表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

第十一話 神ングアウト。




「いいかお前に足りないものッ! それは胸囲自重慈悲包容力微笑体力艶麗さ優しさッ!! そして何よりも――年上分が足りない! ノット妹ノーモア妹! 昨今の妹ブームに反旗を翻す! 俺は! 巨乳お姉さん萌え☆だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 咆哮。魂の限りを籠めた叫びがボロい六畳一間を揺らす。

 何かをやりきった晴れやかな気持ちで眼下に目を向けると、まぁるく目を見開いたレティシアと、膝を着き項垂れている撫子の姿が目に入る。


「な、何てこと……! く……やはり乳ですのね!?」


 ふふふ、この高尚な思考に着いて来れんか。

 姉萌え! 超甘やかされたい! 姉ならロリでも良いし! 年上ロリ! ロリお姉さんロリロリ! 巨乳!

 それってロリなのか? ただの童顔?

 ふと究極の命題に対して考え込んだ所を、レティシアの声が遮るロリ。


 ……人として色々駄目な脳内成分がだだ漏れになっている。マズイ、年上ロリ巨乳好きという性癖が広く知れ渡ってしまう。

 生きていけない。主に世間体的な意味で。世の中は変態に厳しいのだ。


「うむ、ならば我など最適ではないか! 我は主殿より年上! しかも……認めるのは癪ではあるが常々、少しばかり幼く見られるのだ!」


 ん? と首を傾げる。はて、今何か日本語に近しい言語での幻聴が聞こえたのだががが。


「そのムキムキ☆ダイナマイト・バディのどこにロリがあるんですかぁ! 今すぐ浴室行って鏡見てらっしゃ……あれ!? 年上!? 生活力皆無の癖に!」


 再度の咆哮は俺の驚き。ずびしぃ! 人差し指を突きつけた状態でレティシアを凝視する。

 掃除をしては有り余るパワーで棚から何から万能に壊し。炊事すればお鍋が爆発化学反応。

 ならばと洗濯させてみると衣服を引きちぎるという三次元にあるまじき離れ業ぶりを発揮するレティシアが?

 年上? いやいや御冗談を。ははは。笑えない笑えない。

 ここぞとばかりに更に言い募ろうと、口を突いて出そうになった台詞は物理的に押しとどめられた。


「どこがおかしいと言うのだニヤつくな我は不器用などではなぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!! デンジャラース!」


「おふぅ」


 見事な角度で飛んで来た足刀が鳩尾に沈み込む。衝撃の余りくの字に折り曲がる体をどこか遠い視点で見ながら、俺は床に転がされた。

 ビクビクとのたうつ横隔膜。

 痛みで……呼吸が……出来まてぇん!




 この前撫子が現れてから約一週間。ある日の昼下がりの出来事である。









神ングアウト










「レーティーシーア? 早く起きろマッチョビルダー。蒲団が干せねぇでしょ!」


 朝と言うのは憚られる時間帯。既に窓から差し込む光は大分高く、駄人間よろしく惰眠を貪る駄タオルケットの塊を照らしている。

 ちょこんと飛び出た頭には安らかな寝顔のオプション付き。その額や頬に幾筋か、甘く柔らかな金糸の髪がかかっている。


 ぷっくりと膨らんだ柔らかそうな頬は桜色、だらしなく緩んだ口許や緩く線を描く様に伏せられた瞼も可愛らしい。

 むにゃむにゃと、意味を為さない寝言の合間に響く微かな寝息は細く色づいているかのよう。


「う、ん……」


 肩を揺すられる段に至ってようやく起きたのか、薄く翡翠の瞳が覗く。

 その瞳を覗き込むようにベッドに手を着いた。放っておけば再び瞼が閉じられてしまうのだ。

 そっと手を伸ばし、ぷくぷく柔らかな頬っぺたを軽く叩く。ぺちぺちと良い音が鳴った。


「おーーーーいレティシアさんや。寝るな寝るな起きなさい。 もうお昼ですよ! ご飯の時間ー!」


「ぬぅ、ごはにゅ……」


「ごはにゅって何ですかそれ……」


 ご飯の一言に反応したのか。如何せん呂律が回っていない様子ではあるが、今度は完全に瞼が持ち上げられる。

 焦点は合っていない物の、茫洋と彷徨う瞳からは起きようとする幽かな意志を感じ取れた。手を付いていたベッドから身を起こす。

 レティシアはごくごくゆったりと仕草で丸めていた体を伸ばし、半身を起こした。

 タオルケットを巻き込みながらの女の子座り。猫がするように背筋を伸ばすのと同時に大欠伸、俺は分厚い筋肉とご対面してしまう。


 ……いいか、重要なのはここからだ。レティシアは最近、暑くなってきたのでYシャツとスパッツを着用して寝ている。

 どういうことか分かるだろうか。

 Yシャツ。殆どの男子垂涎の衣装である。

 男性ものを女の子が着用した場合、サイズが大きすぎて指先が袖からちょこなんと覗き胸元からは危うい曲線が大・解・放! とても危うい。

 その妖しい魅力にて男性陣の理性を一発で破壊しかねない、リーサルウェポンである……!


