4 秘密の味は?
さあ レディたち 行きましょうか?
こらこら 飲み物はダンスの後でね 一曲だけなんだから楽しもうね
なんだか 仮面の下で眉間にしわが寄っていそうだけれど。。。伸ばして 伸ばして!!
ほら 早くも殿方がお見えだよ
楽しんで来て!
後でまたここでね~!!
改めまして 銀のレディ お手をどうぞ!
お手柔らかに 一番簡単なステップで踊りましょうか?
レディ 秘密の味は蜜の味って言葉 好きかな?
はい 笑って 笑って!
侯爵家の金と銀の双子の姉弟の噂をご存知かな?
デビュタント以来 二人ともめったに姿を現さないらしい 特に銀の御令息はご病気なのでは?
とまで言われているけれど?
銀の髪 繋がりで何かご存じないかなあ?
おっとと 女性パートは練習不足かな?
ああ失礼 睨まないで!
僕のリードが悪いね
そんなに離れないで 余計にステップが合わなくなるよ
それに 年上をいたわっておくれよ
こっちは年齢だけでなく 君をリードするにはちょっと筋肉不足で必死なんだからね
ほら もっと くっついて
秘密の話が 出来るように
こんなに離れていたら 秘密の話が漏れてしまうよ?
そうそう
うん? 気が付きましたか?
秘密を持っているのは 僕も一緒
僕は もう ずいぶん昔とはいえ 貴族令嬢としてデビュタントを果たしている身
もう一つ 秘密を明かそうか?
これは誰にも 金の御令嬢にも内緒にしてほしいけれど 知りたい?
ふふふ 秘密厳守 オトコとオトコの約束だよ
大丈夫? しっかり頷いてくれたね 信じるよ
僕は 君くらいの時から生き方を探しているうちに 情報収集が得意になってね
しばらく前までは それを仕事の一つにしていた
フフ
安心して 君たちの家の事は調べているわけじゃない
ただ 一目見たら 君の事は判ってしまっただけ
昔の僕と同じような雰囲気を纏っていたからね
まだ緊張しているかな?
大丈夫 僕はもう リタイアしたから普段はただの”貴族婦人”だよ
自由に生きるのに 我々のようなものはどうしても制約が多い
実際 僕だって こうやって 男性のなりでパーティに出席できる機会は限られている
限られた世界の中で生きて 楽しんでいる
限られた世界はお気に召さない?
命だって限られているんだよ?
その 限られた命の中で 男としても女としても生きられる
素敵な事だろう?
背が高いのを隠すために 猫背になることはないよ
胸を張って 二人分 楽しく 幸せに生きて行けばいいんだ
もちろん 責任は果たさなくてはいけないよ
僕はね
母でもあるんだよ 生さぬ仲とはいえ 娘を二人育てて一人は嫁がせた
ああ もう曲が終わるね
次に 貴族婦人として君に会えたならば 若いお嬢さんでないのは申し訳ないけれど
その時には ぜひ ダンスの申し込みをしてくれないか?
ありがとうございました
他にも 短いお話を書いてます お時間あるかたよかったら。。。
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