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セレスと自らのステータスに驚く

 館の屋上に瞬間移動したのだが、誰も居なく、とりあえず宝箱があった大広間まで瞬間移動しようとした。

 しかし、ソファ-の所に誰かが居るのか発動できず、ちょっと距離を開けて再度発動する。

 すると、起きていたのか、涙を浮かべているローファと、心配そうにしているミーア、申し訳なさそうなセレスの姿が見えた。

 あれから天使とやり合って数分ぐらいしか経っていないのだが、その間に起きたのか、セレスが起こしたのかが解らないな。

「ソウマ様!」

「まったく……勝手に行かないでよ」

 三人はいきなり現れた俺を見ると、ローファは抱き着き、ミーアは安堵し、セレスは驚愕している。

 肉体が透けているセレスの目線の先には、目を閉じた本体のセレスがある。

「ほ、本当に、元の体が……」

 感極まった声を漏らし、その霊体が肉体に触れた瞬間。

 その意識のないセレスの体に光が宿り、霊体だった姿が消えて、目を開けた本体である肉体がむくりと起き上がる。

 安堵してローファの腰を撫でながらソファーに座ると、俺の顔にセレスが全身を俺に叩きつけてくる。

 どうやら完全な平らではなく、少しは胸があるようだ。

 両腕と両脚で俺をホールドしながら、セレスは叫んだ。

「感謝じゃ! この時を十年待ちわびておった!! お主には感謝するしかない!!」

 セレスが元に戻ったことは嬉しいが、今はそれどころではない。

 胸とか腕とか脚の感触を楽しみながら、俺は声を出す。

「悪いけど、それよりもちょっと問題がある。俺は瞬間移動で逃げてきただけで、奴は追ってくるかもしれない。まず天使について、何か知ってないか?」

「天使って……えっ!? 相手天使だったの!? それって最悪なんじゃ……」

 セレスを向かい合って座らせ、隣のミーアが青ざめていることに気付く、俺は簡潔にさっきまでの天使との戦いを説明していた。

 その際、戦力になるかどうか、セレスのステータスも確認する。


セレス・キャレス

大賢者

HP47300

MP126600

攻撃4530

防御4980+350

速度4450

魔力11800

把握8750

スキル・身体時間操作()魔力強化()神眼()天眼()魔力覚醒()


 ロマネの師匠は伊達じゃないな。

 これがSランクリーダークラスということか。

 スキルを5つ所持していることも気になる。普通2つ、多くて3つだろう、いや、俺も大概か。

 身体時間操作はこのロリロリな見た目に関することなのだろうか。

 天眼と魔力覚醒というのがよく解らない。

 俺がセレスを見つめていると、セレスも同じく見つめていた。

 神眼で俺のステータスを確認したのだろうか、何かを納得した様子だ。

「なるほど……色々と理解ができた。とりあえず、この時点でその天使ロニキュスとやらが追ってくることはないだろう」

「……ミーアは解ったか?」

 俺とローファは何も理解できていないので、とりあえず俺はミーアに聞いてみる。

「全然。これからどうなるのか不安でしかないんだけど……」

「むしろわらわはそこが解らぬ。なぜ不安になるのじゃ? 天使は追って来んよ。説明すると、戦っていた場所は疑似天界じゃったということだ。天使スキルは天界での瞬間移動を可能にしているらしいからの……だが、この世界に瞬間移動はできない」

 だから、追ってくることはないということなのか。

 その疑問に、ミーアが応える。

「ソウマは魔王の秘書っていうのに警告されてるのよ。魔界にも天界にも関わるなってね」

「なッ!? そういうことは先に……いや、今身体を取り戻してくれたのには感謝するしかないが……うーん」

 セレスは頭を抱えながら困り切っていた。

 その姿がとても可愛いと考えていると、うとうととしていたローファが眠りについていたので、俺は膝を貸した。


 そして、セレスはすぐさま冷静になり、俺に顔を合わせてくる。

「警告というのは、具体的にどういうことじゃ?」

「えっと……いや、ミーアが言った通り、関わるなって言われている。普通に人間として生きてるのは構わないけど、それ以上のことはするなってな」

 今回、俺は遂に天使と関わってしまった。

 ふーむと少し考える素振りを見せながら、セレスは何かを納得したかのように一度頷き。

「それなら、今回の件は問題ないと思うがの。関わってきたのはあっちなのじゃから」

 確かに、そんな気もするが、大丈夫なのだろうか?

