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第四十四話 英語は話せますか?

 乱入したヒュドラのせいで、強制的に地下五階層に落ちた俺たち。


 これって、ドリアンたち魔術師Sランクパーティー十人を相手にしていたときより、まずくない? 


 ここ、下手したら魔王がいる最下層だよな。熱風で熱い。獄炎(エシュトア)ダンジョンというだけあって、サウナ状態だ。目に汗が入ってしみる。


 目の前には怒り狂ったヒュドラが頭三つをもたげて威嚇(いかく)する! 


 俺は、温泉のため! 女湯のため! 女の赤裸々(せきらら)な素肌のためならば戦う覚悟がある!


 だけど、本音も言わせて! 温泉の源泉を探しに来ただけなんだってば! 


 だいたい、どうして第四階層の床に突っ込んできたんだよ! こいつは!


「まあいい。魔術師どもは今ので、壊滅。厄介なのはドリアンだけだったしな」


 運が良ければ、ドリアンも毒で野垂れ死んでくれるだろう。あいつが魔王の跡継ぎだなんて、バカらしい。


 ギャウウウアア! ギャウアアア! ギャウア!


 ヒュドラの頭三つがそれぞれ威嚇してくる。


『俺がかたづける!』『お前は黙っとけ』『プリーズスピークイングリッシュ』


 最後の頭、俺の知らない言語で話しているっぽいけど……き、気のせいかな?


「まったく、うるさいヒュドラだな。鑑定士様の俺が、弱点を透視してやるよ。強制ステータスオープン!」




【種 族】 ヒュドラ

【性 別】 オス

【レベル】 888

【攻撃力】 1900

【体 力】 1500

【防御力】 1800

【魔 力】 1500

【速 さ】 650

 



 なかなかの強敵! だが、倒せない敵などいない! 裏ステ! 裏ステ! 裏ステータスにこそ、討伐のヒントが載っているのだ!


 ペラリ。




裏ステータス

【魔 法】 真ん中の首……()()()。右の首……上級火炎球(ファイヤーボール)。左の首……斬撃(スライスラ)飛翔(ライド)

【特 技】 炎上(ファイア)(ブレス)

【弱 点】 思いやりの心。おもてなしの心。

深層心理……どいつもこいつも、日本語で話しかけてきやがって! 分かるかボケ! 英語で話しかけてこいや!

願望……Can(キャン) you(ユー) speak(スピーク) English(イングリッシュ)? (英語は話せますか?)

過去……いつまでさかのぼりますか? 年数を選択して下さい。




「エイゴ……?」


 俺は絶句する。生つばが喉を伝う。冷や汗が流れる。


 見たこともない言葉に、文字! 鑑定士の俺に理解できない――意味不明な言葉が存在してたまるか!


「あ、痛たたたた。おもいっきり落ちましたねクランさん。で、どうしたんです。クランさん? 弱点は見つかりましたか? 顔が真っ青ですよ」


 尻もちをついているコウタに、ヒュドラのステータスカードをいっしょに見てもらう。問題の箇所(かしょ)を。


「エイゴって何?」


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