 だがしかし、そんな最終兵器を装備するはレティシア。期待はムキムキと裏切られるのだ。

 確かに、彼女が身に付けているYシャツは俺の物。テラテラと濡れ光る筋トレ後の筋肉言語で、先日半ば無理やりに強奪されていった代物である。

 ちなみに半ば、と言ったのはラヴでスウィートな展開からではない。

 目の前の筋肉姫が、一体どこまで常識を崩壊させることが出来るのかちょっとやってみたくなったのである。


 つまり、どこまでキモくなれるのか。……一度、ヒラヒラフリフリのゴスロリ服を着せて見た時のことは、今では良いトラウマだ。

 俺は無言でトイレに駆け込み、試着室を貸してくれた服屋の店主は迷わずその日の営業中止。監視カメラに映ってしまった精神破壊光線も破棄。

 俺は真っ青な顔で店主に頭を下げ、不思議がるレティシアを連れて帰宅した後、一晩高熱に魘された。


 軍隊とか皆ゴスロリ服採用すれば良いよ。戦場では銃弾の代わりにレースやリボンに彩られた屈強な男たちの精神攻撃が飛び交うのだ。

 キモ過ぎて戦争中止、世界平和達成。……嫌過ぎる。

 一瞬暗黒面に落ちた意識を、レティシアへと戻す。そして一般の萌えポイントとの相違を脳内で指摘していくことにする。


 俺よりデカくて太いのでパツパツに盛り上がった袖からは節くれだったゴツイ指がしっかりと飛び出し。

 男を惑わす魅惑の胸元からは、俺を悲しい気分にさせる分厚い胸板の割れ目が覗き。

 鍛え上げられた肩の僧帽筋や三角筋のお陰で肩口はぎっちぎち。

 背筋を反らしたことでリアルへそチラなその腹筋は、今日も見事に八つ割れ。

 視線を更に下げればスパッツの伸長力の限界を今にも超えそうな豊かな大腿筋群……!

 競輪選手かお前。


 そして極めつけに。

 よりによってその凶悪なおみ足が、女の子座りをしているのだ……!


