天命集結
今回はソウマ達不在+キャラ多すぎる上に一話で終わらせたかったため長くなってしまいました。次回の前書きで軽く今回のあらすじを書く予定です。
side・モニカ
世界最強の九つの生命、九天命。
その上位である六名と、その候補者とも言えるだろう四体、天界魔界の最高戦力計十体が円卓に座し、会議を始めようとしている。
内容は海神龍が討伐されたことと、中級天使ロニキュスについてだ。
場所的にそれを行った存在に心当たりがあるモニカは、内心ガクガクとしていた。
まず海神龍、これについては別にいい。恐らくエルド・ドラゴンの行動予測ぐらいだが、実質前座みたいなものだ。
他の龍の詳細についてやら、どうでもいいことをアルダがペラペラと話し、それを他の九体が、いや、ファウスは絶対に聞いていない。
立ち上がり話をしているアルダを無視し、トクシーラに好戦的な眼差しを向けている。
どうにかして理由をつけ、大魔王が納得した上で天界と戦えないかを思案しているのだろう。
会議に同行するファウスの部下は大体どうでもよさそうにしているのだが、今回のラバードは意外にも龍神の会話を興味深そうに聞いている。
それにモニカは関心こそしているが、一応後で人間界には関わるなと警告しておくべきだろうかとも悩んでしまう。
「久しぶりに神龍が倒されて、エルドがどう行動するかということだが」
「もう前座はよい。大天使長、本題に入れ」
アルダの会話中にトクシーラに話をふった大魔王の一言に、どうでもよさそうにしていたファウスが、二ッと獰猛な笑みを浮かべた。
龍神の話は終わりかと残念そうにしているラバードの頭に手をやり、ラバードは先程のワクワクした表情を一変させ、真剣に正面の天使達を警戒する。
(こいつら……ルードヴァン様はやり合う気ないってのに……やり合う気満々じゃない……)
「本題と言いますと、中級天使ロニキュスのこと」
アルダが冷淡に告げていると、トクシーラが細い腕をアルダに突き出し。
「そこから先はいいよ。リヴァイアサンの件、感謝する。次は僕から話していこう……補佐を頼む」
「……はっ!」
少し不満げにアルダは納得し着席する。
トクシーラは立つ気はないようだ。
「えっと、ロンキュス君なんだけど」
「ロニキュスです」
すぐさまアルダのサポートが入った。
「ああそうだった。ロニキュス君はさ、中級天使だけど僕の右腕候補の予定だったんだよね」
ピキッと、モニカは苛立ちを感じるしかない。
一部始終は一応知っている。
人間界に十年間も何か企てているのか、隠れて滞在していた中級天使ロニキュス。
人間界でも最強クラスの冒険者を結晶体にすることで、それを核として周囲からの干渉を完全隠蔽していたので、何をしていたのかが一切解らない。
しかし、天使の企みは、一つしかないだろう。
問題はそこではない、名前も知らない奴を右腕候補だとか言い出したトクシーラのことだ。
明らかに嘘を吐いて立場を上げているのは明確だった。
「だから色々と規律を守らせようとしたら堕天してたみたいでさ、彼、生物界でのんびり暮らしたいだけだったと思うんだよ。だけどさ、人間界に関わるなって僕と大魔王で作った決まり破ったったじゃん? ならもう処分するしかないよね」
無茶苦茶軽く天界のトップが告げているが、要するにこっちも立場が上の人間を処分したのだから、それだけで全部許せということか。
お互い争いを起したくない者同士だ。
これで納得して終わってくれるのが一番いいなと、モニカは考えていると。
「処分とは、具体的にどういうことなのですか?」
この中でも一番立場が低いラバードが、トクシーラに問う。
それに嫌悪感を感じたのか、テニフィスが眼鏡をくぃっと嫌味ったらしく上にあげた。
「無礼な……貴様は一体誰に質問しているかを、理解しているのか?」
「私はファウス様に呼ばれてこの場に居ます。質問する権利はあるはずです」
「貴様……」
「ふっ」
苛立ちを隠しきれず、こめかみを動かすテニフィスに、ドヤ顔を叩き込むラバード、それを見て笑うファウス。
(クソ共が!)
