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第1話 私の『心』


 これは短編小説『花、花、花』の続編です。

 そちらを読んでからの方が話が分かりやすいと思うので、ぜひそちらも読んでみてください。

 これは作者のイメージの明治初期なので、おかしな所があると思いますが、スルーしてほしいです。

 あの子が欲しい あの子じゃわからん


 この子が欲しい この子じゃわからん

 

 相談しよう そうしよう




 時は明治時代。

 私は子供のころ、親に異人さんへと売られました。

 親に捨てられたことが悲しくて、私は『心』を自分の故郷に捨てて異人さん――エリックさんのもとへと行くことになりました。

 感情が全くなくなっていた私を心配したのか、エリックさんは私を故郷へと連れて行ってくれました。


 そこには、幼いころの私の『心』がありました。


 エリックさんのおかげで私は心を取り戻すことができました。


 「しあわせ」 「たのしい」 「美しい」 「愛おしい」


 しかし、感情はきれいなものばかりではありませんでした。


 「悲しみ」 「憎しみ」 「嘆き」 「嫉妬」

 

 私が取り戻した『心』は、幼いころのままだったため、感情をうまく操ることが出来ません。

 その感情で私は悩みました。

 エリックさんと想いが通じても、所詮私は使用人でしかありません。かたやエリックさんは異国からやってきたお金持ちの異人さん。身分が違いすぎます。

 また、エリックさんのような異国からこられた人を認めない頭の固い人達もたくさんいます。

 婚約なんて当然のこと、つき合うことすらもできません。

 エリックさんはいつか彼の祖国の人と婚約してしまう人です。私なんかではどうにも出来ることではありません。

 そう、私はいつの日かこの愛しい人と別れなければいけないのです。彼は祖国へと帰らなければいけない人なのですから。


 『彼ト離レタクナイ』


 『私以外ノ人ト、ツキ合ウナンテ許セナイ』


 私の中で嫉妬が大きくふくらんでいきます。そんな時、自分の姿を鏡で見てしまうといつも思ってしまいます。


 


 『アア、ナンテ醜イノダロウ』



 

 「椿つばき、どうしたんだい?顔が暗いよ」

 「エリックさん」


 彼がいつの間にか私のそばにいました。

 彼は綺麗な顔立ちをしていて、太陽の輝きにも負けない金髪と深い碧色の目を持っています。

 私はそんな彼に買われたとき一目惚れしたようでした。もっとも、それに気づいたのはつい最近のことです。

 そんな彼はこんなにそばによっても気づかない私を心配してるようで、眉間にしわが寄っています。

 私なんかのためにここまで心配してくれたことに対して『心』が反応しました。とくとくと心拍数が上がっていってしまいます。それに合わせて、たぶん曇っていただろうと思われる私の顔が微笑んでいくのが自分で分かりました。


 「なんでもありませんよ」


 そう答えるのが私の精一杯です。

 

 「そうだといいけど」


 エリックさんはまだ難しい顔をしています。本当のことを言って欲しいと思っていることが、表情から分かりました。 

 けれど、私に言えるわけがありません。


 いつかエリックさんと結婚する人に嫉妬していたなんて。


 嫉妬する女がいかに醜いか考えていたなんて。


 私はそれ以上なにも言わずに、その場から離れました。いくらエリックさんが心配そうに私を見ていても、エリックさんに本当のことを告げられない私はあの方にふさわしくないのです。


 身分も人種も、そして『心』も。







 

続編を思いついたので、別に誰も希望していないのに書き始めました。

こんな作品ですが、これからもよろしくお願いします。

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