「ぐああダメだめ却下却下大却下!! タイムマシーンでも使って、今すぐ過去の俺を殴り倒したい……!! 何というグロ光景を召喚してしまったんですか……!」


「むぁー……ごはにゅん……」


 レティシアからシュババッと目を逸らす。しかし、ごはにゅんなる単語を聞いてやはり視線を戻した。まだ眠いのか、ごしごしと目を擦っている。

 そうだ、別にレティシアが悪いわけではない。

 キモさの基本スペックが高すぎるきらいはあるが、俺がグロ世界の深淵に、不用意に手を、いや首を突っ込んでしまったのが悪いのだ……。


「……ほれ、目を擦るな。それと涎垂れてるぞ。だらしない」


 節くれだったゴツイ指でグワッシガシ! と目を擦るのを止めさせ、ティッシュでレティシアの口元を拭う。

 抵抗もせず、ぽやぽやとされるがままのその姿に親ってこんな気持ちなのかなぁ、と生暖かい気分になった。

 何この所帯じみた空気。


「お昼ごはにゅ……ごはん」


「あーはいはい、ごはにゅの用意するからちゃっちゃと顔洗って来なさいねー」


 ぺし。不安定に揺れるレティシアの頭を軽くはたき、洗面所兼浴室へと追いやる。

 ちゃんと顔を洗っているのを確認して、台所に戻り冷蔵庫を開けた。冷やりとした空気が頬を撫でる。

 冷蔵、冷凍、野菜室、と順に目をやり。


「っても何すべか……卵チャーハン? いあいあ、一昨日作ったし……あ、カレー残ってたなぁ……」


 よし、お手軽カレードリアにしよう。

 タッパーに詰めて冷蔵していたカレーの残りと牛乳、チーズを取り出す。

 うん、と一つ頷いて手早く米を研ぎ、炊飯器のスイッチを入れる。タオルで軽く手を拭って、カレーを鍋に開けた。

 軽く火に掛けて暖めながら牛乳を加えて味をまろやかに。軽く味を見た。

 ……甘口だ。レティシアがあの外見で辛いのは苦手だ何だとうるさいので、三丈家のカレーは子供が喜ぶ超甘口なのである。


「えーと器、器……お、これこれ」


 ドリアに使う食器を二つ取りだし、再び冷蔵庫を覗く。

 我が家にバターなる高尚な代物はないので、植物性マーガリンを食器の内側に塗りたくる。

 風味と、後片付けがしやすい様にという憎い配慮だ。このこの、やるねぇ。洗うのは俺だが。

 弱火で焦げつかない様に温めていたカレーの火を止めた所で、米が炊けた。立ち上る湯気が食欲をそそる。最新式だけあって、炊きあがりまでが速いものだ。


「ふん、ふふん、ふ、ふふん」


 順調な工程に鼻唄混じり。しゃもじで米を掻き混ぜる。一度カレールーと米を混ぜ混ぜしてから器に入れた。

 その上からもう一度満遍なくルーをかけ、冷凍庫に入れてあったチーズを多めに散らし、オーブントースターに入れる。

 チーズが焦げないように、適当な時間につまみを合わせた。低く長い連続した音。じりじりという音と共にチーズが焼ける香ばしい匂いが立つ。


「ふぅむ、片付けしますかね」


 残り物のカレーは使い切ったし、タッパーや炊飯ジャーも先に洗っておきたい。

 ノーモア汚れ! 早い内に!

 一分置けば汚れと菌が大繁殖だ。真実かどうかは分からない。呟き、振り返る。


「……ふお!」


「我はお腹すいたぞ……!!」


 いつの間に洗面を終えたのか。だらしなさ全開で前髪から水滴を垂らすレティシアが膝を抱えて床に座り込み、こちらを見上げている。

 寝ぼけ状態から脱し、しっかりと焦点を結ぶ翡翠の瞳が鮮やかに煌き、がっちりとクラッチされた両腕の筋肉が盛り上がり。

 流麗なラインを描く眉、薄い桜色を刷いた滑らかな頬。揃えられた両の脚線はしかし妖怪丸太足。

 何か深刻なダメージを受けている気分になって視線を逸らす。

 最近視線逸らしが癖になって来た。言うまでもなく、マインドテロから儚い心の平穏を守るためだ。

 誰だ、体を鍛えている女の子が良いなどと言った下郎は! 引っ立てい、レティシアを見せてくれるわ!


「……レティシアさん、そこに座られてると作業がしにくいんですけど」


 声をかける。身長差があるので、レティシアを見下ろす形になるのは珍しいと言えば珍しい。

 というか、台所の地べたに座り込む様な行儀悪は俺が叱るのでそれも珍しいのだ。

 家では、筋トレするか何か女の子っぽい雑誌とか読むか鏡の前とか部屋の中心でポージングを取っている所ぐらいしか見ない。

 どんな駄目人間だこれは。


「お腹へった! 後プロテイン」


「子供かお前さんは……慣れたのは良いが、少しは遠慮しろというに。妖怪家事デキナーイめ」


「……」


「……? レティシアさんどうして俺の膝を掴んで……あちょ、やめやめやめ! 割れちゃう!? お膝の皿が割れぢゃうよぉ゛ぉ゛!」


 凄まじいまでの激痛。左ひざを万力の如く片手で締め上げるレティシアの瞳が、妖しく光っている。

 俺はぐ、ぐ、ぐと引き寄せられるままに膝を屈した。額に脂汗が、ついでに目に涙が浮かぶ。


「ごめ、ご……ごふ!」


 言えない……痛すぎてもはや謝れない!

 刻一刻と痛みは激しくなっていく。

 余りにもヴァイオレンスな苦痛責めに何とか離してもらおうとレティシアの手を掴んだ。びくともしない。あ、指も巻き込まれででででで!?