純粋に無礼を働くラバード。嫌味ったらしいテニフィス。ただ争いたいだけのファウス。
そしてそんなイライラしたモニカをニヤニヤと嫌らしくフードで隠れながら笑うはダークアイ。
上司以外味方の居ないこの状況に、モニカはさっさと終わってくれと願う以外になかった。
「処分とは処分だよラバード君。まっ、処分する予定だった。なんだけどね、気付いた僕は、決まりを破ったロニキュス君に罰を与えようとした。それだけだ。もし僕達が隠蔽していると疑っているのなら、存在しているかどうか、この天界内を捜索してもらっても構わないよ」
「私達魔界の存在が人間界に天使が居たことに気付いた時には、もうトクシーラ様は一人、ロニキュスを処刑して天界に戻ったと聞いています」
純粋に聞いているラバードに、モニカは内心感謝もする。
これはモニカがどうにか遠回り気味に回りくどくして無礼に思われないように聞かなければならなかったことであり、それをラバードが単純に聞くという超ショートカットには、ありがたいとも感謝すらしていた。
ファウスの部下というのもいい、全部ファウスに押し付けられる。
「その通り。僕も決まりを作った責任というのがある。海龍神が居た場所に天使の気配を感じた瞬間、即座に動いたよ。処刑というよりも、彼は僕の姿を見た瞬間に自らの存在を完全消滅、自決したけどね」
リヴァイアサンが居た場所に移動。
あれがロニキュスにとって致命的だった。
その後は元居た場所にロニキュスは帰り、それからトクシーラが処刑したらしいが、色々と疑問点がある。
そして、できればその疑問点は、一切話さずに終わってほしいというのが、モニカの本音だった。
「その点で、少々気になる点があります」
椅子から立ち上がったアルダに、モニカは心臓が止まりそうになった。
「なんだい?」
トクシーラが聞き、待ってましたとばかりにアルダが語る。
「ロニキュスが行った行為は確かに問題行為です。しかし、ロニキュスは対策をしていた。そしてそれが破られた。すなわち、天使に対して何らかの理由で戦いを挑んだ無礼な人間が存在したということです」
天使達は管理社会で統率されて生きてきた生命体だ。
男女の区別はなく、基本的に男の形状をしている。
そして、その存在の大半が、人間も天使と同じように管理されて生存するべきだと考えている。
アルダとテニフィスはそれの思想が特に強い上級天使だ。
「その人間、それに関与する全ての人間を保護し、天使に対する敵意を無くすべきだと提案します」
(クソがっ!!)
モニカは叫びそうになるのをなんとか堪える。
保護とかほざいているが、拉致して洗脳して天使に仕えさせ、最終的に魔族と戦うための兵にする気満々だ。
問題なのは、それを知った上でファウスが賛同しそうなことか。
こいつは大規模な戦争を常日頃から望んでいる。
恐らく上級天使は全て賛同するだろう、ファウス、ラバードも賛同し、こちらの味方はダークアイだけだ。
「アルダ、話をそらすな。人間に関与することは一切許さぬ」
しかし、それをルードヴァンは一蹴する。
「なっ……しかし」
「大天使長、その中級天使とやらが、何故人間界に堕天したのか、理由は解ったのか?」
「いや、まだ不明だ。さっき言ったのも僕達の推測、ロニキュス君、僕を見た瞬間自決したんだよね。残滓も一切ない、見事な消え方だったよ」
「心当たりは?」
重く静かに声を響かせるルードヴァンに、トクシーラは嘆息しながら。
「今アルダ君に調査させてる……なにか解った?」
「いえ……奴はこうなることを最悪の事態に入れた上で動いていたようで……何の目的なのかは不明です」
「あれ? 理由は推測したんじゃなかったっけ? さっき話しちゃったんだけど?」
首を傾げて問いかけるトクシーラに対して、テニフィスが立ち上がった。
