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ローファの過去

 戦いが終わり、安堵したと同時、俺の全身から一気に力が抜ける。


 俺は全身を突っ伏すかのように木の葉が散らばる大地に四肢を叩きつけると、皆が俺の元にやって来てくれた。

 ミーアが俺の背中に手を当て、体内に聖魔力を送ってくれているみたいで、少し楽になり、なんとか立ち上がるも、これはかなりキツい。

 不安げにしている三人に「大丈夫だ」と言ってから、俺は本音を漏らした。

「とっとと帰って寝たいんだけど……やることもあるんだよな……」

 クラジの発言で、気になったことがあった。

 奴の発言通りなら、まだやらなければならないことが、俺にはある。


 俺の言葉に、ネルティはぽかんとした表情を浮かべ、セレス、ミーア、ローファは顔を見合わせて。

「やる事……村長夫妻に挨拶じゃの!」

「そ、そうですね……」

 セレスがハッとした表情で声を出し、ローファがもじもじと赤面していた。

 そういえば、それもあるんだったな……。

 まさか今日こうなると思ってなかったから、どう挨拶したらいいのか何も考えてないや。


 普通に「俺はローファと結婚します!」でいいのだろうか?

 それで村長夫妻に「ならば私達を倒してからだ」とか言われたら、この状態だと勝てる気がしないんだけど。

 

 まだふらつくので、ミーアに肩を借りることにして、そんな俺を心配そうにローファが眺めている。

 ミーアのマジックバッグの回復薬の調合材料もほぼほぼ使い果たしたようだが、それで俺以外の皆の残ったMPは3、4割ぐらいらしい。

 俺はHPMPが高いこともあって、HPは全快するも、MPは少しの回復となっていたが、HPが全快してから、これで十分だから先に皆のMPを回復して欲しいと俺が頼んだからだ。

 とはいえ、全員明らかにくたくたで、疲弊していることがよく解る。

「皆様……本当にありがとうございました!!」

 そして俺の隣で、弓を持ちながらも、ビクビクしながら突っ立っていただけのネルティが全身を使って頭を下げてくる。

 この人、これが得意技だったりするのだろうかってぐらい、鮮やかで見事な頭の下げ方だな。


 そして、ネルティが起き上がりながらローファを眺めて、感激したかのような瞳から涙を零し。

「ローファ様がこれ程までに逞しくなられるとは……エタニア様……亡き母上様も、死後の世界でさぞお喜びになられるでしょう……」

「えっ?」

 唐突に母親と言われて、ローファが驚いた。


 なんか、これから重大そうな話が始まりそうな気がするぞ。

 それも気になるのだけれども、先にやらないといけないことがあるんだ。

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 本当に、今急ぎでやらないといけないことがあるから……ネルティ!」

