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根拠ないけど俺は偉い

「魂」は内臓に宿ると書きました。


「魂」は脳と別個に存在します。

ゆえに「魂」は「脳なし」で、ゆえに「魂」は基本バカです。



「魂」は「俺は偉い」という状況を好みます。

バカだから、根拠なんかは必要ありません。


「根拠ないけど俺は偉い」というのが、「魂」のノーマル状態のあり方です。

すなわち「健やかなる魂」の状態です。


これのバリエーションがいくつかあります。



根拠ないけど、ぼくは正しい。



根拠ないけど、わたしは魅力的だ。



ジトーとした目で見られそうですが、これらは、「健全なる魂」の特徴です。


別パターン。


俺の偉さに根拠はいらない。

ぼくの正しさに根拠は要らない。

わたしの魅力に言葉はいらない。



どうしようもなくバカですね。

でもこれでいいのです。



「健全なる魂」は物語の主人公の基本条件です。

頭のよさも力の強さも関係ありません。

「健全なる魂」を見せつけることが、主人公の唯一にして至高の責務なのです。


主人公がうじうじしたり迷ってばかりではさまになりません。

そんな態度をずっと取っていても、最後にやるべきところではきちんと決めるのが「主人公」というものです。


途中でうじうじするのは、ただの前フリです。

主人公未満のキャラクターが主人公に成長してのけるのが、物語の醍醐味なのです。


いろいろ悩んだけど、やっぱりわからなかった。

でも、俺はこれで行く! と断言するのが主人公というものです。


ここで、最善は無理だから、次善の中で最高のものを選びます、といった脳ミソ頼りなのはダメダメなのです。



物語というのは、主人公がいなければ成立しないものです。

主人公とは、「健全なる魂」のことです。


でもWeb小説の主人公はだいたいにおいて、もっと屈折しています。

「欠陥ある傷ついた魂」です。

まれには「いじけた魂」ですらあります。


これが物語の中で「魂の交流」をいろいろ重ねる中で、「魂の健全さ」を発揮できるようになるのです。

これが物語の醍醐味です。



では、「現実」はどうでしょうか。

ぼくらのほとんどは、「欠陥ある傷ついた魂」であり「いじけた魂」です。


「根拠ないけど俺は偉い」なんて態度は、もう取れません。

厨二病を自覚して以降は、もう無理です。

子どもの天真爛漫さには戻れません。


と、ぼくらは思い込んでいます。


一時、本気でがんばれば、すごくなれた気がします。

でも、次の朝には情けなくしぼんでしまうのです。

あのままがんばり続ければなれるのにと思っても、どうしても続けられない。


これを何度か繰り返して、自分を見限ってしまうのです。


物語のような「魂の交流」は、そうそう都合よく自分のもとに訪れないというわけです。


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