「それは私の推測になります。中級天使にしては十年前の彼には激務であり、それが嫌になって堕天したのだと推測することはできました」
「ふん……それはテニフィスにとって、都合がいい理由があったからなのではないのか?」
ルードヴァンの発言によって威圧感が室内を覆い、ファウスが獰猛な笑みを強め、隣でラバードが楽し気に口を歪ませる。
「いえ。ただの推測ですが、間違いはないでしょう……トクシーラ様、どうなされますか?」
トクシーラの発言一つで、この会議室は戦場と化す。
今回はラバードが居るから楽だなー。と初対面の少年に全部押し付けようとしながらもビビりまくりだったモニカは、冷や汗を滲ませる。
この状況下でも平然としているダークアイと、何も描かれていない真っ白な仮面でぼーっと座っているリアッケの精神状態が全く理解できない。
「どうするもこうするも、この話は終わりでいいでしょ。一切情報を漏らさず自決したから理由は調査させてる。僕もアルダ君に協力するよ。関わった人間には一切関わらせない。悪いのはロニキュス君だからね、今回に限り、そちらの言い分を聞く」
ふぅと安堵しているが、この部屋の大半は不満そうだった。
それと同時に、モニカは恐怖も感じている。
トクシーラが動かないのは、ルードヴァンの強さを警戒しているからだろう。
そしてトクシーラ以外の大天使達は、天界の全勢力を使えば、犠牲を覚悟の上で魔界をルードヴァンもろとも滅ぼし、人間界を支配できると確信している。
実際、数値的に、天界外で戦ったとしても、魔界で戦わない限りは天使たちの方が力関係では優勢だ。
ベルグがやられれば、天界は大きく動く。
トクシーラがやられても、戦力の減少を覚悟して人間を支配して駒にすることで、天界にとって最高の環境を作り、更には敵である魔界を滅ぼそうと天使が動く。
この世界のバランスは酷く脆い、まるで砂の城だ。
もうこれ以上何も起こりませんようにと、モニカは願うしかなかった。
sideトウ
寡黙剣士トウ。
伝説の剣士であり、僅か28という年齢にして、学校の書物に偉人として名前が乗る青年。
長身でスッとしたスタイル。青年とは思えない程に若く端麗な顔をした黒と銀が混じった短髪の美形は、Sランク冒険者限定である、王都の離れにある情報が一切出ないとされるSランク限定ギルドの一室で座りながら人を待っていた。
誰も会話を聞いたことがない、ジェスチャーで返答するその姿からついた異名が寡黙剣士。
その寡黙剣士は、人を待つ。
「はぁ……なんかエルドの奴に呼び出されたけど、絶対海神龍のことだろ、クッソ面倒だな。どうせあの近くで神龍狩る度胸あんのはロマネぐらいだけど、名前出したら怒るかな、ロマネはいいとしても、エルドはなに考えてっかわっかんねーからな」
寡黙剣士と呼ばれている癖に一人饒舌なトウは、自分語りも始めた。
今日の昼頃、久々に外出したら憧れていますと言われたファンの少女に、無言で笑顔で手を振っただけで逃げ去ったことを未だに気にしていたのだ。
「なにが寡黙剣士だよ。このスキルがなけりゃ普通に喋ってるっての……俺の提案呑んでくれりゃ一番楽だけど……どうだかなー」
トウが持つSランクスキル「魂喰らい」は、他者の生命力を取り込んで強くなるというとてつもないスキルだ。
欠点として、彼が関与した場合、勝手にスキルが発動するということである。
手を振る、見られる程度なら関与にならないが、例えば少女に握手をしたり、「ありがとう」と返事をしていたら、その少女は息を荒くして倒れていたかもしれない。
だからこそ、トウは無言に、寡黙になるしかなかったのであり、実際は色々なことを喋りたくて仕方がなかった。
部屋の扉がノックされ、一人の男がやってくる。
トウとは対照的な、ゴツゴツとした黒い肌の大男だ。
「エルド……何の用だ?」
エルド・ドラゴン。
トウの前に居るのは龍を統べる存在であり、ここ数十年ほど、人間の姿になって龍達の情報を集めていたりする存在。