「はっ、はい!!」

 俺はクラジとの戦いの中、光が迫ってきた発生地と思われる場所に、指を差し。

「エルフの長ってのは、あっちにいるのか?」

 少し驚いたかのように、ネルティが頷いた。

「は、はい。フェリックス様が移動していないのならば、そうですけど……」

 クラジの発言、そして疑似天界、真っ先に思い返すのは結晶体となったセレスだ。

 俺の予想が正しいのなら……。 

「そこに連れて行ってくれ、もしかしたら、前のセレスみたいになってるかもしれないからな」

 エルフの長を結晶に入れられて、それによって疑似天界が発生したと、俺は考えている。


 もしそうならば、その結晶化を対処できるのは、俺のスキル(石喰らい)しかないだろう。


 ネルティに案内されて、俺達は図書館のような建物にやってきた。


 外装は奇麗だったのだが、内装は滅茶苦茶荒れている。

 しかし本棚と本が散らばったり燃えカスがあったりするぐらいで、建物自体は傷がなさそうだ。


 そして、入口から入って少し進み、二階への階段がある場所に、エルフの長が居た。


 結晶じゃなかったらどうしようかと不安になっていたのだが、セレスと同じような、いや、それよりも巨大な結晶が、そこにはあった。

「ああ……フェリックス様!!」

 ネルティが悲痛そうな悲鳴を漏らす。

 その結晶の中心地に、一階に居た肉体の所々を引き裂かれ、ボロボロになっている美形のエルフが、閉じ込められていたからだ。


 俺を含む全員が、フェリックスと呼ばれた男の結晶を眺め。

「……ソウマ、わらわはこうなっておったのか?」

「ああ、サイズはこっちの方が大きいけど、見た目とかはまんまこれだな」

 白銀に輝く縦長な結晶はダンジョンコアを思い出すが、それよりも遥かに神々しい巨大な結晶体。


 俺は、知っている限りの説明を、四人に行った。

「クラジの奴が言ってたけど、これは聖刻っていう道具の力らしい……推測になるけど、魔力が高い奴を閉じ込めることで結晶にして、その力か知らないけど疑似天界を張れるんだと思う」

 今までのことから推測だが、その発言を聞いて、セレスは納得したかのように頷いた。

「確かに……わらわが封印された、ダンジョンの場所と同じ感覚を受けたが……ならば、外部から力を察知できなくなっておるのじゃろう」

 今はエルフの里全てが、疑似とはいえ天界だとは、信じがたい現象だった。


 セレスの時と同じなら、石喰らいで何とかなるだろう。 


 フェリックスを中心とした膨大な白銀の結晶に触れて、俺は意識を強め、それを取り込む。


 セレスの時に感じたのと同じ、いや、それ以上に濃密かつ芳醇な味わいだ。


 まるで、疲弊が癒えていくかのような気分を――

 いや、これは本当に回復しているぞ!?


 さっきまで意識が耄碌としていたのが嘘のように、俺はMPと精神力を回復させていく。

「おっと……」

 あまりにも一気に肉体に活力が戻ったから、俺はふらつきかけた。

「な、なんじゃこのステータスの上昇っぷりは!?」

 セレスがそう叫ぶが、俺の意識が不安定となり、それどころではない。


 一気に回復したからか?

