2話 引き裂かれた友情関係
2010年、現在。
新入生(1年生)が入ってから、彼らの生活の変化があった。
それは何かというと……。
3年生side
ロゼとリヴァルはナミとマリアから距離を離していた。
ナミが話しかける。
「ねぇ、ロゼ」
「何?」
ロゼはナミに対して冷たく接する。
「……。何でもない……」
「用がなければ話しかけないで」
「すみません……」
2年生side
「ねぇ、ラドル。ここ最近、オペラとシヴァの様子、おかしくない?」
「確かに…。同じクラスメイトなのに……」
アールとラドルが話していた。しかし、オペラとシヴァは他のクラスメイトと一緒にいるため、2人は話しかける雰囲気ではなさそうだった。
1年生side
1年生の3人は廊下にいた。
「オイ、ラーグ。最近、音楽室にきていないが、どうしたんだ?」
ザークが問いかける。
「……」
ラーグは黙っていた。
「黙っていたら何も分からない。何か話してくれ」
レイムもなだめるように問いかけるが、やはりラーグは何も答えなかった。
その原因は……。
3000年、未来の世界。
パンドラクロスもライトレイも「修行」という名の辛い壁が立ちはだかっていた。両チームの18歳の4人は特に現在の世界では「受験」という名の壁とピリピリした環境で生活しなければならないのだ。
パンドラクロスside
イナーシャとウィルはアリソンの実験室にいた。
「あー……。また失敗……」
「アリソン、また失敗したの?」
「アリソンさんって、おっちょこちょいなんですね」
「ううん。アリソンはいつもそうだよ。ウィル、気にしないで」
「ハイ」
「ん? イナーシャ、何かいった?」
「別に。気にしないで」
フィオナとエリアスは射撃場にいた。
「フィオナさん。パースエイダーはこう持てばいいんですか?」
「そう! できるようになったじゃん! 流石、私の弟子!」
オイオイ、『私の弟子』っていいすぎじゃないのか?
「じゃあ、実際に撃ってみようか♪」
「ハイ」
セロンとラファは……。
フィオナ達と違う射撃場でトレイズの講習(?)を受けていた。
「武器の理論から話させてもらおう。これは手榴弾。これの使い方は安全ピンを抜いて……こうやって持って……そうしたら、投げる!」
ドッコーン!
手榴弾が爆発し見事な爆発音が轟いた。
「わぁーっ!」
「2人とも、怯えていたら闘えなくなるぞ!」
「ハイ。」
ライトレイside
ライトレイのメンバーはそれぞれの武器の訓練や楽器の自主練習などをしていた。
「ティーさん、サラさん、リリアさん、ユアンさん」
「なーに、ロブ。」
「なんだい、ロブ。」
「このように、修行を受けていて辛くなったりした時ってありますか?」
「辛くなったりしたことね……」
リリアとサラが口を開く。
「私とサラは武器はもちろんのこと、楽器の経験がなかったの。その時の師匠とベネディクトは怖かったなぁ……」
「まぁ今となると笑い話になるけどね……。ホントに怖かったんだから!」
「私も最初は凄く怖かったなぁ。師匠って美人だけど怒らせると怖いから」
「俺もそうだったなぁ……。最初はみんな師匠に怒られてばかりだった。未だに最初の方で怒られていないのはロブだけだな」
「そういえばそうね。ロブって師匠のお気に入り?」
「どうだろうね」
ハイ、とても微笑ましいお話であった。
2010年。
チャイムが鳴る。
1年生の3人は教室に戻った。他のメンバーも自分の座席に座る。
1年生はアリアの数学、2年生はエルの国語、3年生はロイドの英語の授業をしていた。ほう……、3人はこんな教科の担当なんだ。
授業終了。
3年生side
彼女らは生物の移動教室のため、教室から出た。ロゼとリヴァルはナミとマリアを避けるように姿を消した。
2年生side
こちらも移動教室。全員体操着に着替えていた。こちらも距離を離している様子。
1年生side
あっ、こちらはお喋りしてるようだ。唯一の移動教室ではない。黒板には、2次関数の話だっただろうか分からないが、何やら書いてあった。
「ホントに答えろよ」
「……」
「あっ、分かった。僕たちを敵に回す気なんだろ」
「敵に回すことはないよ。ザーク、レイム」
「ふーん……。誤魔化さなくてもいいんだぞ」
「だから、誤魔化してないし……」
「なんか怪しい……」
ザークとレイムは顔を見合わせた。
「怪しくなんかないよ。僕を疑わないでよ」
「レイム、ラーグに話しても無駄さ。あっちに行こうか」
「もう、僕たちはラーグを信用しない」
ちょっとした仲間割れか?
ついに1日が終わった。
放課後の音楽室では、ロゼ、リヴァル、ザーク、レイムの4人がいた。
「ロゼさんたち、今日はナミさん、マリアさんはこないんですか?」
「彼女らは週番だから遅れてくるみたいだよ」
「そういうザークたちはラーグと一緒じゃないのね。どうしたの、ラーグは」
「今日の休憩時間にちょっとしたいい合いになってしまって……」
レイムが事情を3年生の2人は話した。
「なるほどね……」
とロゼ。
「私たちも今日、マリアたちを避けていたんだよね、ロゼ」
「うん。まさか、1年生にもこんなことがあるとは思ってなかった」
「ってことは、2年生にも同じことがあり得るということですか?」
「推理が正しければ、あり得る!」
3年生コンビ、凄し……。
「こんにちは! リヴァル、ロゼ、今日は4人だけ?」
エズミが音楽室に駆け込んできた。
「今のところはですね。2年生はまだ1人もきてないので、まだ分かりませんが」
ロゼが答える。
「そっか! 私は今日、暇(注・会議と問題行動がないこと。)だよ。」
「先生は暇かも知れませんが私たちは暇ではありませんよ!」
リヴァルはちょっとイライラしていたらしい。
「ナミとマリアは?」
「2人とも、週番ですよ」
ロゼは冷静にエズミの質問に答えている。
「2年生は今のところまだきてないから……。ラーグはどうしたの?」
「レイム、答えて」
「ハイ、リヴァルさん」
「実はラーグとちょっとトラブルがあって……」
レイムがいいかけたと同時にオペラが音楽室に入ってきた。
「こんにちは。週番だったので遅くなりました。すみません」
「あっ、オペラ、お疲れ様。レイム、続けて」
エズミがレイムに話を進めるように促した。
「それで、僕とザークはラーグに口を利いていないのです」
「そうなんだ……」
「ロゼさん、ナミさんとマリアさんが帰るのを見ましたよ」
「ありがとう。2人は何かいってなかった?」
「いえ、何も」
「無断欠席ですかね……」
「それって、ラーグにも同じことがいえるんではないんですか?」
「かもね……」
オペラとロゼがやり取りをし、今度はロゼとザークとレイムがやり取りをしていた。
「そうそう、今日は私以外の2年生はきませんよ」
「そっか。ありがとう」
「今日はこれで、フルメンバーか……」
「そうですね……」
引き離された友情。
過去と現在を行ききしている彼ら。
なぜ、私たちは友情を犠牲にしてまで闘わなくてはならないのか。