表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/70

上級天使の力

 時間は、しばらく前まで遡る。


「ソウマァァッ!!」

 セレスは叫ばずにはいられない。

 トウは偽者だと告げて、斬りかかったソウマが殴り飛ばされ、それを殴ったセイラーンが追ったからだ。


 どうするべきか僅かに悩むも、セレスはソウマが飛ばされた地点から木々の破壊される音を聴き、狼狽えているミーアに叫ぶ。

「落ち着け! ソウマはあの鎧と戦う気じゃ、瞬間移動があるし、いざとなれば逃げるはずじゃ……」

 実際、ソウマが逃げるかどうかは微妙な所だったのだが、ミーアを安心させるため、セレスは告げる。


「ここは任すぞ!」

 クラジはそう叫び、逃げるかのようにどこかへと駆けて行く。

 恐らくエルフの長の下なのだろう、狙いはエルフの長だと、セレスは推測していた。

 本当に長がスコアに載っていたことがある者ならば、あの程度の男に負けることはない。


「わらわ達は、こいつの相手をせねばならぬの……」

 そう言って、上級天使リアッケのステータスを確認する。

 天使は半天使スキルがないと見れないはずだが、スキルが封印されているせいか、セレスでも確認することが出来ていた。

 エルフの界眼持ちは、単純にステータス不足で見れなかったという事か。

 

 そして、ソウマが飛ばされてから警戒を強めながら敵を見定めていたローファがその言葉に軽く頷き、トウの姿をしているリアッケに斬りかかる。


 セレスはローファのステータスを確認した。


ローファ・エタニア

魔法剣士

HP135500

MP110300

攻撃12600+530

防御9810+390

速度13810+140

魔力13060+200

把握10600

スキル・精霊の加護()魔力覚醒()


 ローファが魂に刻んだ技術スキルは雷魔法・風魔法・魔纏刃・魔閃・加速線だ。

 ソウマが五種類でいいのなら私も五種類がいいと言っていたし、覚え始めて四ケ月ということもあり、魔法剣士ならこれがベストだとセレスのアドバイスを受けながら決めていた技術スキルだ。

 ローファが斬りかかった最中、ミーアは限界点薬を調合して飲み、ステータスがかなり向上している。

 大聖魔法・回復・範囲回復・解毒に加えて、聖光弾も刻むことでかなり強化されている後衛職だ。

「相手はステータスを見るに大したことがないのじゃから、これで問題なく勝てるの」

 ローファの稲妻を纏った魔纏刃の攻撃を捌き、リアッケが距離を取る。

 得体の知れない相手は動作を警戒するように告げている言葉を守り、警戒心を強めながら、ローファは眼前を注視していた。


 すると、リアッケはトウの顔を、まるで白いペンキでも塗ったかのように真っ白に変え、四人が驚愕する。

「――変質、発動」

 鼻筋も消失した、本当に真っ白いその顔から、何の感情も感じられない声が響く。

 すると、その顔がみるみる女性へと変貌を遂げ、肉体から服まで切り替わっていく。

 数秒も経たずに、かなりスタイルのいい姿となり、腰と胸には銀の防具を装備して居るも、他の部分は露出させた際どい美女の姿と化した。


 美形な寡黙剣士から、金髪ポニーテイルの美女に変質した姿を、ネルティを含めた四人は唖然として眺めるしかない。

 そしてリアッケが、美しく小さな口を開いて。

「一対多ならこれが一番か……この姿はモニカ・ロンマイ……の、4、5割程度の力だ」

「モ、モニカ……これが?」

 スコア序列六位の名前で自らを呼んだリアッケに、セレスが驚愕する。


 静止したままのリアッケに対し、ローファが魔纏刃によって稲妻を両刃の大剣に纏わせて突撃、セレスは結界魔法をセレス含む全員に纏わせることで身体を強化させ、ミーアが後衛から聖魔力による光弾を与えようとする。

 すると、リアッケの両手首だけが、透明化を発動したかのように視界から消失した。

「なんじゃ!?」

 全く思考外の動作に、セレスは驚愕するしかない。

「――亜空門(ゲート)