「あ、あ、あれ……」

 俺は身体をふらつかせてしまい、皆が俺の名を叫んでいた。

 必死になれば堪えることはできそうだったが、今はもう安全だろう、意識を無くしてもいいんじゃないだろうか。


 そして、俺はそのまま倒れることとなる。


――――――


「――ん」

 意識を取り戻し、俺は起き上がると、腰に向かって物凄い衝撃が襲った。

 衝撃と共に柔らかい感触が、俺の腰にやって来る。

 ベッドに寝かされていて、ローファが起き上がった俺に全力で抱擁したのか。

「ソウマ様!!」

 ずっと俺を眺めていたのだろう、心配そうなローファが、涙目で俺を見上げている。

「よかった……もう起きないのかと……思いました……」

「ごめんな、もう大丈夫だ」

 俺は、ぐすぐす声を漏らし、身体を小刻みに震わせているローファの頭を撫でた。

 柔らかい青い髪の感触が心地いい、ずっと堪能していたいも、色々と気になる事もある。


 まず周囲を見渡してみるも、この狭い空間には俺とローファの二人しか見えない。

 どうやら、ここは木でできた小屋の様で、簡素な木のベッドに俺は寝かされていた様だ。

 館の大部屋より狭いも、寝室の一室よりは広いといった所か。

 椅子が二脚あり、テーブルが一つと簡素な部屋だが、この一部屋だけで小さな家となっているようだ。

「ここは……」

 茫然としていると、ローファが満面の笑みを向けて。

「はい! ここは私が住んでいた村になります!」

 小屋の中だから、どんな村なのかは解っていないのだが、どうやらローファの故郷らしい。


 そして小屋の扉から、美幼女姿のセレスがやって来た。

「目覚めたかソウマよ!」

 歓喜の声を漏らし、ニコニコとしながら俺に迫って来る。

 戦闘時はかなり不安定な様子を見せていたのだが、元に戻って何よりだ。

 どうやら俺に向かって飛びつこうとしたようだが、ローファの姿を見てピクリと途中で制止し、コホンと咳込み。

「よ、よかった……ソウマは五時間ほど眠っておったのじゃ……それにしても……」

 五時間か、結構寝てたんだな。


 もう俺は完全回復してしまった様だが、皆は大丈夫なのだろうか。

 セレスがそれにしてもと言っていたが……。

「どうしたんだ?」

 セレスの発言が気になり、俺は質問する。

「う、うむ……ソウマが石を取り込んだ時、ステータスはかなり上昇した。わらわが測定できぬ程にな……しかし、今はわらわが何とか測定できるし、エルフの里に来る前より強いのじゃが……」

 それは今までなかった体験なのか、セレスは「うむむ」と僅かに悩んでいるようだ。

 セレスが測定できるステータス値は確か、26800のはずだが、俺がエルフの長で作られた結晶を取り込むことにより、ステータスが一時的にそれを上回り、今は何とかセレスが測定できる程なのか。


 気になったので、それは後で鏡で確認してみるとして、俺はその原因を思案する。


 一時的なステータスの上昇で、身体がおかしくなっていたってことなのか?


 俺は完全に回復しているので、セレスに聞く。

「結局、あの後どうなったんだ?」

「うむ……フェリックスとやらはまだ意識が戻っておらぬのじゃ。わらわは意識だけはあったからか、すぐに復活できたのじゃが、目覚めるにはまだ時間がかかるのかもしれぬな……」

 フェリックスのステータスは神眼で確認でき、魔力が20000で他は18000ぐらいだったはずだ。

 スキルがAランクスキルの透明化、凝固、魔力覚醒を持っていた。

 これがスコアに載る最低限のレベルなのかもしれないな。

 セレスがこうして意識を取り戻しているのだがら、大丈夫だとは思うのだが。


 まあ、意識が戻るのを待つしかないだろうし、俺達は関わる気がない。

 この場に居ないミーアがどこに居るのか、俺は気になった。

「ミーアは?」

「ネルティが救ってくれたお礼として道具をくれるようでの、貰いに行っておる……エルフの秘薬の材料でな、なんとどれ程のHPMPでも全快できる超希少の道具、全快薬の材料らしいのじゃ、今は一つしか作れぬらしいが、それをくれるとは太っ腹よの!」