「ぐふふ、主殿。乙女に言ってはならぬ台詞を申したな……!」


「……! ……!」


 唯一無事な方の手で必死に床やレティシアの手を叩いてギブアップ表明。

 可憐に窄められた唇から洩れる、乙女にあるまじきぐふふ笑いをBGMに、俺のタップが怒濤のエイトビートを刻む。

 痛みが限界を越えてしばらく悶絶していると、レティシアはようやく手を離した。

 ふん、と鼻を鳴らし、


「良いか、主殿? 我は可憐な乙女だッ! 主殿は女心と言うものがちっとも分っておらぬ! むん!!」


 ムキムキ! 額に青筋立てつつのポージング。

 Yシャツの胸元からチラ見える大胸筋の割れ目がより深くなり、腕部の上腕三頭筋並びに上腕二頭筋、肩の僧帽筋がみっちり張り詰める。

 腕をこちらに伸ばす動きに合わせてぎちぎちという音と共に、凶悪な筋肉と筋肉の境界線がくっきりと浮かび上がる。

 力み過ぎのせいか、天然自然な赤鬼の仮面を被った姫の白い歯が暑苦しく光る。

 あまつさえ、つい先ほどまで俺の膝の皿を粉砕しようと猛威を振るっていた五指をわきわきと見せつけるのだ。


「……」


 まだ足が痛いので追撃は受けたくないし、傍から見るとレティシアは本当にイタイ人なのでそっと目を逸らす。

 決して暴君筋肉を怖れているのではない。自称魔法少女他称無差別精神爆撃機に対する俺の優しさ全開の宇宙的配慮だ。

 地球の公転速度で脳裏に煌めく無駄能力だが、言わぬが華という言葉もある。


「ぬは! 何だか、盛り上がってきたぞ……!!」


 決して俺如き常人には理解できないししたくない何がしかの興奮に、レティシアは目覚めている。

 先ほどまでの怒りもどこへやら、上機嫌にポーズを変えつつちょこちょこと摺り足で流し台から鏡の方へと向かうのだ。

 かくして、俺の家に重心を崩さない摺り足横移動をする完全自律型迷惑筋肉見せつけ機の姿がご降臨なされた。単純にキモい。


「……神よ……」


 ひっそりと厳粛かつ適当に十字を切り、何か間違っている気がしないでもないので首を傾げてから柏手を打つ。

 ちなみに、我が家の神様は福の神様と貧乏神様である。特に理由はない。

 憎い奴が現れたら貧乏神様奴を不幸に! と祈り。

 何か幸せなことがあったら福の神様サンキュー! と感謝する。

 その程度の信仰心に過ぎないのだ。日本人的モラトリアムが生み出す驚異の無宗教。

 そんなことをしていると鼻孔に馥郁たるチーズの焼ける香ばしい匂いが届き、台所の床についていた膝に力を込め立ち上がる。

 軽い疼痛が残っていたが、レティシアから理不尽マッスルアタックを受けるのが日常になっているので気にも止めなかった。

 一時的に凄い痛いが、決して後遺症とか残らないように絶妙な加減で俺を痛めつけるのだ。最悪の技術である。


 オーブントースターの焼き上がりを示す音に導かれるまま、ドリアの様子を覗き見る。

 何やかやで放置してしまっていたが、焦げた様子はない。こんがりときつね色の焼き目が付いたチーズがとろとろとカレーにかかっている。

 香ばしい匂いを嗅いで口内に涎が溜まる。絶妙の案配だ。

 熱くて素手では触れないので、厚手のミトンで器を取り出し、平皿の上に乗せる。

 落ちない様気をつけながらテーブルまで持って行った。往復してスプーンを用意し、冷たい麦茶を二人分グラスに注ぐ。

 出来るなら先に洗い物を片しておきたかったがそうもいかない。未練たらたらに恨めしげな視線を流し台に送りつつ、異空間と化す浴室に顔を出す。


 ぐきゅるるるるるご!


「あはん! ぬはん! うっはぁぁぁぁん!!」


 目を逸らした。眉間を揉みほぐし、一息ついてから声だけを届ける。

 一瞬で目に焼き付いてしまった悪魔的光景を一刻も早く完全削除してしまいたい。

 何故、少しも色っぽくない声でせくしぃ? ポーズを極めんとするレティシアの姿を視界に納めねばならぬのですかゴッド!

 色気出そうとする前に地鳴りの様な腹の音を止めて下さい。


「……ご飯出来たヨー」


 何か邪悪な筋肉物質を含んでいそうな汗をまき散らしつつ、満面の笑みでポージングするビルダーウーマン。

 彼女が戦隊物のヒーローだったらきっと、日課のポージングタイム中は怪人をスルーで鏡の前に立っているに違いない熱心さだ。うわ、戦隊物だったら後四人くらい居るじゃないか。想像するだに恐ろしい。