 その発言と共に、リアッケの周囲、少し空いた何も無い空間から、唐突に銀色の針金のような十本の閃光が飛び出し、離れた場所で眺めているだけのネルティを無視し、縦横無尽に三人の元へと迫る。

 

 セレスは銀の閃光を魔族が使える斬撃魔法だと推測し、二人に向かって叫ぶ。

「先端にかなりの魔力が籠められておる! 受けるか避けるのじゃ!!」

 セレスは結界魔法を纏った拳で弾き飛ばし、ローファはミーアの前に移り、全て弾き飛ばす。

 リアッケは距離を取りつつ、更に十本の銀の閃光を、何も無い空間から唐突に、様々な場所から三人に向かって飛ばしてくる。

「行きなさいローファ!!」

「はい!!」

 それを風の魔閃で弾き飛ばしつつ、ローファが大剣を前に突き出して突撃する。

「これが! 私の全力!!」

 ミーアが突き出した両腕から聖魔弾による膨大な閃光を放つ。

 聖魔弾は敵と意識した者にダメージを、味方と意識した者に強化を与える魔力攻撃だ。

 その光を背中から受けて加速し、身体を更に強化されたローファが刃に纏った風を雷に切り替え、最大技である魔纏雷撃の一撃を放つ。

 彼女は背後に跳ぶことで回避しようとしたが、見えない壁、セレスの結界によって動きを止めた。

「これでッッ!?」

 ローファの突きは、完全にリアッケを捉えていた。


 そして、ローファの突きを跳ぼうとしても間に合わないリアッケの両脚が切断させた。

 衝撃と稲妻を受けて吹き飛び、ローファの邪魔となるので瞬時にセレスが結界を解除し、ローファが振り向いて横薙ぎの一閃を放とうとする。

 しかし、空中で静止しているリアッケの両手、各指先から一本、計十本の銀の閃光がローファに迫り、大剣を振るうことでそれを弾く。


 その瞬間、リアッケの肉体が、徐々に回復していき、脚が元に戻っていた。


 その修復を眺め、セレスは聖魔力ではないと察し、驚いたように呟く。

「自動回復のスキルか、じゃが奴は変質スキルだけ……その力だとでもいうのか!?」

「わ、私は、どうすれば……」

 ステータス差もあって、ネルティは完全に棒立ちで戦闘を見守るしかなかった。

「……今のが最大の攻撃と断定、対処を開始する」

 先程の男とも女とも解らない声帯とは違う、凜々しい女性の声で、リアッケが告げた。


 しばらく、三人は攻撃を仕掛けるが、発言通りリアッケはそれを全てギリギリのところで対処してくる。


 リアッケが変質したモニカとやらの身体捌きが鋭く、銀閃を使いローファの行動を制限、ミーアとセレスは魔法を発動する瞬間を察知してかすぐに回避動作を始める。

 ローファ達が戦っている場所に木々はあまりなかったが、木の葉は散らばっているので、その音を察して動いているのだろう。

 ステータス的に互角かそれ以上をの三人を平然と相手にするリアッケに、セレスは驚愕するしかない。

(――これがスコア序列六位の力だというのか!?)

