7話 私たちの大切なもの #1
この作品は原作そのままを投稿しています
あとから『改訂版』を投稿しますので、ここでは改稿は行いませんので、ご了承ください
現在、2010年。
学校祭の一般公開日が無事に終わり、ロゼはもちろんのこと、ナミとマリア、リヴァルの3人も引退した。
後任部長は前任部長のリヴァルたちを中心に話し合った結果、アールになった。
12月に入ったある日のこと……。
「なんか先輩たちがいないと寂しいね」
「来年の今頃はここにいなくなるんだね……」
などと話しているやさきだった。
音楽室のドアが勢いよく開き……、
「こんにちは!」
といい、ロゼが登場。
「ロゼさん!」
ロゼは笑顔で手を振ってくれた。
「ロゼさん、今日はどうしてここに……?」
「今日はね、ザークに用があって来たんだ」
「俺に!?」
「うん。図書館で話そうか」
「ハイ!」
図書館
「ロゼさん、話って何ですか?」
「前に私に告白したでしょ? その答えを告げるために音楽室に来たんだ」
「で、その答えはどうなんですか?」
「残念ながら、ザークと付き合うことはできない」
「俺もそう思いました。俺はロゼさんのことをリードして行く自信がないので……」
「で、でもね。ザークには他の部員よりもいいところがたくさんあると思う。ザークはそのいいところ、いわゆる隠れた才能を発揮した方がいいと思うよ」
「ロゼさん……。友達から始めませんか?」
「ザークは懲りないねぇ。だから、付き合えないっていったじゃん!」
「あ、あの……。部活のあと、マクルナルドに行きませんか?」
「ごめんね。部活のあとはちょっとね……」
「すみません」
「いやいや、いいんだよ。私はザークのことは後輩としては嫌いではないから」
「ロゼさん……。突然、告白してすみませんでした」
ザークは彼にとっては辛い思いでいた。しかし、それはロゼにとっても究極な選択肢だった。ザークと付き合うかそれともレイムと付き合うか……。
でも、最終的にはレイムと付き合うことにした。ザークはロゼと付き合うことができないからといって後悔していないのだろうか?
「ザーク、1つだけ聞いていい?」
「なんですか?」
「ザークは私と付き合うことができなくて後悔してる?」
「俺はロゼさんに告白したことを後悔してません」
「そう。ザーク、頑張ってね。ザークの恋、私は応援するから」
「ありがとうございます」
「部活、頑張ってね」
「ハイ」
こうして、ザークは図書館から出て、音楽室に戻った。
時は流れ……、3000年。
パンドラクロスside
フィオナの部屋
フィオナは彼女の部屋にウィルを招いた。
「どうぞ。座ってくれ」
「ハイ。失礼します」
「では、早速、本題に入るとしよう」
「ハイ」
「以前、ウィルは私に告白をしたが、告白をして後悔したのか?」
「いいえ。俺はフィオナに告白をして後悔していません。失恋したことには悔いは残っていますが……」
「ほう……。でも、また新しい恋を見つければいいんじゃないのか? 私は応援するぞ」
「フィオナさん、ありがとうございます」
「どういたしまして。話はそれだけだ」
「分かりました! 失礼しました」
時は戻り……、2010年。
部活終了後……。
図書館
「お待たせ、ロゼ」
「今日、やってた曲、凄くいい曲だったね。今度の演奏会で発表する曲?」
「あぁ。ところでロゼ」
「なーに、レイム」
「その本は何?」
「これ? この本はね、『トワイライト』っていう本でね、アメリカの高校を舞台にした話で、バンパイアの少年がごく普通の女子高生に恋をする話なの。結構、面白いよ」
「へぇー、今度借りてみようかな」
「そうしなよ」
「もう、そろそろ帰ろうか」
「うん」
その時だった。突然、ロゼの手がレイムの手に触れ、2人は手を繋いだようだった。
2人は時間が許されるまで一緒にいたのであった。
時は流れ……、3000年。
パンドラクロスside
こちらでは大変なことが起こっていた。最近、フィオナとエリアスが付き合っていることを知った父親のトレイズは娘のフィオナを呼び出した。
「ここは恋愛禁止だぞ! 分かっているのか!」
「大変申し訳ありません、お父様! キャーッ!」
トレイズはフィオナを椅子に座らせ、ロープらしきもので彼女の細身の身体をグルグル巻きにされていた。
彼は彼女をこれは死ぬんではないだろうかというくらい傷つけた。
その空間は外国のマフィアと被告人のようだった。
「誰か……、助けて……」
彼女は残った体力でその一言だけをいった。
「フィオナ(フィオナさん)!」
「エリアス……。それから、みんな……」
フィオナはかなり衰弱していて、もう生きていられるのは奇跡に近かった。
「なんてことを……!」
怒りを覚えたアリソン以下5人は『トレイズ復讐計画』を企画した。
ライトレイside
電話のベルがけたましく鳴った。
「ん? なんだろう」
リリアが電話を出る。
「もしもし」
『もしもし。こちらはイナーシャ。その声はリリア?』
「うん。そうだけど、なんの用?」
『あのね、今、フィオナがかなり衰弱しているの。それと、私たちのお父様、リリアとサラは知ってるでしょ? 実は私たちとお父様は血が繋がっていないの。今からそっちに向かうから待っててもらっていい? 詳細はあとで話すから』
「うん。分かった」
電話、終了。
「リリア、どうしたの?」
「あっ、師匠。さっき、イナーシャから電話がかかってきて、今からこっちに向かうみたいです。詳細はあとで話すみたいです」
「そう……。緊急召集ね!」
「ハイ!」
パンドラクロスside
「アリソン、ライトレイの敷地に行きましょ!」
「ついに、開始ね!」
