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おもちとおはぎと鳥の神様  作者: だがしやこひな
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文鳥倉庫と文鳥迷宮

文鳥倉庫と文鳥迷宮


残念な巫女さん・・・もといユーコさんに頼んで、神社の裏手にある空き地を使わせてもらう。

興味を持ったユーコさんも見に来ている。一応鳥の神様の巫女だし、問題ないだろう。

「おもち、文鳥倉庫を呼び出せるか?」

「うーんとね、たぶんこうやるのかな?」

おもちは窓を開く時の要領で、指で四角を描いて「ぶんちょうそうこ」と唱える。するとなにもない空間に突然シャッターが現れた。シャッターは自動的に開いて・・・

「イラッシャイマセ、ナニカゴヨウデスカ」

木で出来た人形みたいなのが現れた。

シャッターの中に入ると、丸太や木材、石や金属の塊みたいなものから、工具類、釘やボルトなどが並べられていた。ホームセンターか資材置き場と言った感じだ。

その中を木で出来た人形・・・ウッドゴーレムと言うらしい・・・が忙しそうに動いている。よく見ると奥の方には加工場のようなものまである。

「ソザイガアレバ、アズカリマスヨ」

そう話しかけてくるウッドゴーレム。

そのウッドゴーレム・・・面倒なのでナビと命名した・・・ナビによると、ここは亜空間にある倉庫で、おもちの心とつながっているらしい。

「アナタノギノウニ、ソウコイチランガアリマス」

そう言われたので、僕自身の技能も確認する。鑑定の付加技能に倉庫一覧というのが追加されていた。

これで倉庫の在庫状況が分かるらしい。

つまりここは、今持っている容量拡張付きリュックサックの、超拡大版と考えればいいみたいだ。しかもウッドゴーレムによる搬出・搬入・管理に加えて、ある程度なら倉庫内で加工までやってくれるとのこと。

一通り文鳥倉庫の機能が分かったので、一旦シャッターを閉じる。


続いておはぎに文鳥迷宮を呼び出してもらう。

おはぎは指で四角を描いて「文鳥迷宮」と唱える。するとなにもない空間に扉が現れた。

扉を開いて中に入る。するとそこには・・・森と草原が広がっていた。

「ここは平地型の迷宮になっていますね」

おはぎの説明によると迷宮というのは色々あって、鳥の神様の時のような石造りの迷路だけではなく、階層ごとに火山地帯や海、地底の洞窟、深い森などになっていることも珍しくないのだという。

この文鳥迷宮の場合、一層だけの地上を模した迷宮になっているそうだ。

ちなみに迷宮には「迷宮核」というものがあり、これで迷宮全体を管理している。迷宮自体が一種の生き物と考えればいいらしい。

文鳥迷宮の場合、迷宮核は地下深くの閉鎖された部屋にあり、入ることは出来ないが、おはぎの心とつながっているとのこと。

「にいさまが大まかにこうして欲しいと私に言ってくだされば、それに沿って文鳥迷宮を改造することが出来ますよ」

と言って、ニッコリ微笑むおはぎ。

つまり好きなように改造できる、白紙の土地を手に入れたようなものか。


「にぃに、おもちひみつきちがつくりたい」

せっかくの文鳥迷宮だから何か作ろうか?と言ったらおもちがこう言い出した。

ここに僕たちの家を作るのもいいな!出来るかおはぎに聞いてみたところ、

「文鳥倉庫から、資材を出してもらえれば可能です」

というので、おもちに文鳥倉庫を呼び出してもらい、ナビに頼んで建築用資材を出してもらう。

おはぎは精神統一をして、迷宮核に願いを伝えている。

すると地面が動き出し、勝手に穴を掘り始めた。積んである石やセメント袋、砂や砂利が勝手に動き、土台や汚水用の浄化槽を形作っていく。

それが終わると木材が勝手に加工されて、土台とか柱が組み立てられていく。屋根が出来て屋根瓦が積まれていき、竹で組まれた壁に土が塗り込まれ、その上から漆喰が塗られていく。塗料が自動的に塗られていき、あっという間に二階建ての日本家屋が完成した。

中には家財道具や布団なども用意されていて、このまま住むことが出来そうだ。

「ねぇ、アタシも一つお願いしていいかな?」

家が出来上がったのを見て、巫女のユーコさんが話しかけてきた。

隣に鳥の神様の社殿を建てて欲しいとのことだった。

おはぎに聞いてみたところ、新しい建物を建てるには、しばらく文鳥迷宮を休ませる必要があるらしい。

そのためユーコさんの社殿は三日後に建てることとなった。


文鳥迷宮には、もう一つ面白い機能があることが判明した。あらかじめ扉の理法陣を設置しておくと、その場所に文鳥迷宮の扉を開くことが出来るのである。上手く使えば某猫型ロボットの「〇〇でもドア」的な使い方が出来そうだ。

このまま文鳥迷宮の我が家に泊まっていきたいところだが、仕事を受注中の新米冒険者が宿に戻ってこないと、遭難疑いで冒険者組合に届け出が出る場合があるらしい。早く新米冒険者から抜け出さなきゃならんなぁ。

文鳥迷宮から、クロボ村の大鳥神社に戻ってきた僕たちは、神社の裏手に扉の理法陣を設置した。扉は僕かおはぎが居ないと開かないよう、忘れず設定しておいた。


その後二日間は、南西の森で染め物の素材集めに専念した。幸い、問題のオークとゴブリンに遭遇することはなかった。

そして今日、文鳥迷宮内にユーコさんに頼まれていた鳥の神様の社殿が完成した。鳥居に「小鳥神社」と書いてある。

完成直後、クロボ村の大鳥神社から大量の腐った薄い本を、文鳥迷宮の小鳥神社に持ち込もうとしたユーコさんを見かけたので、小鳥神社の社殿に鍵付きの薄い本棚を設置して、厳重管理するように釘を刺した。一体どこからあんな物を手に入れているんだろう。まさかこれが目的で社殿を建てさせたんじゃあるまいな。おもちとおはぎの教育に悪いから勘弁して欲しい。

最後にユーコさんは大鳥神社の裏手にある、文鳥迷宮の扉の使用権を要求した。小鳥神社の社殿と僕たちの家の面倒見るからと粘られて、渋々承諾することにした。

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