「それは凄いな」

 一つ限定って、使いどころが全く分からなくなりそうだ。

「普通の回復薬となる素材もくれたからの、わらわ達のHPMPは全快しておるのじゃ」

 とはいえ、セレスはどこか気怠そうであり、精神力は回復できていないことがすぐに解る。


 ミーアの強化状態は早急に解除したいのだが、解除すれば即座に不調になってしまう。

 なら、館に戻ってからの方がいいだろう。

 すると、ネルティとミーアが、扉を開けて小屋の中に入ってくる。

「ソウマ! 起きたのね!」

 ミーアが喜び、ネルティが俺の前へとやって来て。

「この度は本当にありがとうございました! 全快薬の素材だけでよろしいのでしょうか? 他に若返りの秘薬もありますが……」

「若返り……い、いやいや、お主は長ではないのじゃし、そうポンポン渡すものでもないじゃろ、全快薬の素材だけでよい」

 セレス、一瞬躊躇ったな。

 いや、今も戸惑っているぞ、かなり欲しそうにうずうずとしているが、なんとか堪えている。

 まあ、一つぐらい貰っておくべきかと、HPMPが全て回復するらしい全快薬の素材に関しては、お互いが納得しているようだ。


「ミーア、その強化状態、解除するか?」

 俺がとりあえず聞けば、ミーアは首を左右に振った。

「もう結構経っちゃったからね。館に戻ってからの方がいいわ、明日は休みにするってセレスも言ってるからね」

「うむ……流石に今日は、色々とありすぎたからの……」

 俺は完全回復している。

 皆も回復薬で回復はしているのだが、疲労は抜けていない。

 こればかりは回復薬でもどうしようもならず、聖魔力でも僅かに回復する程度であり、寝るしかない。


 俺はそれも含めて全快していて、なんだか申し訳なくなってくるな。

「さてと、これでようやく、ゆっくり話せそうだな」

 確か、ネルティはローファの過去について、話してくれるんだったか。

 俺はベッドから椅子に移動する。

 ローファを膝に乗せて、セレスとミーアはベッドに腰かけていた。


 そして俺と向かい合う様に椅子にネルティが座り、頭を下げる。

「大体の事情はわらわが聞いておる」

 セレスがそう言い、ネルティが頭を下げた状態で。

「ソウマ様……私はリリカ・ネルティと申します」

「俺はソウマでいいぞ」

「いえ、ローファ様がソウマ様ならソウマ様と呼ばせていただきます。この度は本当にありがとうございました。……私は昔、ローファ様の母君であるミーシャ・エタニア様に仕える戦士でした」

 つまりローファの母親がエルフだったということか。


 ネルティは続ける。

「エタニア様、いえミーシャ様は私よりも強く、人間のフリをして人間界にあるダンジョンに赴く仕事を、私達と共に行っておりました」

 ダンジョンのアイテムは貴重品が多い。

 エルフの里にはダンジョンがないから、生物界に態々お隠れでやって来ていたということか。

 生物界の連絡役と自らを言っていたが、そういうことだったんだな。そりゃギルドのこととかも知っているわけだ。


 なんか、これだけで今までの話から、何となく把握できた俺は聞く。

「そこで、ローファの母であるミーシャさんが人間の男と結婚して、ローファが産まれたって事か……ローファの父親ってどんな人なんだ?」

 それに応えたのはセレスだった。

「……わらわはあまり知らぬのじゃが、何人もの女性を妻にして、それを隠して君だけを愛していると告げ、それがバレて妻の一人に刺されて殺されたことで有名な男じゃ、Sランク冒険者らしい」

 らしいってことは、大分昔のことだったりするのだろうか。

「わらわがAランクじゃった頃じゃから大分前じゃの……」

 ローファが産まれたのは十六年前だから、十六、七年前のセレスはAランクパーティだったという事か。

 十年は封印されていたから、セレスは十九か十八歳でミキレースと関わった頃、脳内お花畑と言われていた時代だな。

 いや、今はそんなことどうでもいいか。

 

 膝の上で満足そうなローファを撫でている俺を、じっとネルティが見定めてくる。

 俺は最初から皆仲良くだから……と、俺がそう思っていても、ネルティからすれば疑って当然か。

「お、俺はここの三人を愛しているけど、それだけだから、増える予定もないから」

 一応言っておくべきだろう。


 それを聞いて、ネルティは少し安堵したかのような表情を浮かべる。

「誰かに刺されることだけはないように……ミーシャ様はその時、身籠っていたこともあって助けに行くことができず、それに後悔しながらローファ様を出産後、自ら命を絶ったのです」

 そりゃ、俺を不安に思う訳だよ。

 そのミーシャさんはどんだけ夫を愛していたんだと思ってしまうが、ローファも俺が死んだら命を絶ちそうな感じはある。

 実際どうなのか分からないけれど、俺も溺愛しているし、ローファもそれを受け入れているからな。


「後は話した通りになります……ミーシャ様とその強かったクソヤ、婚約者の方はお強く、それによって誕生なされたローファ様はとてつもない才能を持っておりましたが……当然、ハーフエルフとなります。エルフの特徴はほとんどなく、最初はある程度育ててから里を追い出す予定となっておりました」