 ふと自分の境遇がとても不憫に思えてしまったせいか、もの凄く小声で昼餉の完成を告げた。

 無論、ちょっとしたお茶目の様なものだ。気付かなかったらドリアが冷めるまでそっとしておこう何て思っていない。多分。


「何と! やっとか主殿!? いや素晴らしいす・ぐ・に・行・く・ぞ……! ラストー! ふぬぁ!!」


 ち、聞こえたのか。飯の事に関しては脅威の地獄耳を誇るレティシアに戦慄を感じつつ、怖いもの見たさでもう一度浴室を覗きこんだ。

 ラストのポージングに何選択するんだろう。

 そして激しく後悔する。

 怖い物見たさ……人間はなんと業の深い生き物なのだろうか……。


「うきゃあああああ!」


 何という筆舌に尽くしがたさ……! 見てはいけないもの見てしまった。

 その熟れ熟れの肉体が生み出す絶妙な精神攻撃具合は悶絶級だ。目を逸らす所か素早く踵を返し、力なく床に腰を落ち着ける。

 注いだ麦茶を半分程一気に飲み干してつっぷした。

 ……何て食欲を減退させる画像なんだろう……。


「うむ……これで完全に目が覚めた……ぬ!? 主殿、何をしておるのだ? 体調が優れないのかご飯ハリーハリー!」


「心配より食欲の方が上じゃねーか! ……全く、ほれスプーン。今日のご飯は即席カレードリアです! 熱いから気を付けてね!」


「ふあ! 熱熱っ!? しあやへろひあーーー!!」


「聞けよ俺の言葉を、言わんこっちゃない……何、舌火傷した? ……はい麦茶」


 差し出した麦茶が強引に掻っ攫われる。行儀悪く零れた滴を、台拭きで拭き取った。ちらと顔を上げると、涙目で麦茶をちびちび舐めている姿。

 お馬鹿め。

 舌が痛いのであればしばらく大人しくしているだろう。

 一度席を立ち、レティシアの口に氷を一つ突っ込んでやってから菩薩の気持ちで手を合わせ、頂きます。

 カレードリアにスプーンを入れた。


 はふはふ。美味し。




「主殿ー! それでは、我は今日もちょっと出てくるぞ! ふむん!」


 無駄筋肉を無駄張り切りさせて無駄ポージングを取りながら、レティシアから声が飛ぶ。

 パソコンの画面に向かっていた視線を引きはがして玄関に目をやると、着替えをして靴を履いている彼女の姿が目に入った。

 かけっぱなしにしている軽快な洋楽ロックの音量を絞り、こちらも声を上げる。


「はーい、夕飯までには戻ってこいよ。後無意味に町の人をあの世に送っちゃいかん。具体的にはポーズ取るな筋肉みなぎらせるな。OK?」


「我は子供ではない! それに、この筋肉美は人を脅かしたりしないのだ。偶に……そう、偶に感動の余り気絶する者がおるだけだ!!」


 嘘臭ぇーーー。 ジト目で眺めると、ついっとレティシアは視線を逸らす。一応自覚はあるのか。

 丈夫なカーゴパンツに黒のブーツ、大きく十字架がデザインされたTシャツを身に纏ったレティシアの口が何か言いたげにもごもご動いた。

 露出が控え目なので、パースが狂ってるとしか思えない頭身に全力を賭して目を瞑れば、何とか見られる姿になっている気がしないでもない。

 いや無理だ。美少女顔に大柄ボディはどうしても違和感がある。


「ぬぅ! 主殿、行ってきます!」


 しばし視線を彷徨わせていたレティシアは劣勢に立った故か、焦った様に玄関を開け放ち半ば駆け足で外へと飛び出していった。室内に沈黙が下りる。

 一つ溜息をついた。


「何か最近、外出が多いなぁ」


 そう、筋肉ムキムキの癖に、運動と言えば室内筋トレか室内シャドーボクシングしかしないレティシア。

 特に用事もなければぷち引き籠っている駄目人間な彼女は最近、時間を問わず良く外に出る。これが更生の兆しなのか。

 個人的には外に出るたびに何がしかの都市伝説を作ってくるので、引き籠っている位が丁度良いのだが。

 こう、何か服に鉄の匂いのする赤い怪塗料が付着しているとか。服がぼろぼろになっていたりとか。何と戦ってるんだろう。熊? プーキラー?

