もう一方
朝起きると、すごく嫌な汗をかいていた。おそらく寝苦しかったのだろう。おそらくというのは寝ているときに何かしら夢を見ても朝起きると覚えていないためだ。ひとまずリビングに降りて朝食を食べる。
「今日から2年生ね。頑張りなさい。あ、夕ご飯は冷蔵庫の残り物を…」
母親とテンプレートトークをしながら朝食を摂りおえ、家を出る。
「ほら悠、早くいくわよ。」
姉だ。姉は1学年違いで進学先も一緒だったので、登校も一緒だ。
「「いってきまーす」」
東家のテンプレートな二人はテンプレートな玄関を出て、学校へ向かう。
なんとも淡白な朝だが、現実的にはこんなもんだろう。
「そろそろ進路を決めないとなー」
「姉ちゃんなら勉強はそこそこできるんだし受かるところ多いだろ」
姉はふふんと鼻を鳴らしながらも
「進学かー、かったるいなー。ずっと高校生がよいよなー」
などとぐだぐだ言っているので、無視をすることにした。携帯を見ると、メールが入っていた。友人の怜からのようだ。
『今日からうちのクラスに転校生がくるらしいぞ!』
こんな田舎に転校生ね…と思いつつも『楽しみだな。』そう返信しておいた。
「今日は転校生を紹介するぞ」
教室からは様々な感想が投げかけられる。喜び、驚き、男か、女か、席はどうする、空いてる席ある?、俺の隣を開ける、ゴリゴリの男だったらどうする、イケメンかな、かわいいかな…
入ってきた転校生は…女子だ。しかもかなり、かなりかわいい。俗にいうかわいい。普段感情があまり出ないやつでもワタワタしちゃう感じの、なんかすごくいい感じのかわいい子だ。男子からも女子からも人気が出そうな、そういう感じの子だ。
「倉橋和です。よろしくお願いします。」
「倉橋さんとこれから仲良くしてってなー。じゃあ席は…とりあえず窓際の一番後ろの席で頼む。」
はい、と言って席に向かう。俺が主人公だったら、俺の隣とか後ろなんだよなあ…出席番号1番。悔しい。