 Sランクスキルは常軌を逸した伝説のスキルだ。

 これがモニカのモノなのか、リアッケのモノなのかが解らないも、戦闘技術はかなり高いことを、セレスは理解していた。 


 ローファも鍛えていたとはいえ四ヶ月だけであり、実戦経験は乏しい。

 結構な年月戦ってきたミーアも、大聖魔法は覚えたばかり。

 だからこそ、セレスは肉体に結界魔法を纏わせ、前衛で殴りかかっていた。

 しかし、前衛は専門外だ。

 モニカは銀の閃光で行動を制限していたローファを掴み、セレスに向かって投げて利用することで攻撃を逸らしてくる。

「こいつ……回避に専念して、攻撃する気があまりないのじゃ!!」

 さっきから今まで行っている銀の針金のような攻撃も速度重視によるものだ。

 先端はかなりの威力はあるも、受けても吹き飛ぶ程度でしかない。


 それを巧みに使うことで、回避動作を助力している。

 流石に三対一だ。攻撃は当たってこそいるが、致命傷にはならず、すぐに修復してくる。

 このまま長期戦になれば勝てるのだが、ソウマの応援に行きたくもある。

 最小限の魔力と最大限の動作で三人の攻撃を対処し続けてくるリアッケに、セレスは歯軋りをした。

「ね、ねぇセレス……なんとかならない?」

 ミーアも同じ気持ちなのだろう、ローファは鬼気迫る勢いでリアッケに斬りかかり、ダメージを与えているも、焦りのせいか動きが単調なこともあって対処されやすく、決定打を与えることができていない。

「結界魔法で動きを止めようとしても察知して避けてくる……攻撃してくるのならカウンターで対処できるのじゃが……」

 攻撃は銀色の針金のような魔力による閃光だけであり、カウンターをするのは不可能だ。


 今の所、一番多種多彩な攻撃を仕掛けているのは、セレスだった。


 大魔道による魔法攻撃も全て察知されて回避し、僅かにダメージを与える程度にしかなっていない。

 もう結構な時間が経ったのにこれかと、セレスは苦言を呈すしかなかった。

「まあ、わらわ達もノーダメージじゃ、こちらにはミーアとマジックバックがあるしの……このまま長期戦になれば、負けることはないか」

 前衛はローファと、ローファが焦っていたら下げさせてセレスが行なっている。

 余裕ができるので後ろに下がり、マジックバックを持ったミーアが皆を回復しながら戦っているので、HPMPは一切減っていない。


 リアッケは誰かしらが攻撃に入るので、道具を使ってMPを回復する余裕は与えていないことから、MPは消耗しているはずだ。

 しかし、モニカの表情をするリアッケは、一切の焦りが感じられない。

「どうして、どうして! 私達の里を攻撃するんですか!?」

 攻撃しつつ、ローファが叫ぶ。

 会話に意識を集中させるとかではなく、単純に気になっていたのだろう。

「私より上の存在に指示されたからだ」

 端的な返答を聞き、ローファが唖然としていた。

 全く理解できないという表情で、叫ぶ。

「そこに貴方の意志は――」

「必要ない」

 リアッケが刃を回避しつつ銀閃を放ち、

「――いッ!?」

 それがローファの腕にに突き刺さり、僅かに怯んだ。

 ステータスが高いこともあり、骨まで到達せず肉で止まったが、かなりの痛みを伴うだろう。 


 ローファがミーアの元に来るかとセレスは推測したのだが、キュッと堪えた表情で、再度リアッケに突撃し、セレスが呟いた。

「……ミーア、さっきのように、今から言う位置へ、ローファと共にあの女を誘導せよ」

「わかったわ!」

 ミーアは、強く頷いた。


 ――結界で捕らえる。


 大魔道スキルによって作られた氷の槍を飛ばし、回避され、肉体に迫る銀閃を弾きつつ、ローファが雷の魔纏刃を振り抜くも、後方に下がって回避される。

 そしてミーアが、全力の聖魔弾をワザとリアッケから少しハズしながら放ち、狙い通りの場所に向かっての回避動作をリアッケが行なった。


 これはさっきから何度も試している作戦でもあった。

 先程はセレスが誘導した場所へ大魔道による大爆撃を放っていたが、下がりながら両腕で防御され、そこから修復されたのであまりダメージを受けているようには見えなかった。

 そこから警戒されて二回ミスをしたが、今度の結界魔法による捕縛は、成功する事ができていた。


 セレスが結界を発動し、リアッケを見えない壁で出来た不可視な魔力の箱に閉じ込める。

 時間がかかるが、かなりの魔力を消費することで発動した捕縛結界。

 これでリアッケの動きを止め、ミーアの聖魔弾によって強化されたローファの全力の魔纏雷撃を放つ、内側の強度を高め、外側の強度は脆いから、結界ごとリアッケを粉砕できる。 