「まあ魔界天界(うえのせかい)の連中は、下界(このせかい)に来るとステータスが半減する。この世界と同じ領域にいる魔族は個体差があるらしいが、天使は半減するのは3体程確認したので間違いないじゃろう」

「そういえば、ロニキュスのステータスって、セレスは見えなかったのか?」

 ステータス的に、セレスの魔力ならロニキュスのステータスは把握できていたはずだ。

「当然の疑問じゃな、天使には人間(・・)の神眼は効かない。確認したのは別の奴じゃ……まあ、もし半減を覚悟して攻めてきたとしても、今のお主とわらわなら、対処できると思うがの」

 えっ、今の俺って、そんなに強いの?

「恐らく、力を全開で使えるようになれば、トウの次に強い。いや、トウと互角かもしれんぞ?」

 心を読んだのか、セレスが俺に告げる。

 寡黙剣士トウって恐らく人類で最強だぞ、それは流石に言いすぎだろ。

「いや、お主はまだ力を何となくでしか使えておらん。神眼とかが特にそうじゃの」

「……神眼が?」

 普通に意識して効果が発動できているので問題ないと思っていたのだが、これでも使い熟せてはいないということなのか。


 色々と気になることを聞こうと思えば、ミーアがあくびをする。

「あのさ、問題ないのなら、あたしも眠いから寝ていい? 二人が大丈夫なら、大丈夫でしょ?」

 その前に、俺は気になっていたことを聞こうとした。

 もしかしたら、ここから先、ミーアとローファは危ない目に合うかも知れない。

 離れるべきなのではないかと、聞いておきたかった。

「ミーア。あのさ、別に俺と一緒に」

 俺の言葉を、遮るようにミーアが叫ぶ。

「言うと思った! 一緒に居たら危険かもしれない。でしょ? 馬鹿にしないでよ。あたしはアンタがどんな目に合おうと一緒にいるわよ! おやすみ!!」

「ああ、おやすみ……」

 物凄い勢いでまくしたて、黒くて長い髪をなびかせて颯爽と去ったミーアに唖然としていると、セレスが楽しげに笑う。

「ふふっ……いい妻を持ったの……そこで、本題なのじゃが」

 俺は、ごくりと唾をのむ。


 やはり、今までのことは、ローファとミーアが居たからなのか。

 恐らく神眼で二人のステータスを把握して、ここから先の戦いは危険すぎると判断したに決まっている。

 これから、俺はセレスと共に、天界の連中と戦うことになるのだろう。

 覚悟はできている。

 やりたくはないが、こうなった以上、最後までやってやろう。

 少しの間をおいて、一呼吸して真剣な眼差しをセレスが向け、小さな口を開く。


「わらわはお主に心を奪われた。わらわも嫁の一人にしてくれないだろうか?」


「…………はぁ?」

 ぶっちゃけ、最近毎日そんなことを聞いているので、慣れてきたのかもしれない。

「はぁァァッッ!?」

 しかし、こんな状況下で普通言うか!?

 俺は今からどうなるのか不安で堪らないって時に、プロポーズされてどうするっていうんだ。

「んん……ソウマ様、どうかされましたか?」

 俺の叫び声で、膝を枕に眠っていたローファが眼をこすりながら起き上がり。

「ちょっと何よ! 最高にいい女決めて部屋に行ったっていうのに! 戻ってくるしかないじゃない!!」

 ミーアが勢いよく部屋に戻ってくる。

 ああ、あれ、カッコつけてたのか。

 それを茶化す気にはなれず、とりあえず本当に天使については問題ないらしいので、詳しいことは明日にすることとした。

 寝室で、俺はベッドにローファを寝かせて、手鏡で自分のステータスを確認する。


ソウマ

戦士

HP128900

MP107000

攻撃18900+250

防御12380+220

速度14830+80

魔力10500+100

把握25500

スキル・直感()石喰らい()全強化()全耐性()神眼()透明化()半天使()


 ステータスの上昇値もそうだが、スキルにもなんかとんでもねーのが追加されている。

 人間なら天使に神眼が効かないってセレスが言った時点で、俺に何かしら異変があったのだと気付くべきだったか。

 そういや、把握が23600を超えているのだから、神眼の設定的にセレスは俺のステータスを確認できないはずだ。

 神眼の使い方というのが、関わっているのだろうか?


 これは明日セレスに聞くしかないなと、俺は眠りについていた。

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