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海神龍と対峙する

「いやー楽しみだな、ソウマ!」

「そうですね!」

 一時間ぐらい作戦会議の後、俺はロマネと共に小型の魔法船で大海原へと航海へ出ていた。

 魔法船は帆もなにも張っていない、乗っている者の魔力を消費し、操作機で操作する便利道具だ。

 装備にカウントされるので、戦闘時は遠くに放して装備カウントから外すらしい。

 四種類しか装備品は効果を発揮されず、それは意志で変更もできるが、数秒のロスがあるので、実践でポンポン装備を変えることはできない。

 物凄い勢いで海を爆走しているので最高に気持ち良く、俺のテンションは半端なく上がっている。

 隣で笑みを浮かべているロマネは俺以上に楽しそうだった。


 まるでデートしているかのような気分のようであり、聞いてしまう。

「ロマネさんは、リヴァイアサンと戦ったことあるんですか?」

「呼び捨てで構わない。もうパーティの一人って感じで接してくれ! 今年になって四回目だな!!」

 結構やり合っているな。

 まだ今年に入って四ケ月しか経っていないというのに四回か、月一ペースだ。

 驚いている俺を楽しそうに見つめながら、海龍のいる方に指をさす。

「龍と、それも龍王クラスとやり合うのは最高に楽しんだ。生死のスリルとかもあるけど、勇者って感じがするだろ?」

「ステータスは龍神じゃなかったんですか?」

「ああ、あいつらは龍神って名称だけど龍王でもあるんだよ。六大龍。十数年前は七大龍だったけけどな」

「へぇ」

 なんか聞いたことがあるような気がする。

「私の家は代々ドラゴンスレイヤーだったんだよ。皆ドラゴン狩って生きてきた。大龍とか、邪龍とかね」

 ドラゴンスレイヤーとは、巨大な龍を狩る存在だ。

「自分より遥かにデカいモンスターを同じような火力でぶちのめす! そして喝采を浴びる! 正にヒーローだ!!」

 かなり男勝りな女性だ。赤髪の腰の所まで伸びている髪を一本に束ね、軽そうな赤と白が混ざった鎧を纏っているスタイルのいい妖艶な美女と二人で行動するだなんて、三日前には考えていなかっただろう。


 ロマネはこれから戦う敵に夢中だが、俺は借りた剣に夢中だった。

「これ……俺達が勝ったら、本当にくれるんですか?」

 剣どころじゃない、防具、腕輪、手袋まで全部ロマネがくれたものだ。

 最初防具は私のが男女兼用だし一番性能いいぞ!と、装備を解除して手元に移動させたので下着姿になったのに俺達は驚くしかなかったもんだぜ。

 あの時のミーアと互角な豊満な胸と、強烈な上下同じちょっと透けていた赤色の下着は未だに目に焼きついている。

 ミーアの「あれぐらい透けてる方がいいのね~」というからかい混じりの一言は今後を楽しみにさせてくれるし、胸をじっと眺めたローファの悲しげな瞳は何とかしてやりたいとは思うも、なんともできないだろう。

 着たばかりのロマネの服を着たいという欲求はあったが、それに関しては俺は断わっていた。

 下着姿になっていたロマネに関しては何も気にせず無表情だったが、それを見る俺に感じては軽蔑の眼差しを突きつけるヒメナラのこともあったけれど、相手が相手だ。ロマネの防御力を下げるということはしたくない。

 なので、ロマネが持っている中でも最上位らしい装備四種類を、俺は装備している。

 普通戦士系の装備は攻撃と防御が上がって速度が落ちるのだが、俺は上がっている。

 その分、パーティを追い出される時よりも攻撃と防御の上りは悪いが、速度が落ちないというのはデカい。


「ああ。生き延びたら倒せなくてもやろう! いやー参加者募るんだけど皆嫌だ嫌だって集まらなくてな、私のメンバーも死にたくないって言って、ヒメナラ以外皆辞めてしまった! だから募集中なのだよ!」

 そりゃそうだろうよ。

 ヒメナラは強そうだったが、基本的に海龍狩りには参加はしていないということなのか。

「というか、リヴァイアサンのステータスって、Sランクでもキツいんですか?」

 SランクもAランクもどれ程のステータスなのか解らないのだが、ロマネはAランクリーダー格で最大値が3000に到達していない。

 SランクはAランクでも上位にならないと教えられないとされているので、気になった俺は聞いた。

「いや、Sランクなら倒せる者も居るだろう。だけど、Sランクの冒険者は基本的に龍を狩ろうとはしない」

「……なんでですか?」

「SランクのことはAランクの一部にしか話してはならないのだが、他言無用で頼むぞ。Sランクパーティの一人にな、龍王を統べる龍帝というのが人の姿で居るんだ。流石に同じ仲間で同胞潰されると、悪き気がして遠慮したりしているのだろう」

 初めて聞く情報に驚くが、それならこの行為はマズいのではないだろうか?

「……俺達、大丈夫なんですか?」

「ははっ、Sランクの連中が気を使っているだけだ。もし同胞潰されたからと襲いかかってきているのなら、私の一族はとっくの昔に滅んでいるし、クエストにも出そうとしないだろう……恐らく龍帝はこう言うはずさ、弱者が悪いってね」

 それもロマネの推測だと思うが、とっくの昔に滅んでいるというのは納得ができる理由だった。

 

 俺達は目的地に、海龍の生息地に到着した。

 かなりの距離があったので、ロマネが居なければ辿り憑くことはできなかっただろう。

「……練習したとはいえ、海だとちょっと怖いですね」

「練習道具もこれも全部水だ。いけるいける!」

 小舟から飛び降りて、俺達は水の上に着地した。

 水魔法の応用技であり、自らを水に適応させることで、水上移動を可能とさせる。

 魔法というのは書物の呪文とかを魂に刻む必要があり、刻まず、石で行う場合、精度は半減し、使えないこともある。

 これは水魔法の初歩の初歩だから問題なく、水使いや魔法使いが水魔法を魂に刻めば水中で息もできるらしい。


 作戦を聞いていた際、ヒメナラに木魔法で作られた巨大な桶に水魔法で水を入れ、その上に乗ること三十分ぐらい。

 魔力が高いとはいえ、慣れるのに時間がかかり、俺はようやく水上の移動を可能にした。

 問題があるとすれば常に水に意識を向けなければ沈むということで、これは戦闘時にはキツいかもしれない。

 まあ、最悪瞬間移動があるし、なんとかなるだろう。

 水による攻撃で意識をなくしたら終わりだから、そこは最重要で警戒すべきだな。


 そして、ロマネは小舟を腰に備えたポーチに入れ、腕輪を右腕に装備した。

 マジッグバッグとはいえ、四人ぐらい乗れる船が腰の小さなポーチに入る光景は驚くしかない。

 さらにポーチから取り出した小袋から、小粒の石ころをヒョイと何個か掴む。

 魔力の籠もっている宝玉らしく、普通に食べることもできるので龍王はこれを好むらしい。

 つまりはエサだ。

 あれを喰らったらどんな味がするのだろうか。

 勝った後で、少しもらえないか聞いてみよう。


 待つこと数分、急に大気がピリピリと振動を始めた。

 俺は最初ロマネの行動を見るように言われているので、後衛として待機している。

「くるぞ!!」

 ロマネの発言と共に、俺達は後方へ高く飛び、青色の巨大な蛇が飛び出し、膨大な水の波を発生させた。

 胴体と頭部しか見えないが、紫の双眸、獰猛な牙を剥き出しにして、海神龍が姿を現した。

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