「終わりじゃ!!」

「はい!!」

 セレスが勝ち誇り、ローファが魔纏刃で両刃の大剣に稲妻を纏わせながら叫ぶ。


 しかし、結界によって動きが止められたことが、理解できたのだろう。

 一瞬だけ動きを止めるも、リアッケは瞬時にその結界に触れることで、脆いガラスに衝撃を与えるかのように、容易く結界を砕け散らせていた。


「う、嘘じゃ……そんな……」

 絶対の自信を持っていた結界魔法が、あまりにも呆気なく砕かれたことに、セレスは呆然とするしかなかった。

「わ、わらわの、魔力のステータスはリアッケを上回っておる……本来割れるはずが……」

「亜空門で結界の一部を別次元に送った。それによって結界は崩壊する」

「そ、それだけで……それだけで、わらわの結界が……?」

「私と相性が最悪だった」

「そ、そんな……」

 Sランクスキルの理不尽な性能を受けて、セレスが膝をつきそうになり、それをミーアが支える。

「し、しっかりしてよ! まだ何かできるでしょ!?」

 励まされ、セレスは何とか、意識をリアッケに集中させる。

 こうしている間にも、ローファは先程銀の閃光を受けた箇所から僅かに血を流しながらも、必死にリアッケに斬りかかっている。


 全ては、早急に片をつけ、ソウマの元に行きたいからに他ならないだろう。

 それはセレス達も同じだ。

「う、うむ! 見る限り恐らくあのスキルは両腕限定じゃから、足を封じれば――」

 ミーアの激励を受け、セレスが再び強く決意した瞬間――。


 ――急に発生した白銀の眩い光が、周囲を包む。


「な、なにが……」

 ローファとセレスが僅かに驚く中、ミーアだけは全身に高揚感が襲い、両手をまじまじと見つめていた。

 そして、今まで無表情で攻撃を対処していたモニカの表情から、笑みがこぼれ。

「――遅い」

 その発言と共に、リアッケの肉体が、美女から、端麗な美青年のような姿へと切り替わろうとしていた。

 僅かな時間の隙が生まれるので、ローファが魔纏雷撃を放つ。

 それを棒立ちのリアッケが食らい、肉を抉り、吹き飛びながらも、変化を終えた青年が聖魔力によって肉体を修復し、平然と起き上がっていた。


 その青年は、白銀の装飾に身を固め、何故か眼鏡をかけ、腰に刀を差している。

 細身ながら武人のような強かさを感じる美青年が、ゆっくりとローファの元へ迫る。


 そこから感じさせる風格は尋常ではなく、眺めていた四人が戦慄し、それを眺めながら、楽しげにリアッケが告げた。

「7割程度で、決闘(デュエル)の固有スキルは使えないが……これが天使となった私が成れる最大にして偉大なる存在――天界最強の剣士、テニフィス様だ」

「テッ――テニフィスッッ!?」

 スコア序列五位――。

 モニカと一つ上がっただけとは思えない程に膨大な威圧感、ステータスは見れず、これで7割程度という発言に、セレスは全身を恐怖で震わせるしかなかった。


「こ、これは……無理よ……」

 聖魔力を所持しているミーアも強さを理解したのか、恐怖で戸惑いが隠せていない。

 テニフィスと楽しげに名乗ったリアッケが、無表情に切り替え、自信満々な声で告げる。

「さっきは一対多数を行うのに最適な姿だったが、この姿は一対一に特化されている……つまり――」

 語りつつ、白銀に輝く青年が、一気にローファと距離を詰め。

「一対一を四度行う」

 先程よりも遙かに速い動作、腰から引き抜かれた銀色に輝く刃が迫り、纏わせていたセレスの結界魔法ごと、ローファは肉体を切り裂かれた。

 

「け、結界魔法を両断して……ローファ!!」

「え、え……あ……」

 反射的に身を動かすることはできたようで、ギリギリ心臓部に達していないようだが、その威力からか膝をつき、声を漏らしながら意識が朦朧としているローファに、リアッケが刃を振り降ろそうとする。

