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エピローグ

 ――あれから、二ケ月が経った。


 普通に、俺は生きていた。


 あの時大橋に、皆の元に帰って来たのが、最善の行動だったからだ。


 俺は三人の顔を最期に見たかったから瞬間移動したのだが、ルードヴァンが居たんだった。


 元々ルードヴァンの力だから、俺が死ぬ間際に力を返すことができたらしい。

 かなりギリギリだったようで、三日間も意識を無くしていたが、なんとか復活することができた。


 力もスコアも俺はルードヴァンに返し、ファウスと戦う前ぐらいにまでステータスが戻っている。


 スコアは俺は名前を載りたくないと言ったこともあり、今はフェリックスとか魔族の名前が載っていた。

 ラバードを倒したローファも載っていたみたいだったが、俺が載りたくないと言ったことで、ルードヴァンはローファもスコアから外してくれたようだ。

 あの後は魔族の侵攻によっての復興作業に、俺達も協力した。

 三大龍となった火・木・天の神龍によって五大迷宮の付近は守られていたこともあり、ダンジョンに向かった冒険者達の犠牲は出ているも、街に被害が出るまでには至らなかったようだ。




 ある程度落ち着いてきて、そして二ケ月後、セレスの特訓を終えたローファとミーアと共に、ある場所へとやって来ている。


 オサンの街から少し離れの場所にある教会。


 この場所はセレスの別荘にして、ここ六カ月の間に俺達に内緒で婚礼ができる教会に建て替えていたらしい。 

 セレスのもう一つのトランスポイントが置いていた場所であり、余命が僅かだった仲間から眼を譲ってもらい、スキルが増え、トランスポイントも二つ作れるようになっていたらしく、それにはルードヴァンも人間の奇跡だと驚いていたな。


 教会の一室――俺の目の前には、純白のドレスに身を包んだローファ、ミーア、セレスの姿があった。

「ソウマ様、どうですか?」

 そう満面の笑みを浮かべて聞いてくるローファの頭を、俺は笑顔で撫でて。

「物凄く可愛いな」

「えへへ……」

 結婚式後にやることを想像しているのか、ローファの紅潮とした顔は色っぽく、ウエディングドレスを鏡で見つめて幸せそうな顔を先ほどは浮かべていた。


 精霊の加護によって俺の気持ちが何となく解ると知ってから二ヶ月経つが、俺は特にローファに何も隠していることがないから、特に変化は起きなかったな。

 猫の姿が見たいなと思ったら猫の姿になってくれたり、メイド服を着てくれたり、ミーアとセレスにも色々と勧めたりと、色々と物凄くありがたかった。 


 お互いが満面の笑みを浮かべていると、ミーアがくいくいと服の袖を引っ張ってくる。

 ミーアに目をやると、顔を赤らめながら。

「に、似合ってる、かな?」

 そう聞いてくるミーアはいつも白がメインの法衣を着ているが、純白のウエディングドレスとなると魅力が更に増す。

 今日という機会限定だからこそなのかもしれないが、俺は感極まるしかない。

「似合ってる。とても綺麗だ」

「あ、ありがとう……あはは、でも、スケジュールだけ教えてリハーサルなしって……セレスは本気なのかかな?」

「最初の一回で最高の状態になりたいって言ってたからな……まあ、来てる人が来てる人だし、なんか間違っても誰も気にしないさ」


 教会内部はシンプルであり、真ん中の通路、そして左右に複数の長椅子が配置されている。

 そこに自由に座っていたり立って談笑をしている招待客は、セレスの昔のパーティメンバー以外は、俺が追放された後に関わった人達だ。

「大魔王、天使長、龍帝……色々信じられないわよ」

「俺も……追放されて半年の間に、色々あったもんだと思うしかないな」

 他にもエルフ、魔王の秘書、人類最強、半天使だ。

 追放されて以降関わったことがある人だけを呼んだのだが、今にして思えば凄まじい。


 俺は本来のんびり過ごすつもりでいたし、多彩なスキルを得てからはのんびり過ごせてきたと思う。

 偶に巻き込まれる規模が九天命とか魔界と天界絡みでデカかっただけだ。

「まさか、こんなことになるなんてな……」

 それはもう終わった。

 最終決戦からの二ヶ月は、平和だったからな。


 俺の言葉を聞いて、ミーアが微笑み。

「そうよね……あたしさ、ソウマと会えて本当によかったわ」

「ああ、俺もだよ。これからもよろしくな」

 お互いが笑みを浮かべると、ローファがミーアに式のスケジュールについて話そうとしていたので、俺は気になった所へ向かう。


「セレス」

「うわひゃっ!?」

 美少女姿で何度も深呼吸をしている純白のドレスを着たセレスの肩を触ると、飛び跳ねるような反応ををしめしてくる。

 控室の端の方で企画者が何をしているのかと思い声をかけたのだが、どうやらかなり緊張しているようだ。

 ウエディングドレスはいつものドレスより露出が少ない、それでもミーアのウエディングドレスより露出が目立ち、可愛いローファ、綺麗なミーア、妖艶のセレスという感じだ。


 半年経つが、未だにこの三人と結婚したことが、偶に信じられなくなってしまうな。

 そう考えてしまうとローファが「そんなことはありません!」と言って俺を安心させてくれるのだが。


 とりあえず、俺は精神が不安定になっているセレスを落ち着かせようとする。

「だ、大丈夫か……?」

「う、うむ! 元仲間から婚礼について色々聞いたし、わらわが教えた通りに動いてくれれば、問題はないのじゃ!」

 セレスに聞いていたとはいえ、俺は初対面だから挨拶に行った時、他の来客達の存在に驚いていた人達か。


 ロマネと知り合いでもあり、ヒメナラ、ミキレース、トウ、エルドもそこに集まっていたので、ギルドの席みたいになっていたな。

 バネッサとカミィとローグの三人と、バネッサとローグの子供が一人か。

 もう冒険者をやっていないようだが応援に呼ばれていて、二ヶ月前の魔族との戦闘でもかなりの活躍をしたらしく、セレスのパーティメンバーだけあってかなりのステータスをしている。


