おたまじゃくし採り
二人がかりでオンデンの宿題さえ片付けてしまえば、手が空いて幾分暇だった。もちろんアルニカもオンデンも、それぞれの家に戻りさえすれば、山のように家事労働が待ち受けている。
だがどちらも素直に帰宅する性格ではなく、なるべく遅くに帰って、雇い主や家族達からのお小言や嫌味を受け流すのが常だった。
子守奉公中で心休まらないアルニカとしては、人目につかない場所で昼寝でもしたかったのだが、今日も今日とて学校帰りで体力有り余るオンデンに引きずられ、畑に引かれた用水路まで連れて行かれると、そこでのおたまじゃくし採りに付き合わされた。
「じゃ、行くぜー。アルニカ」
「はあい、いつでも」
アルニカは付近の草むらに手を突っ込むと、以前に拾って隠しておいたクッキー缶のゴミを取り出した。缶の蓋は外して容器側だけを用水路に浸ければ準備万端、オンデンは用水路の淵、左右それぞれに足を載せ、のっそのっそと歩いてくる。
すると用水路のあちらこちらを泳いでいたおたまじゃくし達にも、振動が伝わるのだろうか? ともかく原理は不明ながら、おたまじゃくし達はオンデンに追い立てられるようにして、真っ直ぐアルニカが構えるクッキー缶の方へ向かって泳いでくる。
面白いように獲れるおたまじゃくし達は、あまりに沢山居るので、見ていると気色悪くなってくるのが玉に傷だった。しかし今日のアルニカは、別のものに気を取られていた。
共喰いである。それも、死んだ蛙が複数のおたまじゃくし達に集られ、死肉を喰われている。
――これはひょっとして、雌だろうか? 産卵を終えて死んだのだろうか?
それを孵化したおたまじゃくし達が貪り食っているというのか?
あまりにも暗示的なその光景は、アルニカの脳裏に焼き付いて離れなかった。




