第十一話
注意:こちらはSS速報VIPに書き込んだ内容をまとめた物となっています。
作者=ゆうきゆい(仮)=>>1=◆rMzHEl9LA2です。
「――どういうこと?」
アジトにやってきた俺に目の前に立っている総帥は確認するようにそう言った。
隣には西崎が王に謁見する騎士のように膝をついて座っている。
背筋に冷たい汗が流れる。
何か上手い言い訳を考えようとするが思いつかない。
「だから、どういうこと?」
総帥は繰り返し言った。
駄目だ、これ以上の沈黙は危険だ……何か言わなければ……。
「え、えっとですね……これには訳が――」
「――うん、だから理由を話してもらおうか?」
再び、沈黙してしまう。
理由を話せ? コレジャナイ感じのあずにゃんが原因で事態がおかしくなって失敗しましたとか?
よし、それだな……それがいい。
「実は予期せぬ事態が――」
「――それ、予期して対処しなかったお前のミスだよね?」
……ですよね。
どう考えても対処できなかった俺のミスである。
「まぁ、ここのNTR男は無視するとして――」
NTR男……総帥の言葉が俺の胸に深く突き刺さる。
主人公からヒロインを奪う行為は、全ラヴコメファンにとってはトラウマでしかなかった。
それを無意識のうちに自らが行なったという事実が俺の心を深く傷つける。
「――ところで黒よ」
「ハッ!」
黒――西崎が立ち上がり右手を左胸に当てる。
総帥が指を鳴らす。
すると何処からともなく全身白タイツに真っ白な覆面を被った者達が現れる。
全身白タイツ戦闘員――総帥直属の戦闘員である。
懐かしい衣装だ……。
組織に入って半年間はあの衣装で「ウイッー!」とか言ってたんだよな……俺……。
総帥に認められて幹部となったのが半年前……そんなに昔でもないのに何もかもが懐かしいよ……。
ふと、考える。
直属の全身白タイツ戦闘員が出てきたということは、総帥が直々に何かをするということ……。
『……今までの作戦内容が総帥に評価されたようで幹部に昇進するみたいで』
今朝、西崎が言った言葉を思い出した。
つまり、これから西崎の幹部昇進が言い渡されるということか!
といっても、幹部となった者にそれぞれ特別な衣装が与えられるだけの話なのだが……。
衣装は幹部ごとにデザインが全く異なっており、衣装を見ればどの幹部かがわかるようになっている。
そして、その部下も幹部の衣装に似たデザインの色違いを与えられるので、衣装を見ることでどの幹部の部下かがわかるようになっているのだ。
これから西崎用の幹部衣装が渡されるということ……。
ちなみに西崎の場合、西崎用の戦闘員の衣装が間に合わなかったので今まで私服で任務を遂行していたのであった。
総帥が俺を無視して西崎に話しかける。
「黒、これまでのお前の計画案は見事なものだった……」
「ありがとうございます」
西崎がそう言った。
「よって! その功績から、お前を幹部に昇格する!」
やはり、西崎の昇格の為に全身白タイツ戦闘員は現れたのだな……。
ふと、今までの西崎との思い出が蘇る。
半年間と短い間だったが、楽しかったぞ西崎よ……。
俺が西崎との思い出に浸っていると、近くで懐かしい台詞が聞こえた。
やはり、西崎の昇格の為に全身白タイツ戦闘員は現れたのだな……。
ふと、今までの西崎との思い出が蘇る。
半年間と短い間だったが、楽しかったぞ西崎よ……。
俺が西崎との思い出に浸っていると、近くで懐かしい台詞が聞こえた。
「ウイッー!」
「うん?」
気がつくと白タイツの戦闘員達が俺を囲んでいる。
そして、俺の纏っている衣装を掴み脱がそうとしてくる。
「ちょっ!? な、何をする!? 俺にそっちの趣味アッー!!」
そうこう言ってるとアッという間に脱がされた。
俺の衣服を脱がした後、それを綺麗に畳むと西崎の前に跪き、衣装を差し出す。
全身白タイツ戦闘員達が去った後にはトランクス一丁となった俺が居た。
西崎が俺と衣装を交互に見た後、何かを察したのか、差し出された衣服――黒いマントを西崎が受け取りその場で羽織る。
そして、黒い仮面を被る……何故?
考える……なるほど、西崎の急な昇進に衣装が間に合わなかったのか……。
しかし、その衣装はゼロの幹部としての衣装……それでは西崎とデザインが被ってしまうではないか!
「そ、総帥……にし、ゴホン……その、デザインだと俺と被りますよ?」
色も同じだし……。
あと、俺の服返して……。
すると、総帥は言った。
「それに関しては大丈夫だ、ゼロよ」
「ウイッー!」
再び全身白タイツ戦闘員達が俺を囲む。
戦闘員の手にはなにやら白い布のようなモノが見えた。
そして、今度はさっきとは逆に何か衣装を着せられた。
「ウイッー!」
サッと全身白タイツ戦闘員達が離れていった。
気がつくと俺は全身真っ白な衣装を身に纏っていた。
全身白タイツ戦闘員とは違う、顔に仮面のような物がある別の衣装に……。
総帥は言った。
「ゼロ……お前の言っていた部下の衣装だが、ようやく完成したよ……着心地はどうかね?」
着心地? 何を言っているのだ?
すると俺の前に鏡を持った一人の全身白タイツ戦闘員がやってくる。
そして、鏡を俺の前に向ける。
鏡に映る俺の姿は今、西崎の着ている衣装の色違い――つまり、白い仮面と白マントという衣装だった。
「総帥、これは……黒騎士から白騎士への転職でしょうか?」
「いや、凄まじき戦士の黒から半端な戦士の白への弱体化、半端な覚悟のお前は白くなってしまったのだよゼロ――」
――簡単に言えばお前は戦闘員に降格
そう、総帥は言った。
降格? 誰が? 俺が? 降格!?
戦闘員から半年、苦労してなった幹部の地位は僅か半年で消滅した。
「あ、あはは……はぁ――」
――俺の目の前が真っ暗になった。
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作者=ゆうきゆい(仮)=>>1=◆rMzHEl9LA2です。