「すまんな、一人連れが居る」
エルドはゆっくりと頭を下げると、その後ろからエルドより少し小さい大男、いや、大鎧がヒョイと姿を出した。
「俺も居るんだよな、これが。これでスコアの下から三番目が集合ってことだ」
「セイラーン……どういうことだ?」
(三人で会話ができるなんて久々だ、ワクワクしてきたぜ)
嫌そうな顔をトウが向けているのはセイラーンの悪評のせいであり、実際は気分が高揚しているが、それをなんとか隠していた。
「俺はお前らとは関係ねぇよ。音楽家クラジからディナーのお誘い。まっ、俺としては前菜味わえてサイコーなんだがよー」
セイラーンと呼ばれている220程の背丈をした鎧の中には、誰も存在していない。
モンスターでそんな甲冑が居るのだが、聖なる白い鎧をしたセイラーンは意志を持っている。
そして、人間とはギブアンドテイクの条件で、Sランクリーダーとしてギルドに登録されている。
モンスターではなく神器という魔道具らしいが、こいつ以外そんな奴は知らないので、モンスターを誤魔化すいい訳なのだろうと全員が思っている。
セイラーンはトウの「魂喰らい」の簡素版のような力を持つらしく、問題はトウは関与しなければ喰らわないが、こいつは存在しているだけで周囲の存在から勝手に生命力を吸収するということだ。
(だからこいつ以外、滅ぼされたんじゃねぇのか?)
寡黙剣士として通しているキャラ的に、エルド以外にはそこまで喋る行為をトウはしない。
基本的に自由なトウとは違い、セイラーンは管理、他者とは隔離されて生活している、完全に王都の道具と化しているが、楽し気にバリバリ喋りだすこのセイラーンとかいう鎧が、羨ましくもあった。
「セイラーンは置いておいて……俺を呼び出した理由を聞こうか?」
「海龍神を倒した者と手合わせをしたいのだが、どう思う?」
会話をしながら、トウはエルドの生命力を少し取り込んでいる。
美味であり、それを一切気にしない龍帝に感謝もしていた。
「ぶっ殺して敵討ちってか?」
鎧が会話に入ってきた。
「考えが浅いな鎧。死ぬのは死んだ弱者が悪いのだ。殺す気はない、しかし手加減はできない。殺してしまうかもしれない」
「……倒した奴に心当たりはあるが、そいつは対龍特化スキルを持っているからだ。ステータスはかなり低い……恐らく、お前が戦えば一発でそいつは死ぬだろう」
「ふむ……」
うめぇーうめぇーと生命力を僅かに取り込んでわめいているセイラーンを無視して、エルドは顎に手を当てて深く考え込んだ。
流石にSランク冒険者だ。
死んだ弱者が悪いと考えながらも、同類であるギルドメンバーを殺すのはマズいと理解することはできているのだろう。
(会話するチャンスだな)
「セイラーンの言う通り、敵討ちなのではないかと俺も予測してしまうのだが……違うんだよな?」
「ああ、やられた弱者が悪い。しかし、我は神龍を倒した者とは戦ってもよいと許可が下りておる」
エルドは他の自由に動く龍達の情報を知るためにギルドに入り、戦うことを止めていた。
七大龍を倒した者に関しては戦ってもいいと許可を貰っていて、だからこそ他のSランクは関わろうとしない、これはロマネも知らないことだろう。
ある程度説明ができたので、トウはようやく提案ができる。
「それなんだけどさ、そいつ、俺の知り合いだから、俺と戦うことで我慢してくれないか?」
「寡黙剣士チャン、随分と喋るねー。なんだ? その海龍討伐の魔法剣士チャンのことが好きなのか?」
「子供みたいな茶化しはやめろ。俺なら本気でやっても死なないだろ? 理由があれば、俺達はやり合っていいんだから」
七年位前も、適当な理由を作りエルドと初の戦闘をして、別にどうでもよかったがトウのスコアを上げてくれたことを思い出す。
(てか、セイラーンはロマネ知ってるのか?)