 今、ネルティは無茶苦茶憎々し気にクソ野郎って言いかけたな。

 すぐに冷淡そうな表情に戻し、ネルティは話を続けた。

「私は必死にフェリックス様に頼みました……そして十五歳までは許すも、そこから価値はなければ殺すと宣言されました。フェリックス様としても立場があり、それは最大限の譲歩となります」

 気に食わないが、ハーフエルフとエルフは明らかに違うのはネルティ、テラーカ、フェリックスを見て理解することができている。

 

「そして十五歳になったから、殺される前にお前達が人攫いを行って、誰かの奴隷にしたということか」

 人攫いの犯人はエルフであり、恐らく奴隷にしたのは人間界との連絡を行っているネルティの知り合い辺りだろう。

「はい……ローファ様を鍛えてしまうと、他の同胞達が強さを危惧し、早急に抹殺してくる可能性がありましたので、どこか離れた場所、人間の住む所で鍛える必要がありました……奴隷商と、その主人となる者に関わりがあったので、ローファ様を攫い、奴隷にして鍛えることで、強くなったローファ様を里に戻し、戦士となってもらう予定でしたが……」

 ネルティはローファの事を考えていたということなのか。


 それでも不愉快なことは変わりないのだが、それしかなかったのかもしれないな。

「そして、奴隷になっていたローファを俺が助けて、妻になったと……ローファは、ここに居たいか?」

 話を聞き終えた俺は、見下ろす形になりながらも、じっとローファを見つめて聞いた。

 膝の上に座っているローファは大きい瞳で俺をじっと見上げて、すぐさまキッパリと、目の前に居るネルティに顔を向けて言い放つ。

「いえ、ソウマ様と一緒に居たいです! ネルティさんのことは解りましたけれど、私はソウマ様から離れたくありません!」

 ――よかった。

 これでエルフの里に居ますって言われたら、復活した俺の精神力が砕け散る所だったからな。


 それを見て、ネルティがふっと笑みを浮かべて。

「ミーシャ様を思い出させますよ……元々ハーフエルフを戦士としてこの里に連れ戻したいと提案していたのは私だけです……私は、ミーシャ様の娘であるローファ様が幸せなら、それが一番だと思っております」

 そう言って、ネルティは優雅に立ち上がり、俺に向かって頭を下げる。

 この人、かなり若くて美人なんだけど、ミーシャさんの部下をしていたのか、一体何歳なんだろうな。


 そう考えていると、二人の成熟した男女のエルフが、小屋の扉からやって来た。


 若々く見えるも、初老で気品を感じる夫妻、一体何歳なのだろうか。

 そしてパッと膝に座っていたローファが勢いよく立ち上がり、とてとてと二人の元に行き、手の平で二人を俺に説明するかのように。

「ソウマ様! このお二人が私を育ててくれた、村長夫妻です!!」

「あらあら、どうしてそんなに説明口調なんだい?」

 満面の笑みで俺に説明してくれたローファを、ニコニコとしながら眺めているエルフのおば様が告げた。


 この様子を見ると、もう再会の挨拶とかは終わっているようだ。

 そのおば様の隣に居るエルフのおじさんも、少し老化が始まっているも、筋肉質な肉体が目立つ。

 ステータスは大体平均3000ぐらい、おば様も魔力値は3500、他は2200ぐらいある。

 大人が2000から1000ぐらいあると言っていたし、村長はこれぐらいのステータスなのだろうか。


「さて……ちょっと出かけるのじゃ」

「ネルティ、行くわよ」

「えっ? えっ?」

 俺が考えている間に、ネルティはミーアに背を押されて、セレスを先頭に三人が小屋から出て行った。


 ローファはこれからの俺の行動を、眼をキラキラとさせながら眺めている。

 ワクワクといった風に、全身をそわそわとさせていた。


 遂に――この時が来たか。

「は、はじめまして……俺は人間の、ソウマと申します……」

 エルフ夫妻は、にこやかに俺を見つめている。


 信じられない程の緊張が、俺を襲っていた。

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