軍を影から支えるのは大事だよ、ホントだよ
さて俺はチャンフェイとイケメンを部下にしたのでそのまま街道を先に進む。
「流石に大陸は道も広いし町と町の間も離れてるな」
チャンフェイが頷く。
「たしかにそうですな」
現状ソーシャルゲーム的に言えばステージ1黄巾賊討伐のステージ1-2みたいな感じかな、ステージがいくつあるかはわからないけど、その間と間はキャプテン翼のサッカーコート並みに地平線が広がっていて全く先が見えない、周りは主にのどかな畑が広がってる。
もっともこの世界が完全にゲーム的な世界なのかというと実はそうでもない。
チャンフェイたちはわからないが少なくとも俺は歩いていれば脚が疲れるし、時間が経てば腹も減るし、眠くもなる、ゲームの世界には昼夜の区別はないがこの世界には昼夜の区別がある。
転べば痛みも感じるし、斬られれば死ぬこともあるだろう。
俺自身はぶっちゃけごく一般人のサラーリーマンにすぎないのだから武将たちに狙われたらやばい気はするんだよな。
もっとも、戦場で敵武将部隊が俺を攻撃してくることは今の所はないんだが。
「俺に対しての攻撃は基本的には行われないと考えてもいいのかな」
チャンフェイは頷く。
「はい、我が君、我々にはあなた方への攻撃は禁じられています」
どうやらそういう制約はあるようだ。
もっとも他のプレイヤーにもそういう制約があるかは不明だが。
ソシャゲではPKのような事ができる例自体少ないし、PKやフレンドリーファイヤは揉め事の原因になるので海外のMMOなどはともかく日本のゲームでは適用しているゲームのほうが少ない。
本来ソーシャルゲームはコンシューマーゲームやMMORPGのように24時間張り付きでゲームをするためのものではなくて、たとえば通勤通学中などの隙間の開いている30分程度の時間に手軽に暇を潰せ、SNSの仲間に協力してもらえればちょっと有利になるというゲームだったはずなんだが、最近はそういう仲間の協力と言うものを必要としないゲームも多い。
現実で面倒なコミュニケーションを強いられてるのに暇潰のゲームにまでそれを持ち込んでほしくないというユーザーが増えたのだろうか。
ガラケーやそれから移行してきたスマホのゲームはそれこそ、ボタンを押すだけでステージを進ませてキャラクターを強くしていく単純なゲーム進行だったから「ポチゲー」と呼ばれていたこともある。
もっともその手のゲームは最近は飽きられてほぼなくなったけど。
パソコンのブラウザでの動作をメインにしたゲームとガラケーでの動作をメインにしたゲームでは内容もだいぶ違うしな。
三国超英雄戦記はパソコンのブラウザメインゲームなので結構システム的には複雑。
とは言えソシャゲには明確なシナリオやクリアのための条件、細かいゲームの世界観などはないものが多いし、このゲームにも特にはない。
そして、ソーシャルゲームはだいたいにおいて”行動力”のようなものが決まっていて、行動を行うとそれが減り、つきたら何時間かの間は行動ができないものが多い。
もしくはユニットがダメージを受けたら修理に時間がかかるというタイプか。
三国超英雄戦記における行動力は食料だな。
戦闘を行うたびに食料が減るからそれがつきたら一旦行動はできなくなる。
もっとも序盤は食料消費も少ないのでどんどん先に進むこともできるが……。
俺が感じる疲れも行動力のようなものかもしれないけどな。
「あいつ……大丈夫かね」
なんかいやみったらしく俺を脇役扱いしていったやつだが、ガンガン進められるからこそ危ないとも言えるのだよな。
このゲームでは調子に乗って君主レベルをあげるとドツボにはまるというのは、先にプレイしていたプレイヤーが大学院生の博士課程、俺たちが小学校一年生だとしたら、先にプレイしていたプレイヤーが1年毎に学年が上がっていくのに対して、半年ごとに学年が上がっていくようなもの。
ただし時間に関係なく覚えないといけない内容は一緒だとする。
そうしたら本来4年かけて覚えていくところを2年で覚えていかないといけなかったり小学校四年生の中に小学校二年生がまじって体力測定しないといけないようなもんだ。
そりゃムリゲーにもなる。
そんな感じだからしまいにはアクティブユーザーが一桁になっていった。
運営は課金する人間さえ残ればいいと思っていたのかもしれないが、大規模なイベントとかPVPには賑やかしが必要なのでそこが過疎ると課金ユーザーもつまらなく感じて離れてしまうのにな。
そんなことを考えながら、街道で待ち構えている黄巾賊の頭領の一人”張曼成”に遭遇した。
「我こそは張曼成なり、我が首取れるものなら取ってみよ」
敵黄巾賊の将軍がそう名乗りを上げる。
「はっはー、その首このチャンフェイがもらうぜー」
始まりのやり取りはやっぱ名前を変えただけで一緒なんだな。
しかしちょっと戦力的にはまずい感じだ、向こうのほうが数が多いし……。
「むむ、相手に弓兵がいるな、しかも相手側は3人か」
こっちはチャンフェイとイケメンしかいない。
さてどうしたものかと考えていたら後ろから声がかけられた。
「お困りのようですな。
よろしければ私が力を貸しましょう」
声の方に振り向いてみたが誰もいない。
「誰もいない、どうなっているんだ?」
ふわっと人影が現れてそいつはいった。
「いえいえ、ちゃんとここにいますよ。
私は荀攸
影から軍を支えるものです」
ああ、影から支えると言うか影が薄すぎて目立たない人だ。
魏は軍師ポジションもそれこそ掃いて捨てるほどいっぱいいるからな。
とりあえず、仲間になってくれるのはありがたい。
「アア、ヨロシクタノムナ、ステルス」
チャンフェイにイケメン、ステルスをくわえた俺は張曼成の部隊にあっさり勝った。
「主君、敵を殲滅しましたぞ」
心なしか誇らしげに言うチャンフェイ。
「ああ、おつかれさん」
特にステルスの部下は皆一様に影が薄く、誰もいないように見える場所から大量に矢が敵めがけてとんでいったように見えたからからほとんど避けられなかった敵には同情するよ。
ちなみにステルスの配下は長弓歩兵で装甲の薄い相手に強い。
といってもレベルを上げて物理で殴る程度の差しかないのであんまり(ry。
そして俺のレベルは順調に3に上がった。
チャンフェイ、イケメン、ステルスのレベルは1のままだけどな。
・・・
ステータス
君主名:ひろポン
レベル:3
黄金:2000
銅銭:5000
食料:4600
領地:なし
配下武将
武将名:張飛
レベル:1
兵種:軽装騎兵
レア度:☆☆
武力:B+
統率:B
知力:D
攻撃:250
防御:115
速度:135
兵力:800
戦闘力:1300
食料消費:100
武将名:顔良
レベル:1
兵種:長槍歩兵
レア度:☆
武力:C+
統率:C
知力:C
攻撃:100
防御:80
速度:20
兵力:800
戦闘力:1000
食料消費:100
武将名:荀攸
レベル:1
兵種:長弓歩兵
レア度:☆
武力:E+
統率:D
知力:B
攻撃:130
防御:50
速度:20
兵力:800
戦闘力:1000
食料消費:100