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「異世界」という共通フォーマット

本日3回目です。

「異世界」とはどのような世界なのでしょうか。


RPGゲームの影響だと思いますが、ヨーロッパ中世をベースにしながらも、多様なバリエーションで描かれています。

しかし共通する特徴が非常に多いことも事実で、いかにそれを列挙します。



中世的な村と都市と封建的な国家が存在します。

「教会」組織が国家を超えるレベルでネットワークされている場合も多いです。


貴族制度や、場合によっては奴隷制度も存在します。


多くの場合、魔法やそれに類する超常的な力が存在しています。


蒸気機関以降の近代テクノロジーは原則的に登場しません。

かわりに魔法テクノロジーが存在する場合があります。


人間に敵対的なモンスターや、より強力な魔族といった危険が存在します。


エルフ・ドワーフなどの亜人種や獣人種が登場することがある。


モンスターを退治する個人事業者として「冒険者」という職業が存在し、これを支援する「冒険者ギルド」という組織が世界規模でネットワークされています。


モンスターを退治することで「冒険者」はレベルアップを果たし、また財貨を得ることが可能です。


異世界(日本)からの「転生者」(転移者等含む)は、その世界の人間が持たない「チート」能力を持つことが多いです。



以上、概観しましたが、これが「異世界」小説の「お約束」です。


こういった「お約束」を踏まえることで、新しい世界観を構築するコストを抑えるとともに、読者にとってもその世界観に入って行きやすくなるという利点があるのです。


ある意味チープですし、こうやって整理していてお粗末さに頭を抱えたくならないでもありませんが、たとえば将棋というゲームが戦争を単純化・抽象化して成立し、そのシンプルなルールの上に奥深い世界を築き上げていることを思うと、案外これは悪くないものとも思えてきます。


少なくとも現在のWeb小説の隆盛は、このフォーマットが共有されるところから来ています。

これは充分以上にたいしたことではないでしょうか。


ベタな軍人が将棋を「子供の遊び」と切り捨てるのが不適切であるように、「異世界」小説を「駄文の集まり」と切り捨てるのは間違いです。


フォーマットの共有とは「文化」そのものです。


「お約束」を尊重するがゆえに、そこからの「ずらし」が大きな意味を持つのです。


精緻なコミュニケーションが可能になるのです。


「異世界転生」ものがなぜ流行るのかという問いの、第一の答えは、そこに精緻なコミュニケーションを可能にする共通フォーマットが存在するから、というものになるでしょう。


「現実」の生活において、ぼくたちの「文化」的活動は削られてなかなか自律できなくなってきています。

「心情」や「価値観」を表現するための「場」が、「経済」優先のポリシーのもと後回しにされないがしろにされています。


わざわざ時間や労力を費やして、「無価値」な「文化」活動にいそしむ贅沢が忌避される。

ぼくたち自身そこまでに値する対象をなかなか見つけることができません。


そんななかでも、「異世界転生」ものが流行っているのはなぜなのか。

これは重要なポイントになるかと思われます。


エルフ等の記述を一文追加しました。

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