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何も起こらないモブの日常

作者: 白夜いくと

 俺はモブ。勇者たちに「やぁ、今日もいい天気だね」と伝えるだけの存在。この先この街がどうなるのかも全く分からない。ずっと同じ位置で立っている。バザールの屋台の前。店員でもなければ、盛り上げ役でもない。


 あ、勇者たちがやって来た!……あれ、俺をすっ飛ばして重要なセリフを呟くモブの所に真っ先に向かっていったぞ。


「宿屋はどっちだ?」

「あぁ。西の酒場の近くだよ」

「ありがとう」


 ぐぬぬぬ。

 この会話をしないとイベントが発生しないことを、プレイヤーは知っている。一週目の時は話しかけてくれたのに。


 悔しい。どうして開発者は俺のようなモブを作ったんだ。足パンパンだよこっちは。でもどうやらこの街は、平和らしい。勇者たちが去った後も、何も起こらない。


(死なないからセーフ?)


 景観の一部にはなっているし、セリフがあるだけマシか。俺の後ろにいる奴なんか、ずっと無言で魚を捌いている。同じ魚をだ。


「この街はずっとこんななのかな?」


 去り際に、勇者の仲間がイベント中にそう呟いていたのを思い出した。俺は知っている。この街の素晴らしさと天気の良さを。誰よりも理解しているつもりだ。セリフ上。


 俺はモブ。勇者たちに「やぁ、今日もいい天気だね」と伝えるだけの存在。この先この街がどうなるのかも全く分からない。ずっと同じ位置で立っている。


 たまには話しかけてくれよな。プレイヤー。ここの街の天気は変わらずいい天気だぞ。それ(グラフィック)を伝えるために、俺はここに居るんだからな!

モブが居なかったら寂しいゲームになっちゃうね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ただのモブに深い意味を持たせましたね。 そういうところ好き。 [一言] あとがき。 そのとおりですよね。 一見無駄に思えることも、広い目長い目で見ると必要だったりします。
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