疑問に感じていながらも、それは高らかに笑うエルドで打ち消された。
「まあ、これが今回お前を呼んだ本来の目的なのだがな!」
「相変わらずやかましい奴だ」
そんな高笑いを聞きながら、二人の男が部屋へと入ってくる。
一人、黒髪短髪、非常に悪い目つきをした小柄な青年、Sランクパーティリーダーのクラジが、一人のファンキーな姿をした半死半生な男を引きずってやって来る。
「こいつはなんだ?」
トウが質問すると、ギロリとクラジが睨む。
「あんま喋んじゃねぇよ魂喰らい……てめぇのスキルで俺の気分が悪くなるだろうが、有名な盗賊団の頭だ。おら、ディナーだぞ」
(うるせぇチビオッサンが、お前は正直に生き過ぎなんだよ)
内心舌打ちをしながらも、トウは言われた通り黙ることにした。
そう言ってセイラーンに向かって投げたかと思えば、セイラーンの鎧が真っ二つに開かれる。
「ひっ……」
盗賊の頭とやらが鎧の内側に触れた瞬間、勝手に肉体がバキバキと動いたので悲鳴を漏らす。
叫び声がする前に頭部が閉められ、真っ二つに開いていた体も閉じる。
「ひでぇことするぜ……」
(投げておいて言うのか……)
悲鳴を上げる間もなく、プシューと空気が抜けたかのような音が鎧の空洞部分から放出され、再び開かれた。
先程まで人が入っていた鎧の中には、装飾品だった指輪やらしか存在していなく、それがゴロゴロと転がり、クラジがそれを拾い、セイラーンが説明を始めた。
「装備なら魔力があって取り込めるんだが、こりゃただのアクセサリーだな。食えたもんじゃねぇ。まーまー美味かったぜ」
「そうか、なら移動するぞ。こいつらが居るとは思ってなかったからな……」
この鎧は取り込んだ者の知識を完全に吸収するらしい。嘘偽りない情報を手に入れられるのは、最大の利点だろう。
苛立ったようにトウとエルドを睨み、クラジはセイラーンを連れて部屋から出ていこうとしていた。
ちょっと気になることはあったが、喋るなと言われているしいいかと考えていると、エルドが口を開く。
「待て」
「なんだ?」
「こいつの部下はどうしたんだ?」
クラジは「何言ってるんだコイツ」みたいな面で、返答した。
「ああん? 演奏したに決まってるだろ、いい音がしたぜ」
「悪趣味な奴だ」
吐き捨てるエルドに対し、返事をせずに、クラジはセイラーンと帰っていき、ふぅとトウが嘆息した。
(ひでぇことって、楽器として音を出さずに殺したってことについてなんだよな……俺等の中で一番ヤベーのは間違いなくクラジだよ)
人間を楽器にしか思っていないクラジは、よくギルドから追い出されないものだ。
「Sランクはロクな奴がいねーよ。もしかしたらお前が一番マシかもな」
トウの軽口に、エルドは楽し気な表情を浮かべ。
「そうか? これから殺し合いになるかもしれない戦いを強要しているというのにか?」
「まっ、俺よりマシだと思うぜ……」
そして、トウはエルドに提案する。
「やり合うのなら、場所は海龍神が居た所でどうだ?」
海神龍の手向けにもなるし、あそこならどれだけ暴れても被害は出ないだろう、大技を出すにしても街とは違う方向に放てばいい。
「それは大いに賛成だ! さっそく許可を取らねばな! 功績のある俺達ならばすぐだろう!!」
二ッとお互いが賛同し、ついでにロマネにも軽く挨拶しておくかと、トウはロマネの驚く顔を想像して、笑みを浮かべていた。




