続・その頃のよしくん
「ああ、スローラいフはいいよねえ。
誰かと争うなんて馬鹿らしい。
のんびり畑を耕してのんびり暮せばそれでいいじゃない」
よしくんは武将をそだて、シナリオをすすめるるということから目を背けて、与えられた村の畑を耕して、のんびり暮らすようになっていた。
そしてソシャゲではランキングなどでのプレーヤーの競争が煽られるがそれを気にしなくなれば、武将や箱庭の育成や武将のコレクションというのは単純に楽しいものだったりもする。
「別に他人なんか気にしなくても良かったんだよな」
副官を入れ替えれば、朝起こしてくれる女性武将も入れ違いで楽しめる。
現実世界のように家族に働けだなんだとうるさくいわれることもなく、ちょっと背が低くてどもったからと言ってクラスメイトにいじめられることもない。
この世界なら家でぐうたらしながら三色昼寝付きで生活しても誰も怒るものはいないのだからある意味楽園だ。
最もネットもないのもない世界ではソンア生活をしているとだんだん暇になってくるから彼は箱庭の育成を行い始めたのだが案外これは楽しいものだった。
「君主様、本日はいかがないさいますか?」
今日の副官に指定されている大喬がヨシくんにきいてくる。
「そうだね、今だと何が出来るんだろう?」
「はい、現状の書士している銭から言えばすべての施設を
どれか2つ、1レベル上昇させることは可能です」
ヨシくんは少しかんがえた。
事実上PVPは機能していないから防衛に力を入れる必要はない。
となるとやはり銭や米の入手量を増やしていくのがいいのだろう。
「なるほど、じゃあまずは農地と民家のレベルをあげようか。
どれくらい時間がかかるかはわかるかな」
大喬はスラスラと答える。
「はい、それぞれ8時間ずつで完成すると思います」
「うん、じゃあ、それで行こう」
「かしこまりました」
武将強化にも、箱庭育成にも銭が必要で武将強化を優先すると箱庭が育ないという状態になっていたが、武将の育成を後回しにして箱庭の育成を重点的にやるようになればそれはそれで楽しいものだ。
生活費や失敗を気にしないでリアルなシムシティをやれるようなものだと考えれば良いのだろう。
なにせ必要な銭を用意して指示すればきちんと箱庭は成長するのだから。
「いやあ、知力によっては失敗したり、
数値がたいして上がらないクソ仕様でなくてよかった」
ソシャゲではSLGと違って開墾を行ったりする人物によって結果が違ったり成功失敗が有ったりはしない、誰もが同じことをすれば同じ結果になる。
それはリアリティはないかもしれないがストレスはたまらない仕様ではあろう。
成功したり失敗したりにランダム性が入ると結構ストレスが溜まったりするものだ。
「では農地と民家の技術レベルの上昇を開始します」
大喬がそういうとガガッと銭が減り、どこからともなくわらわら村人が現れて農地に鍬を入れたり民家を立てたり少しだけ立派な外観にしていったりしている。
「村もだいぶ育ってきたけどまだまだだし
のんびり育てていけばいいかな?」
「それで良いかと思います」
そして相変わらずヨシくんの配下の男性武将は出番が無いままであった。