「じゃあ、ウィルとエリアスとラファはフィオナの部屋に行って意識が戻るまで寄り添ってあげて。それから、セロンは私とアリソンと一緒にライトレイの敷地にお邪魔するからね」
「了解!」
「イナーシャとセロン、早く乗って!」
「ハイ!」
車のエンジン音が響く。その音はフィオナの意識が早く戻ってほしいと告げているようだった。
エリアスside
3人はフィオナの身体の傷の手当てをしたりしていた。
「意識が戻らないね……」
「でも、植物人間になってでもいいから、彼女に生きてほしいです」
「ん? エリアス、フィオナさんのこと、彼女っていったよね? 突然、どうしたの?」
「いや、別に何でもないです」
「まぁ、エリアスとフィオナさんは恋人同士らしいしね」
イナーシャside
「着いた!」
イナーシャたちはライトレイのものらしきログハウスに着いた。
3人は車から降り、門扉を叩いた。
「ハーイ」
呑気だが、はっきりした声が返って来た。ドアを開けたのはサラだった。
「イナーシャ、フィオナが衰弱してるってホント?」
「ええ。本当よ。それで私たちはここに来たの」
焦っているサラを見たイナーシャは冷静に答えた。
「ライトレイのみなさん、私たちの話を聞いてください!」
突然、アリソンがいった。驚きの表情を隠せないような顔をするライトレイの面子。
「アリソンさん、それはどんなことかしら? できれば私たちにできることがあれば協力してあげられるけど……」
ネロがアリソンに問いかける。
「その答えは僕が……」
セロンが率先して説明を始めた。
トレイズはフィオナとイナーシャの本当の父親ではないことと、フィオナがエリアスと付き合っていることをトレイズが知ってしまって、彼は彼女に暴力を奮い彼女を衰弱させたことを話し、
「それで、僕たちは決心しました。フィオナさんとイナーシャさんの義父であるトレイズを殺そうと思います。これは僕たちが勝手に思ったことです。ライトレイは時と大切なものを取り戻すために闘い、僕たちパンドラクロスは憎しみと恨みを忘れるために闘っている……。しかし、もうこんな離別関係はなくていいと思います。僕たちはもちろんのこと、貴方たちも……。だから、協力してください! お願いします!」
と頭を下げてまでいった。すると、ネロは……。
「分かったわ……。頭を上げて。今の私たちも同じ気持ちよ。協力するわ」
「ありがとうございます!」
「では、早速、行動しましょう! パンドラクロスとライトレイの初の共同作業だ! みんな、車に乗って!」
「了解!」
アリソン、その車に10人乗れるのか?
「あっ……、無理だ。5人で混合で乗ろう!」
エリアスside
「フィオナ、ごめん。僕が傍にいられなくて……」
といった時だった。
「大丈夫……、だよ……」
と声が聞こえた。
「フィオナ(フィオナさん)!」
フィオナは綺麗に涙を流した。
「凄く怖かった……。っていうか、いつも書斎に行く時、暴力を奮われると思うと……。でもね、1つだけいっておく。私とイナーシャは血の繋がった双子の姉妹だけど、私たちとお父様は血の繋がってない人なんだ」
「そうなんですか……」
「そうなんだ。本当のお父さんは私たちがお母さんのお腹にいた時に離婚したらしいし、お母さんは私たちを産んでからわずか2日で亡くなったらしい。だから、私とイナーシャは本当の両親がどんな顔をしていたのか、どんな人なのかを知らないで今日まで生きてきた」
「よって、師匠はフィオナさんとイナーシャさんの義父ってことですよね」
「うん。私たちは大切な両親を失ってお父様のところに引き取られた……」
その時だった。
「ラファ、フィオナの意識はどう?」
せっかくのムードをぶち壊すかのように、アリソンたちが帰って来た。ついでにライトレイのメンバーも……。
「無事に戻りました」
「よかった……」
すると、フィオナが……。
「あれ? なんで、サラとリリアたちがいるの?」
フィオナが怪訝そうに聞く。
「私たちはイナーシャたちに協力してほしいっていわれてアリソンさんと師匠の車でここに来たの」
とサラが答えた。
「そうなんだ……」
「で、協力してほしいことってなんですか?」
ティーがアリソンに問いかける。
「義父復讐(殺人)計画。」
と答えた。
「……」
黙り込むライトレイの面子。すると、フィオナは起き上がろうとしたが、起き上がることは不可能だった。
「で、今日から暫くの間、ライトレイのみなさんはこちらにいてください。緊急会議をするかも知れないので」
「分かりました」
時は戻り……、2010年。
12月も終盤戦になり、クリスマスの日になった。
ロゼたちが引退して1ヶ月が経ったがロゼが週1回のペースで音楽室に来てくれた。
そして、その日の部活は……。
「今日、私とアールは休むから」
「部長代理、頼んだよ!」
「僕も休みます」
とオペラとアールとレイムが部活を休むため、人数が少ないため、今日の部活はなし。
オペラside
「流石に女2人でご飯を食べに行くっていえないよね」
「うん」
レイムside
レイムはロゼを待つために、昇降口にいた。
「お待たせ! あれ、今日は部活はないの?」
「今日は用があるから休むっていったけど、最終的には人数が少ないから部活自体休みなんだ」
「へぇー。今日は2人でいられる時間がいっぱいあるからいいよね」
「ロゼ、渡したいものがある」
「何?」
「誕生日おめでとう」
レイムはロゼにプレゼントをあげた。とても小さい箱を渡されたので驚いたロゼは……。
「わぁー、指輪だ!」
「ペアリングなんだ」
レイムが自分の手を見せる。
「嬉しい! ありがとう! 私も指輪しよう」
ロゼも指輪をする。恋人同士なのは確かだが……。