPは無いので、アナタ達の相手はしたくないです……」である。

 頭の中でその台詞をわかりやすく文章にしていく。

「PSPは無いので」の後……つまり――

 

「句読点!」

 

「舐めてんのか、てめぇはよぉぉぉ!!」

 

 不良Aが俺の胸倉を掴んでくる。

 世紀末のモブキャラ未来にまた一歩近づく。

 危険である。

 どんどん墓穴を掘っている。

 仕方が無いので、助けを求めるように西崎を見る。

 西崎は自分は関係ないとばかりに数メートルほど離れた場所におり、口をパクパクと開けてこちらにメッセージを伝えてくる。

 内容は――「死・ぬ・気・で・頑・張・れ」――部下から死刑宣告であった。

 

「おい、何とか言えや、こら!! おい、聞いてんのか! あぁ?」

 

「なぁ、たっちゃん! こいつ、ビビッてやがるぜぇ!」

 

 不良Aと不良Cがそう言っている。

 ビビッてます。すごく、怖がってるので見逃して欲しいです。

 丸焼きや風船のように破裂する末路を想像して恐怖で足が震える。開いた口からあわあわと音が漏れる。

 話してる相手の顔なんて見れたものではない。

 レベルの低い俺なんかではメンチビームで睨みあいにすらならず消し飛んでしまうだろう。

 いやいや、指先からビームが飛び出して、胸を貫かれるべジータみたいな末路かもしれない。

 この世界には集めると願いが叶う不思議な球体は存在しないのだから……それは勘弁して欲しい。

 この場合は目から出たメンチビームで胸を貫かれるベジータさんか……それはそれで関係者でないのなら見てみたいかも?

 

「おい! 何とか言えよ、このヘタレ野郎がよぉぉ!」

 

 思考する俺に対して不良Aが無理やり顔をあげさせ拳を振り上げる。

 そして、そのまま殴りかかってくるのを視界に捕らえた――あ、普通に遅い……。

 俺は右手で迫り来る拳を受け止め、そのまま、不良の拳を握り締める。

 

「あがぁあああああああ!!」

 

「たっ、たっちゃん!!」

 

 拳を握られた不良が悲鳴を上げる。

 どうやら、この不良は新しくゲームを始めたばかりの世紀末未満な不良のようだ……。

 まさしく、ラッキーである。これも普段から日頃の行いがいい俺に対しての神様からのご褒美に違いない。

 俺は握り締めた不良の拳から手を離す。不良が拳を手で覆っている。

 

「て、てめぇ! たっちゃんに何しやがる!!」

 

 不良Cが不良Aを庇いながらそう言った。

 タダでは帰さない……そんなオーラが不良Cと、さっきから一言も話していない不良Bが出している。

 仕方が無い。彼らには序盤のレベル上げがいかに大事な事なのか身をもって教えてあげよう――

 

 

 ***

 

 

「――お疲れ様です」

 

 気絶した不良をロープで簀巻きにし終えた俺に対して、西崎が労いの言葉をかける。

 労う気があるのなら、せめて手伝って欲しかった。

 

「あ、あの!」

 

 ニセあずにゃんに声を掛けられた。

 仕方が無いので視線を向ける。

 

「助けていただき、ありがとうございます! あの、助けていただいたお礼がしたいのですが……」

 

「……別に巻き込まれただけだからね、お礼はいいよ」

 

 とりえず、早く解放してもらえるように無難な回答をする。

 お礼とか、ニセあずにゃんじゃあ、りっちゃん紹介してもらえる訳でもないから……。

 ニセあずにゃんが紹介できるのは、頑張ってもニセりっちゃんぐらいだろう……。

 

「そうですか、残念です……あと、西崎先輩の知り合いだったんですね?」

 

 ニセあずにゃんから知人の名が出てきた。

 西崎って……思考していると西崎が言った。

 

「……今、思い出しました。彼女、部活の後輩です」

 

 ニセりっちゃんは以外にも身近な人物だった。

 ニセあずにゃんが西崎に対して言った。

 

「西崎先輩、この人と知り合いだったんですね!」

 

「……知り合いというか、クラスメイトで同じ仕事をしているのよ」

 

「あ、クラスメイトで同じバイトの……」

 

 バイトではない。命を懸けて成し遂げ無ければならない使命である。

 ニセあずにゃんが話しかけてくる。

 

「あの! わ、私! 相沢梓って言います! その、お名前を教えていただけると――」

 

 話が長くなりそうなので無理やりイベントを終了させる事にした。

 組織……いや、幹部クラスには伝統的な会話術がある。

 言葉を遮るように口を開く。

 

「――もう、暗い、夜危ない、早く家帰る、少女よ」

 

「……へっ?」

 

 それは話が通じない相手を演じることである。

 これで主導権を奪い、自分の言いたい事だけを伝える事ができる。

 幹部クラスのみが教えてもらえる会話術の一つ。

 

「危険、危ない、急ぎ家帰れ、家近い?」

 

「あ、その、少し遠いです……」

 

 ニセあずにゃんは少し戸惑ったような感じで言った。

 むしろ、若干、引かれてるような気がするが考えても仕方が無い。

 

「西崎、彼女、送れ、家まで、いいな?」

 

「……わかりました。梓は私が家まで責任持って送ります」

 

 命令された西崎がニセあずにゃんの手を引っ張って歩き始める。

 ニセあずにゃんが何か言いたそうにしているが、遮断する。

 

「大丈夫、西崎、強い、でも、モヒカン、気をつけろ」

 

了解(ヤー)

 

 そう言って、西崎と梓は暗闇の中に消えていった。

 西崎達が完全に見えなくなったことを確認すると俺は目線を簀巻きの物体に向けた。

 さて、彼らをどうしたものか……ふと……俺、閃くっ!

 それは……圧倒的、閃きっ……故に俺っ、それを口に出すッ!

 

「地下施設でペリカ生活でもしてもらおう……サイコロ振ってたら綺麗なジャイアンになれるかもしれない」

 

 そして、俺はポケットから携帯電話を取り出し電話をかける。

 

「あ、もしもし! 俺、俺! そう、俺! 実はさ――」

 

 電話で用件だけ伝えると電話をきる。

 そして、用件を伝えてから思う。

 

「――あれ? でも、地下生活してたのに裏切ったヤツが居たような……まぁ、いっか。しかし、地下かぁ~懐かしいなぁ~」

 

 思い出せないことは大抵のことは自分にとってはどうでもいい話である。

 だから、俺は思考するのをやめて、電話の相手がここに来るのを待っているのであった。

 

 


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