 その元パーティメンバーに色々聞いたと言っているが、セレスはガチガチに緊張している。 

「……俺はセレスに会えて、本当によかったよ」

 ミーアに先に言われたけれど、俺は本心をセレスに告げた。

「ふぇっ!?」

 落ち着かせようとしていたのだが、セレスは更に慌てふためいていた。


 ローファはほぼ毎日感謝の言葉が本能からか勝手に出てきてしまうのだが、ミーアとセレスは俺が緊張するせいか、言うタイミングがないとあんまり言えないんだよな。

「皆が居なかったら此処まで来られなかったからさ、俺はローファ、ミーア、そしてセレスの三人と一緒で幸せだ」

 そう言えば、セレスは満面の笑みを浮かべて。

「うむ! 他には増えることはなさそうじゃしの! ソウマならわらわ達皆を愛してくれると確信しておるのじゃ、そしてこれからは……うへへへへへ♡」

 セレスが顔を崩して歓喜の声を漏らして自分の世界に入ったので、俺は式場に向かうことにした。


 もうそろそろ結婚式が始まる時間だ。

 俺も一応スケジュール的なのを頭に叩き込んでいるが、皆に合わせれば大丈夫だろう。

 そこまで来客は居ないのだが……席はギルド側と、魔界と天界とエルフ側で左右に分かれているな。

 ギルドの皆は先に集まっていたけれど、魔界天界側は数十分ぐらい前に来てくれている。


 ギルド側の挨拶は最初にセレスの元パーティの会話の時にやっている、皆からおめでとうと言ってくれたのはとても嬉しかったな。 

 ミキレースは最初に見たど派手な衣装ではなく、普通の服装で俺は驚くしかなかった。


 ロマネは決着後大橋で雷神龍を倒したことで、エルドに対してビクビクしまくっていたのだが、エルドは仕方がないことだと言ってくれて、龍について色々と話したりしているらしい。


 エルドも「レグロラと仲直りができた!」と上機嫌で、レグロラはギルドには入らないもエルドと共に行動しているらしい。

 今日も誘ったみたいだがレグロラは「俺様が行っても誰だと言われるだけだぞエルド!」と断わられてしまったと言ってきた、当然だろう。


 トウは全く喋っていないが、ヒメナラと手を繋いで幸せそうだ。

 一ヶ月ぐらい前に「半天使スキルもあって魂喰らいの調整ができそうだ」と報告に来たのだが、まだ練習中なのだろうか。

 でも、俺に「おめでとう」と言ってくれた時は全く苦痛だとは思わなかったし、成功しているのだろう。

  

 魔界、天界側の席に向かう。

「ローファ様のウェディングドレス姿を一生記憶に残し続けなければ……」

 村長夫妻の横でネルティが今か今かと待ちわびている。話しかけるのは式が終わってからでいいか。

 頭を下げてくれた村長夫妻に頭を下げ、一つ後ろの席で、どっしりと座っている小柄な黒髪の美少年。

「結婚おめでとう――と、この場では言うのだろう?」

 ルードヴァンが、俺に告げる。

「ああ、ありがとう。未だにその姿なんだな」

「モニカがこっちの方がいいと言うのでな」

 そう言いながら、ニコニコとしながらルードヴァンを眺めているモニカ。


 モニカが俺に顔をやって、席から立ち上がって頭を下げる。

「結婚おめでとうソウマ。ルードヴァン様の結婚式来客用衣装は私が用意したんだ! 素晴らしいだろ!!」

「あ、ああ……」

 モニカは露出が激しい服ではなく、紫のワンピースのような服装であり、ギャップもあってとても美しいな。

 小柄な美少年について熱く語っているが、とてつもない程に楽しそうだからいいだろう。

 

 俺が手に入れた誓をルードヴァンに返したことで、魔界も安定しているらしい。

「クレンが天使を呼んで祝福するとか言っておったが我が止めさせた……疑似天界も潰したし、天界から天使を此処に呼ぶとなると式の途中になりそうだが……」

「いや、呼ばなくていいから」

 アルダを倒すことによって俺が所持していた第二天使の誓もルードヴァンに渡していたようで、それは全てクレンに返しているようだ。

「結婚おめでとうございます」

 そして大天使長となったクレンが、俺に一礼をする。

「ああ、ありがとう」

 クレンなら世界を平和にする大天使長になるだろうと元大天使長のお墨付きであり、魔界と天界はこれで大丈夫だろう。 


 Eランクスキル「石喰らい」が発覚してパーティを追放されるが、魔石を喰らうことで多彩なスキルを手に入れて、俺たちは幸せになることができた。 


 色々なことに巻き込まれたけれど、この時の為ならば――それは全て、かけがいのないものだ。


 この結婚式場を眺めて――世界は安定を続けると、俺は確信を持つことができる。


 鐘の音が鳴り響く。

 全員が揃い、時間となったから鳴らしたのだろう。


 ――結婚式が始まる。


 俺は笑みを浮かべながら、祭壇に向かった。

 完結となります。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


 ブックマーク登録、評価、感想、とても嬉しかったです。

 本当にありがとうございました。

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