第四十三話 乱入
水流砕岩の威力も減って、顔に水がかかった程度ですんだ。おお、ドリアンンの裏ステータスの驚愕値、ビンビンだな。
【驚愕値】 70/100
俺としては、マックスの100振り切ってほしかったんだけど。
今度、白竜神ギルドのランドルフをつれてきてドリアンにじかに告白させよう。
俺、鑑定士として男同士の恋愛でも応援しちゃうぞ! 俺はごめんだけどな。
しかも、弱点である『プライドを傷つけられること』も見事に傷つけることに成功している。
ドリアン悶えちゃって。かっこ悪いぞ。
はははは! 俺、もしホモに惚れられたらそいつぶん殴りに行くかな。ドリアンには早くランドルフを紹介したい! どうやって二人を引き合わせよっかな?
なんて考えてたとき足場が崩れた。
「うそだろ! ここ地下四階だぞ!」
鍾乳石がぐらぐらと揺れる。とがった岩が天井から落ちてくる。マジでヤバイ!
俺と同じことを思ったのかドリアンも俺との距離を取る。俺たちを分かつように一番大きな鍾乳石が落ちてきた。
「ぎゃああああああ」
コウタと、ミミネの悲鳴。下敷きとかやめてくれよ。と、願っていると足元から突き上げる振動が伝わる。
これは、魔物の気配。
「壁透視! いや、床透視!」
俺は目を凝らす。そして、かがむ。射程範囲十センチはやっぱ、短い! 湿った土の下にモンスターの青い光沢を放つ、うろこが見てとれる。これは!
地面を突き破って現れる、ドラゴンの頭、頭、頭。三つある。
地下四階の階層が崩れ落ちる。
「ひゃー! クランさーん!」
コウタ! 女みたいな声で落ちてるんじゃないぞ!
「きゃー!」
ステフ? 今行く!
「うわあああああああああああ」
だめだ、俺も落ちた。頭が三つのドラゴンが床に穴を空けたのだ。誰も立っていられるわけがない。
「待ちなさい! このエロ鑑定士! 地の底に逃げようがあんたの尻は、あたしが粉々に蹴り砕いてやるわ!」と、ミミネも落ちる。こっち来なくていいよ、お前は。
「がああ」
ドリアンもやられて落ちる。間に岩が分け入るように落下したおかげで、ドリアンとは上手いこと別れられそうだ。ラッキー!
ギャウワアア!
問題は、頭が三つあるこの青いドラゴン。こいつ、ひょっとして。
「ヒュドラか!」
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