 ぐっと背筋を伸ばし、床に転がった。

 ついつい忘れがちになるが、レティシアが来る前はいつもこの静寂だった。

 この狭い部屋に友人を呼ぶことはないし、そもそも交友関係はそんなに広くない。不本意ながら友人(仮)であるハゲも何かと忙しいらしい。

 しんと静まり返る部屋は、好むものでもあるし寂しいものでもある。


 まぁ、それはそれとして。


「ドゥフフ! ロリなお姉さんの画像を集めるでござる!」


 がば! と起き上がりネットに接続。軽快な動作で立ち上がったブラウザを操作する。

 こればっかりは他人の目がある所で出来ないのだ。珠玉の画像庫、至宝たるムフフ画像を集めるのに人目は不要。むしろ無用。


 むひむひ笑いながらお気に入りフォルダをクリックしようと――


「主殿!? 撫子殿が今」


「お兄さまー、この前は突然帰ってしまって申し訳ありませんわ。お詫びの意味で、今日はちゃんとお掃除してさしあげますからね!?」


「ぬおおお!」


「ひょわーーーーー!」


 神速の動きでブラウザの閉じるボタンをクリック。脂汗を流しながら勢いに任せてノートパソコンも閉じた。

 力を入れすぎたかも知れぬと焦りながらも、あくまで本命は機密情報の保持だ。設定の通り、パソコンは静かに休止状態になる。


「……どうしたんですの?」


「主殿?」


「ふう、イヤ、ナンデモナイヨー……いらっしゃい撫子。んで今日は何だって?」


 汗を手の甲で拭いつつ、何とかそれだけ口にする。

 胸に手を当てると心臓がばくばく鳴っているのが分かった。やべぇマジ危ないですわコレ。


「だから撫子が、駄生活を送っているお兄さまの為に嫌々ながらお掃除」


「だから家の前に立ってもじもじしていたのか!」


「うるさいわね!?」


 ずかずかと上がりこんだ撫子の姿に目を瞠った。先程は動転していて気付かなかったが、白地に赤のラインが入った、瀟洒な着物を着付けている。

 夏祭り以外で着物を見ることが珍しいので、しげしげと眺めた。良し悪しは分らずとも、妹とは言え綺麗な少女が和服を着こなす姿は上々。

 しかし、三人も居ると流石に部屋が狭い。


「う、うるさくなどない我は主殿の家に住んでいるのであるし気にするのは当然だッ!! ぬは!」


「やめてよキモいのムキムキすんな! それに何開きなおってるんですの!?」


「だって撫子殿が魅せて堕とs」


「なぶ、だ、だまりゅえー!」


「やーい噛んだな!? 噛んだな!?」


「この……!」


 顔を真赤に染めた撫子がレティシアにくってかかる。この二人、いつの間に仲良くなったんだろうか。首を捻る。

 まぁ、仮にも女性同士であるし、そういうこともあるかと納得した。


 しかしこう、字面では何でもない戯れだが、着物姿の清楚な美少女が筋肉で出来た要塞に挑むのだ。

 ひのきの棒で魔王に挑む位には無謀に見える。

 あぁ、案の定。

 なでしこは ひのきの棒 でなぐりかかった!

 しかし れてぃしあには きかなかった!


