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短編・その他(コメディ多め)

【悪ノリ番外編】怪力すぎる公爵令嬢のルート選択を失敗しました

作者: 二角ゆう

「怪力すぎる公爵令嬢は隣国の王子に引き取られる」のptがなぜか伸びているので、深夜に変なテンションで失敗ルートを作ってみました。

(悪ノリのため、アクアのキャラが崩壊しています)


完全に悪ノリなので、ご容赦ください!

 3歳になる頃、窓から鉄球を落としてみたが誰にも気が付かれなかったので、窓から椅子をぶん投げたら部屋の窓に鉄格子を付けられた。


 6歳になる頃、窓の鉄格子を素手でのひしゃげて知恵の輪を作っていたら従者がやってきたので2人で楽しく遊んだ。そのあと侍女がやってくるとそれを目撃して悲鳴を上げながら、母を呼びに行った。

 そして母から力を抑える魔道具のブレスレッドを付けさせられ、「アクア、スプーンより重たいものは本当に持たないでおくれ」と真剣にお願いされた。


 10歳になる頃、家の庭にある小屋の中でこっそりダンスの猛特訓をしていると、度々壁やドアに手と足が当たってしまいボロボロになってしまった。

 その大破した小屋を見た父は力を抑える魔道具を取り寄せると令嬢の両腕と両太ももに付けた。


 15歳になる頃、モース硬度といって、物と物をこすり合わせて削ったほうが硬いとする硬度検査があることを知った。なので屋敷の端に近い崖に近づくと、試しに両手でもぎ取れたので「私の手は崖より硬いのね」と納得していると外国人の侍女に「ソレハ、チョットチガウ」と言われたが、なんと言っているのかよく分からなかったので、異国の言葉だと思ってスルーした。

 すると屋敷の使用人全員からの有志で、学園の入園祝いにチョーカーとお腹に着けるリングのような新しいタイプのコルセットをもらった、それがまさか力を抑える魔道具だということをだいぶ後に知ることになる。


 こうして私は通常の令嬢のように振舞うことができるようになったのだ。


 そして学園にもようやく通えるようになったのだ。そうすると見た目は悪くなかったアクアは名だたる家の子息に熱のこもった視線を向けられるようになった。


 アクアは内気な女の子だったので、自分から男の子へは声をかけられなかった。しかし王子が自分から声をかけてくれたのだ。


 父と母に聞いてみたところ“王子なら良し”と言ってくれた。しかしこの国には愚かな王子しかいないことを父と母は知らなかったようだ。


 ――そのルート選択が大きな間違いを引き起こすことになることをまだ、誰も知らない。


 王子は「おしとやかで可愛い」と言ってくれたし、母の教育通り王子の少し後ろを歩いていたので「君は守ってやりたい存在だな」と言ってくれた。


 2人の距離は少しずつ近づき婚約一歩手前まできたのだ。そんなある日、アクアは王子の姿を見つけると声をかけようと近づいた。


 王子は誰かと話していたようで、アクアは引き返そうとした。すると相手はアクアの事を「怪力すぎる女」と言って、あることないこと⋯⋯大体事実だったが、ひどい言い方で王子に伝えた。


 すると王子は青ざめて「そんな怪力女だったのか⋯⋯そのことを知らなかったら抱きしめられた際に全身粉砕骨折をするところだった」と言うのを聞いた。


 悲しみに暮れたアクアは拳を地面に叩きつけると、地面は割れて大きな亀裂を作り始める。そしてちょうど地下を通っていた水道管が破裂して、地上に勢いよく水が溢れ出すと大きな噴水のようになった。


 ずぶ濡れになったアクアは地面から拳を離すと仁王立ちになった。


 完全にキレているようだ。どことなく眉毛が太くなっている気がする。


「水道管は100年も変えていない。老朽化の末路だわ」


 そして建物をぐるりと見ながら次々に”ある建物”を集中的に潰す。潰す。潰しまくる。


「老朽化、老朽化、老朽化ぁ! 軽量鉄骨、耐用年数30年! これはもう40年である」


 そして1つの建物の目の前で立ち止まる。


「完全に紛れ込んだつもりなのか。このプレハブは耐用年数30年も――ない!!」


 軽量鉄骨のフリをしたプレハブは一瞬にして消し飛んだ。


 アクアは基本的には真面目で優しい女の子なので手荒いことはしない。


 しかし今は完全にキレているのである。


「許さない⋯⋯絶対に許さないわ⋯⋯」


 アクアは王城までやってきた。


 王城と対峙すると、勇者と魔王がこれから戦いをはじめんばかりの緊張感だ。


 先手を出したのはアクアだった。


「王城は現在の建築法の制定前に建てられている。それにもかかわらず、改良工事も行わなかった」


 アクアは拳を引いて構える。


 そして――


「地盤づくりと基礎がなって――ない!!」


 ありったけの力とともに

 ――王子との楽しかった会話、初恋、初キッス⋯⋯アクアの青春を全て奪っていった王子との思い出をこの王城に置いていくような気持ちを込めて王城を貫いた。



 ■



 王城はこの国で1番大きくて高い建物だった。それが一瞬にして粉々になって空中に消えていくさまは最早、災厄――。


 その光景を遠くから見た、とある民族の原住民がこう叫んだ。


「災厄じゃー! 自然神への誓いの貢ぎ物をもっと増やしますので、どうか怒りをお収め下さい!!」と土下座をした。


 長年、公共事業の大切さを説いてきたがその改善案を却下されていた宰相の一人が「公共事業の聖女が現れた! すぐにアクア令嬢を探すのだ」と叫んだ。


 アクアは悲しみに暮れて隣国との境の山に辿り着いた。山の外側を加工すれば直ぐにバレてしまうと思ったので、山の中にあるものを作り上げた。


 それは超難易度の迷宮だった。


「来れるものなら来てみなさい」


 その日以来アクアを見かける者は誰もいなかった。


 王城の建築は未だに完成しない。


隣国側の山では、迷った男が一人。


「国境ってどこからだったかな、間違って入っちゃうと国際問題になっちゃうよね。山の中だけなら大丈夫かな?」


隣国の王子が大絶賛で迷宮を楽しんでいると最奥で女の子と出会ったのはまた別のお話。

正しいルート選択をしようと思った人は「怪力すぎる公爵令嬢は隣国の王子に引き取られる」を検索してみよう!


悪ノリ、失礼いたしましたぁぁ!!


【追記】 [日間] 短編コメディー3位になりました。ありがとうございました!

誤字・脱字がありましたらご連絡ください。

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