過去の思い出
和歌とは同じクラス、正隆とは違うクラスなので僕は正隆と別れた
僕が教室に入ると早速、和歌は大勢の女の子に囲まれた。
「ねー、和歌ー、あんたま〜だ彼氏つくらないの?」
と一人の女子が言う。
「だって好きな人とかいないし・・・」
と、和歌は答える。
すると二人目の女子が
「あんた男を引きつけるためにフルートやってるんじゃないの?」
「そんな、せこい理由でやるワケないでしょ!
ただ小さい頃からやっていただけ」
その通り、彼女は幼い頃から母親にフルートを習っていた
記憶は鮮明に残っている。
〜9年前〜
「見て聖也、私新しい曲吹けるようになったよ」
まだ、あどけない無邪気な笑顔で僕に駆け寄ってくる和歌。
「それでは、聞いて下さーい」
そう言って和歌は演奏を始める
まだ小さいって言うのに和歌の演奏は僕の心を癒してくれるような
優しいメロディを奏でていた
やがて演奏が終わり、
「はい終わり!どうだった?」
やや不安そうな目で僕を見る和歌
僕の答えはもちろん
「よかったよ、すごく」
彼女は喜んだ
その幸せそうな顔は僕にも幸せをもたらした。
やがて雪が降ってきた
「いけない、早くお家に帰らなきゃ」
「送ってくよ」
急いで僕達は帰った
やがて和歌の家に着く。
「ありがとう聖也、風邪引かないように帰るんだよ」
そう言って僕に手を振った
僕も手を振り帰路を歩いた。
「待って!」
和歌が僕を呼び止めた
そして・・・・・・
僕の頬に・・・息と・・柔らかい感触
「じゃあね!」
和歌は帰っていった
僕も頬をさすりながら帰った。