「あぶっ」


「あ、撫子殿!? ごめ……」


 俺は見ていた。遠ざけようとでもしたのだろう、レティシアが何気なく突き出した掌が、豪速で持って撫子の小さなお鼻に突撃するのを。

 あんなモンが飛んで来たらそりゃあ……あ、鼻血。


「うえ、うえぇ、うぇぇぇぇぇぇん!」


 爆泣き。余程痛かったのか、撫子はへたりとその場に座り込み、鼻を押さえながら眼尻からぽろぽろと涙の粒を零す。

 おろおろと慌てて何も出来ないレティシアを横目に、俺はずりずりとティッシュの箱を引き寄せた。


「……もうキャラ崩れまくりですね妹よ。はいティッシュ」


「うぐ!」


 ぱっと差し出したティッシュは一瞬で奪われた。

 薄くではあるが化粧もしていたのだろう、涙の跡に沿ってファンデーションが滲んでいる。


「うわ……鼻血と涙で凄いことに……」


「うー! みにゃいれ!(見ないで)」


 座り込み、涙する和装少女。しかし鼻血。

 それはそれでカオスで可哀そう過ぎる光景なので、そっと撫子から目を逸らした。身ぶりでレティシアに指示を出す。

 了解したのか、そうっと撫子の隣へ膝を着くのを確認し、台所へ向かった。

 洗面所にしまってあるタオルを取り出し、水に濡らしたタオルを2つ、片方だけビニール袋にくるんでレンジでチン。


 暖かいタオルと冷たいタオルを交互に当てれば、涙の跡が残らないと聞いたことがあるからである。




「……こほん、私としたことが、取り乱しましたわ」


「おいまだ鼻の頭赤いですよ」


「……!」


 コワ! 切れ長の瞳で睨みつけられ、思わず首を竦めた。黒曜石の瞳がギラギラ輝いている。

 逆らったら多分食われる。肉食獣的な意味できっと。


「で、掃除するとか言ってましたけどおぜうさん。何しに来たーの?」


 話を逸らす為に指摘すると、撫子は如何にもやる気なさげに視線を振る。

 俺の隣で、小さくなろうとして泰山の如く鎮座していらっしゃるレティシアがびくぅと震えた。

 その動きで僅かに床が揺れる。我が家がボロいのかレティシアが重いのか。真実は体重計だけが知っている。


「あぁ……今日はもうやる気なくなったのですわ」


「す、すまぬ」


「ふん」


 短いやりとり。しかし、ロリーなおねえたまの画像を検索する楽しみを奪われた俺の追及は止まらない。

 怒髪天を衝くと、逆にざっくり切り捨てられそうな予感がビンビン来ているので、なるべく柔らかにだ。

 決してヘタレてはいない。高度な外交的手段の行使と言って貰いたい。


「ほう、まぁそれは置いといて何しに来たの?」


「ちょっと、ご報告に」


 個人的にオラオラな勢いで、しかし外から見たらごく弱気な俺は首をかしげて疑問符を飛ばした。

 宙を飛んだ目に見えない記号を、撫子が手で叩き落とす。

 ……ハートとかじゃ、ないのにね。


「撫子、この下の階に引っ越してきましたの。だからそのご挨拶に」


「「えぇぇ」」


 図らずも声が被る。小さくなっているはずのレティシアの方へ向くと、目が合った。ぐ、と互いにサムズアップ。

 それを見た撫子がバムバムと両手でテーブルを叩いた。


「な、何でそんな残念そうなんですの!?」


「だって撫子蹴るんだもん」


「それに、我の強敵であるからして。あと主殿、男が「もん」はちょっと」


 むむむ、と気色ばんだ様子の撫子は眉を顰めて言葉を放つ。


「全くあなた達は……それとお仕事の方もお休みすることにしましたから! 異論は認めません具体的には撫子に絶対服従!」


 台詞の結びと同時にすっくと立ち上がる。細工の美しい扇子を取り出し、仰け反って無い胸張りながらぱたぱた自分を煽ぐ。

 仰け反り過ぎて白いのど仏が露わになっている。


 カオスだ。

 何をどう言えばいいのか分からな過ぎて、とりあえずテレビをつけた。

 人気絶頂の国民的アイドルがいきなり仕事を休職したら、ニュースの一つにもなっているはずである。


 果たして、確かにニュースになっていた。それどころかどの放送局も撫子が一時芸能界から撤退する旨の記者会見を流している。

 あれ、こんな人気だったのか。凄いな。暴動とか起きないか心配だ。

 撫子の顔をぽかんと見上げた顔が間抜け面だったのか、妹は物理的に上から目線で鼻を鳴らした。


「という訳で撫子に絶対服従ですわ。良いですの? この豚奴隷」


「ひど! お兄ちゃんは撫子をそんな風に育てた覚えは……」


「お黙り?」


 青筋立てた顔も怖いが、完璧な笑顔の中で目だけが笑ってないのも怖い。正直ヘタレな俺は視線を合わせていられずついと下げた。


 撫子に睨まれると、リアルお馬さんごっこ! などと言って撫子を乗せた状態で砂利道を駆けずり回った時の傷が痛むのだ……。

 勿論四つん這いで全力疾走。当時洟垂れ小僧だった俺は半ズボン着用。膝がどうなったのか言うまでもない。

 血塗れスプラッタである!


