都会へようこそ【以降AI利用執筆】
今日も今日とて、泣き喚く赤ん坊を背負いながら、アルニカは夜の村を徘徊していた。
月明かりに照らされたぬかるんだあぜ道。
アルニカの素足は冷たく、
背中の赤ん坊が重たい体でぐずるたびに、
アルニカの肩には、鋭い痛みが走った。
「ふう……まったく。赤ん坊ってうぜーな、これだからガキは嫌いなんだ」
背後から聞き覚えのある声と足音が近づく。
アルニカが振り返ると、会いたくもない人物が立っていた。
人身売買のブローカー
――人々は彼を、“女衒のおいちゃん”と呼んだ。
女衒のおいちゃんは、背が低く、腰も低い。
いつも貼り付けたような笑みで、村々を渡り歩く。
彼は貧しい村の未成年や嫁入り前の娘たちを、都会へ“連れて行く”仕事をしていた。
おいちゃんは村では、困った時のピンチヒッターとして頼られていた。
親や身寄りの大人に巧みに近寄り、あたかも善行を施すかのように振る舞う。
以前道で酔っぱらって寝ていた時に、おれは世のため人のため、貧しい村々をまわり、人助けをしているのだと、真剣にアルニカに語りだしたこともあった。
「おう、アルニカ。今夜もガキのお守りかい?」
「……あんたにゃあ、関係ない」
アルニカは言葉を短く切った。だが心の奥底では、彼の存在がただ鬱陶しいだけではなく、利用できる手段でもあることを理解していた。
「今夜も、人だすけ?」
「クックック、目ざといガキだな~。ホレ、あの明かりが見えるか?」
おいちゃんが指さしたのは、アルニカの奉公先――ではなく、その隣家だった。
たしかあの家には、年頃の娘がひとり。
「食うに困ってんなら明かりも消せっての! なーんちゃって、わっはっは! ウケた? ウケただろ、アルニカ」
アルニカは考えた。隣家の娘――奉公先の隣家で、親からアルニカと同じように働かされる少女――少なくとも彼女は、アルニカより一足先に、この貧しさに苦しむ日々から解放されるだろう。
アルニカはふと脳裏に、都会から来たあの教師の顔を思い浮かべた。
知的で、物腰柔らかなおじょうさん。
傷ひとつないなめらかな手でチョークを握り、カッカッカッと黒板に文字を刻む。
ほとんど誰も聞いていない授業中――まだ見込みのあるアルニカやオンデンへ語りかけるその姿。
あのひとが来た場所なら、アルニカでも、少しは自由に生きられるかもしれない――
「……私もつれてって。都会に行けば、しあわせになれるんでしょ?」
ブローカーはにこやかに頷き、アルニカの腕を掴んだ。
アルニカはよろけそうになりながら、その光景を静かに見守った。
おいちゃんの話は、すぐにまとまった。
隣家の娘はガクガク震えていたが、アルニカは都会のネオンが楽しみだった。
あくる日の朝。
オンデンが学校から村に戻ると、子守奉公先は、アルニカの代わりに新しい子守を雇っていた。
アルニカの両親も、邪魔な娘が片付いたことにほっと胸を撫で下ろしていた。
しかも、奉公先への前借り借金はチャラになり、将来の娘にかかる莫大な結婚費用も要らなくなった。
加えておいちゃんからは、ほんの少しの金まで手に入ったのだから、上々だ。