 そこにローファに迫ったと同時に発動していたセレスの氷槍がリアッケに入るが、刀で防御され、僅かに後方へ下がる。

 その隙を突き、ミーアの両脚で放たれた渾身の蹴りをリアッケはそのまま身体で受け止め、左の腕で殴り飛ばす。

「テニフィス様に成るのは始めててまだ扱えていない……これが本来の強さだと思うな」

 まるで自分自身に告げるかのように、リアッケが呟いた。

 殴られ、強化状態のミーアは耐える事ができるもふらつき、リアッケは蹴りを放ったミーアの元へ向かった。

  

 結界魔法を間に張るが、瞬時に引き裂いてくる。

 ローファが朦朧とした意識で、腰に挿したホルダーから回復薬を三本飲んだことに、セレスは安堵もしていた。

 ミーアは前方に聖光弾を放つが、リアッケは一切怯まず、攻撃に出ようとする。

(――ここまでの差があるとは)

 トランスポイントで逃げられるとかの問題ではない、そんな余裕はどこにもない。

 セレス一人なら逃げられるが、それで逃げてどうするというのだ。

 

 セレスは結界魔法を身に纏い、ミーアの間に入ることで盾となろうとするが、間に合わない。

 その瞬間、今まで見ていただけのネルティが弓から矢を放ち、リアッケがそれを弾く。

「よしっ!!」

 本来、ミーアの盾になった際、リアッケが立ち止まる箇所を推測して張った結界魔法が、発動した。

「ミーアはローファの元に行くのじゃ!」

 さっきのモニカは亜空門とやらで対処しているが、今のリアッケはそれを使っていない。


 ――魔力をかなり込めた。

 割れるとしても時間がかかる。

 

 そうセレスは推測していたのだが、数秒ほどで、リアッケは力任せに軽々と結界を割ってきた。

 それでも僅かに時間は稼げ、ミーアはローファの元へ向かい、セレスが少し距離を取ってリアッケと対峙する。

 幼女姿のセレスは、覚悟を決めた。

「わらわは元Sランク冒険者……その神髄を、見せてやろう!」

 全身に纏わせていた結界魔法を魔力を籠めることで更に強化し、リアッケの動きを見切って何とか初撃は回避する。

 しかし、瞬時に追撃として放たれた横薙ぎの攻撃を受けて、結界ごと肉が引き裂かれ、転がるようにしてセレスは倒れた。

「セレスッ!」

「ぶ、無様じゃの……力の差が、ありすぎる……」

 そして、リアッケがトドメを刺そうと、セレスに刃を突きつけた瞬間。


 上空からソウマの切撃ちによる閃光によって、リアッケは停止し、刀でそれを弾いた。



 瞬間移動を使い、落下しながら俺は、後悔をしていた。

「遅くなった……クソが、クラジの時、ノロノロやらなきゃよかった……」

 セイラーンと命がけの戦いをやって、ビビっていたというのがあるのだろう。

 さっさと捨て身でクラジを撃退しておけば、血を流した痕が見えるローファも、負傷しているミーアも、斬られているセレスの姿も、俺は見ることはなかっただろう。


 俺は眼前のリアッケと名乗る上級天使と、俺自身に苛立ちを隠せないでいる。


 天界とは関わるな?

 ――知るかよ。


リアッケ

上級天使

HP148000

MP287000

攻撃22400

防御21200

速度22980

魔力25700

把握20000

スキル・天使()変質()


 これが本来の姿か、関係ない、潰すだけだ。


 俺はトウから眼鏡をかけた美青年に姿を変えたリアッケを睨む。


 リアッケも俺を見上げて、刃を向けていた。


 コイツは最初から最期まで苛立つ存在だったな。

「容赦なく――完膚なきまでに叩き潰してやる!!」

 ここまでキレているのは、初めてだ。


 着地と同時に戦特化を使い、俺は全力でリアッケに斬り掛かる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