「仰せのままに女王様! でででですからもうこれ以上鞭では打たないで! 私は豚です! 無能な豚野郎でございますぅぅぅ! ぶ、ブヒブヒ!」


「撫子殿……」


「ちょ!? 鞭で打ったことなんてないでしょう! というか、仮にも可愛い妹が一つ屋根の下に来るというのに、嬉しくはありませんの!? 妹萌えはどこですの!?」


 土下座。土下座である。どうぞ好きなだけお踏み下さいませ女王様! という伝説の体勢である。

 ぐりぐりと畳に額を押しつけていると、レティシアの声が耳に入った。焦った様な撫子の声も続く。

 うひょひょ。撫子をからかうのは楽しい。

 こんなことばかりしているから、もしかしなくてもいびられているのやも知れぬ。

 だがやめられない止まらない。


「もう! 嘘ばっかり仰って。……それにしても、踏み易そうですのね……踏み………ほらほら……どうですの……!」


「イタタ! 痛い痛い! ……あ、でもちょっと気持ち良……良くないよ! ダメだよ!」


 まさか本当に踏まれるとは。頭をぐりぐり擦りつけつつ、尻を左右に振るキモ土下座を決めていた俺の後頭部に衝撃が走る。

 そのままぐぅりぐぅりと踏みにじられて危うく、危ない趣味に目覚めそうになった。

 トリップしかけていた思考と撫子の足を振り払い、逃れる。


 実の義妹の前、というか足の下で身悶えかけていたのだ。レティシアの変態を見る視線が痛い。

 気まずさを誤魔化す為、俺は立ち上がり高らかに叫んだ。


「妹! 可愛い妹が来るのは吝かではござらん! お兄ちゃんなどと呼ばれた日にはその道の人ならば悶え嬉死ぬだろう! しかしっ!」


 びし! と撫子を指さす。いきなりテンションマックスの兄の奇行に付いていけないのか、半歩後ずさられる。

 動きに合わせて結い上げた黒髪がさらりと流れた。

 撫子のファンなら鼻息荒く飛び掛かる場面かもしれないが、今の俺はそんな不埒な行為など遙か彼方、高貴で末期な脳内ワールドに夢中なのだ。


「妹!? 否、それでは駄目なのだ! 例え時代が妹を求めていようとも、我ら、我らのような高潔の士は妹イベントで喜ぶ訳にはいかないッ!!」


「「……」」


 あ、ヤバイ何かテンション上がって来た。止まらないぞコレ。レティシアと撫子の蔑むを越えて蔑ろにするような視線も気にならない。

 今俺は新世界の神だ。間違いない。

 うひょー。


「実妹!? 義妹!? 年下の幼馴染妹キャラ!? ヤンデレツンデレ素直クールロリ! そんな! ものではッ! 俺の心は揺らがないッッ! 何故なら――」




 そして冒頭の神ングアウトに戻るわけだが。

 水月に叩き込まれた痛みで強制的に神から徒人へ戻った俺は、恥ずかしさの余り死にたくなった。

 そう、所詮俺は徒人。神などではないのだ。

 仮にも女性の前で、自分が年上巨乳姉キャラ萌えだということを暴露してしまう人間。


 ……頑丈なロープねーかな。

 軽く鬱っている俺を余所に、撫子が復活を果たす。ステップを刻みつつ油断なくこちらを窺う筋肉姫の姿が怖い。

 もう一度鳩尾に喰らえば確実にリバースする。絶対する。

 そうなれば、既にレッドゾーンに差し掛かりつつある俺の社会的信用度が底打ち底抜け、負の世界へとフルダイブだ。それだけは避けたい切実に。


「も、もう蹴らないで下さい……」


 しかし、レティシアに向けて放った懇願は先に撫子の元へと届いたようだ。幽鬼の如く立ち上がり、ゆらりゆらりとこちらへ歩み寄る。

 垂れた前髪で目線が隠れ、その表情は読み取れない。

 正直な話怖い。こういう妖怪を昔話の中で聞いたことがある気がする。口さけ?

 ゆぅらりと面を上げた撫子の瞳と目を合わせて、俺はひぃと息を呑む。ひくひくと引き攣っている頬が非情に恐怖だ。

 私は恐怖が貴女のジョン。

 脳内言語も不確かだ。状況的には全くおいしくないし笑える要素皆無の絶望的逼迫感なのだが、膝が笑う……!


「……所詮、男は乳か! デカイ乳が良いのか! ホルスタインですか! ……私は! 私が満足するまで! 踏むのをッ! っ止めない!!」


「うべ! うべ! あ、脇腹はやめ゛ッ! ば! お腹から何かはみ出ちゃう!」


 スタンピング! アイムスタンピング受け身!

 着物の裾をからげつつ、連続でそのおみ足を振り下ろす撫子。一撃一撃に体重が乗っていて地味に痛い。

 い、痛い。いた、て、いてて骨! そこ骨ボーン! あああ踏みにじらないで!



「ふぅ、ふぅ、ふぅ……今日はこの辺で、勘弁しておいてあげますわ? ……次胸のこと言ったら殺すわよ!? あぁ!?」


 一体何分経ったのだろうか。肩で息をしつつようやっと、全身全霊で兄を踏みなじる斬新な啓蒙運動を終えた撫子は、とても良い笑顔で言い捨てた。

 未だぐにぐにと頬を踏み踏みされたままなので、気の抜けた声しか出せない。


「……ヴぁい」


 漏れ出た声は震えていた。ふん! 荒々しく鼻を鳴らした撫子大明神がおみ足を退けて下さる。

 思いっきり息を吸い、肺に十分な空気が入りこむのと同時に体の到る所から鈍痛が響いた。吐く息は熱。痛みを堪える独特の物だ。

 まぁ自業自得である。


「レティシアさん? ……引っ越しの荷物が重くて。荷ほどき手伝って下さいませんこと?」


「うむ……構わぬが……その」


「あぁ、そこに転がっている変態虫は無視していてくださいまし。姉だ巨乳だとはぁはぁはぁはぁ盛る豚野郎ですから。躾ですの。愛の鞭」


「……」


 もぞ、と動いた。首だけ浮かせて2人を見やる。

 主犯の一人のくせに心配そうなレティシアの視線とは別に撫子の鋭すぎる視線が突き刺さり、ノーアクションで目を逸らした。

 強い者に従う。弱肉強食は生物の本能である。

 虫で豚ですぶぅ。日本語は喋れない設定なのだ多分。不用意な発言は間違い無くゴートゥヘル。


 そう、これは本能である。大事なことなので二回言った。

 ……これ以上踏まれたら、色んな汁が噴き出ちゃうのだ。


「ではまた。お伺いに参りますわ」


 バタムン!

 扉が閉まる強烈な音が、空しく部屋に響く。

 ……からかい過ぎたか。



 後悔先に立たず。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