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第四十六話 スリッパで頭十発も殴られて

 ヒュドラがけたたましく叫んだ。


 ギャアアアウアア!


『あ、あんさん、ほんまに英語話せるんかいな? もう一回ちゃんと言うてみ! でけへんかったら――奥歯、ガタガタいわせたるで!』


 め、めっちゃ期待されてる! ヒュドラの目が心なしか鋭くなった気がする。日光が当たったときの猫の目みたいに瞳孔が細くなっている。丸のみ確定コースへまっしぐらじゃない? 


 俺ならできる……。できるぞ! コウタのアドバイスがあれば、たぶん。


「コ、コウタ……絶対に英語の失敗は許されないぞ」


「クランさん! 俺が絶対に英語でへまはさせませんよ。必ず聞こえたとおりに発音し下さい!


 これでも俺、英検は三級を取得しています!」


「それ、ほんとに通訳者レベルなのか? 信じるぞ」


「I have a pen.」


「ア、アイハブアペン。ペン? ペンって言ったのか?」


「I have an……」


「ちょと待て! ペンってなんだよ! ちゃんと通じるのか? っていうか意味は?」


「私はペンを持っています」


「コウタ。いいか。俺はペンなんか持ってないし。ヒュドラにそんなつまらないことをエイゴで話しても意味ないだろ!」


 ギャウハハ!


『英語、久しぶりに聞けたわ』


「え?」


 ギャウギャウ。ギャウギャウ。ギャウギャウ。


『俺、元は異世界日本でペットの蛇やってん。飼い主が俺のことを飼育しきれんなって、捨てられてん』


 は、はぁ?


 ギャウギャウ。ギャウギャウギャハハ。ギャウギャウビーン。


『で、近所をうろついて誰彼かまわずメンチきってたんや。そしたら、おばはんが俺の姿にびびってな』


「は、はぁ」


 異世界日本の蛇だったのか? つまりこっちに転生してきた蛇なのか。獄炎(エシュトア)ダンジョンは、磁場が不安定で空間がゆがんでいるとは聞くが、異世界日本とも繋がっているとは。


 だとしたら、召喚の儀をとおさなくても、この場所に異世界日本人が現れることもあるんだろうな。


 だとしたら、大変だ。俺の鑑定を受けずにみな、野垂れ死ぬことになる。


 もしかして、獄炎(エシュトア)ダンジョンに転がってるしかばねのほとんどって、迷子の異世界日本人の死体なんじゃ? 


 ギャバババババババババババウウウン。


『そんで、おばはん。泣いてるくせにな。近くにあったスリッパをつかんだんや。蛇の俺の姿見ても逃げへんだけ、肝がすわってたわ。そんで、俺死んでもーてんよ。スリッパで頭十発も殴られて』


「お、お大事に」


 ギャウア!


『アホ! 俺はもう死んでもうたんや。生まれ変わったらヒュドラで。ああ。頭三つになってもうて。俺、毎日右の頭と左の頭と喧嘩しとんねん。特に右の頭だけは意思疎通でけへん! 右の頭だけは英語でしか会話でけへんねんよ!』


「え、お前じゃなくて。右の頭なのか。エイゴで話さないとダメなやつ。うわ、めんどくさい。俺、温泉探しに行くから。じゃーなー」


 ギャウア!


『アホ! 右の頭にこれだけは伝えてーな! 俺が長年伝えられへんかったことがあんねん!』


 ヒュドラの真ん中の首が意を決したように、右の首にうなずく。右の首は眼光鋭いままだ。


 ギャウ!


『お前、口臭いねんって』


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