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おもちとおはぎと鳥の神様  作者: だがしやこひな
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勇者たちの末路

勇者たちの末路


倒れたユーコさんは、その後数日意識が戻らなかった。おはぎがつきっきりで看病している。

「う・・・」

眩しそうに目を開くユーコ。

「にいさま!ユーコさんが目を覚ましました」

ユーコさんの枕元に集まる、僕とオーキンさんとゴブ蔵さん。

「・・・あのニセ勇者はどうなった?」

「ユーコさんが唱えた理法で、光の中に消えました。一体何をしたんですか?」

僕がそう問いかけると、ユーコさんは上を向いて、

「あいつらを一旦魂に戻した。そしてあいつらが以前他の集落で殺したゴブリンの中で、出来るだけ貧弱な体の死体を選んで、記憶を残したまま魂を移植して生き返らせた」

「おそらくだけど、自分たちが流した悪い噂のツケを、その身で知ることになるだろうね」

そして目を閉じて、

「本当はこの理法は、神様以外使っちゃいけない理法なんだ。だからすまないがもう少し眠る」

そう言ってユーコさんは眠りに落ちた。


「あ、巫女のネーチャンだ!」「おねえちゃん、あそんで!」

あれから二日後、オリン村にユーコさんは姿を表した。

「ユーコ姐さん、体の方は大丈夫ですか!」「巫女姐さん!」

相変わらず村の男衆に慕われてるな。慕われ方が少し気になるが。

「ユーコちゃん、アンタが好きだと言ってた、果実酒がうまく出来たわよ」

「ポー美おばさん、ありがとう。後で家の方に寄らせてもらうわね」

村のみんなに慕われているユーコさん。ニセ勇者の一件もあるみたいだが、村の人の話し相手になったり、相談に乗ったりしているからだろう。

オリン村の村外れ。

目の前に多くの墓が並んでいる。ほぼすべての墓に花が手向けられている。

これは今回の件でニセ勇者一行に殺され亡くなった、オークとゴブリンたちの墓だ。

墓には一本の柱が立てられており、羽を模した板が取り付けられていた。

死者の魂が、無事に鳥の神様の元へたどり着くようにと言う、願いが込められているのだという。

墓の前に立つユーコさん。

使ってはいけないという理法を使った反動か、鳶色だった髪に一筋の白髪が混じっているのが見える。

少しやつれた感じだ。

両手を開いて目を閉じる。その両手には鈴が握られている。

「シャリーン!」

周囲に鈴の音が響き渡る。

目を開いて舞を踊り始める。鎮魂の舞だ。

オリン村の村人全て、手を合わせて祈りを捧げる。うつむいて涙を流している者もいた。

巫女であるユーコさんの舞は、途切れることなく続いていた。

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