突然
とんとん、と扉が叩かれる。
僕は彼女だと思って、扉を開いた。
「突然ですが、初めまして!」
そこにいたのは、僕より少し背の高い男で、黒服を着ていたので、怪しい奴だと思って扉を閉めようとした。
「待って、待って。俺怪しくないから!」
男はそう言って僕が締めようとした扉を素手で止めた。
「な、なんて馬鹿力なんだ!」
「ふふふ、驚いた?俺は力には自信があるんだよね?スピードの風太郎」
僕の正体は誰も知らないはずだった。その力も。けれども突然現れた奴は僕の力もコードネームも知っていた。
「スカウトに来ました。正義の味方の「ジャスティス」のメンバーになってくれませんか?」
ジャスティス??
まさに正義だけど、なんか弱そうな名前だな
「俺がリーダーで、今仲間を探しているんだ。君が車に轢かれそうな子どもを助けたのを見た!君には正義の心がある!ぜひ、入会を!」
深く頭を下げられ、こういう特殊な力を持っている仲間もいなかった僕は、思わず頷いていた。
「やった!ゲットだぜ!」
男はそう言いながら、僕を抱きしめる。
「鷹くん?どういうこと」
「え。あ?華ちゃん?」
僕は驚いた彼女の顔を見て、やっと自分の状況に気がついた。
男を押しのける。
「ち、違うんだ!華ちゃん」
「鷹ちゃんの馬鹿!」
華ちゃんはそう言って、持っていたケーキの入った箱を僕にぶつける。
グチャッと嫌な音がして、顔中がクリームだらけになった。
「まだまだ修行がたらないね。スピードでよけないと」
「お前が悪いんだろ!」
結局、僕は華ちゃんにうまく説明できないまま、振られてしまった。
「hahaha!正義の味方は孤独なものだ!」
男がそう高笑いをしたので、僕はその背中にとび蹴りを食らわせた。
「お前のせいだ!」
(おしまい)