ある意味不戦勝
コメントとかもらえるとうれしいです。小説を作るのは初めてです
(あいつらはセフィラの加護を受けている。しかも、戦力も不明。下手に戦って傷つくよりは・・・・・・)
そう判断するとイレーヌは黒闇剣を一振りする。
剣を振るった時、強力な風が吹き、砂が舞い上がる。
「・・・・・・っ!」
日向達は砂が目に入らないように、腕で目の辺りを庇う。
「覚えておくことね! 大魔王ルシフェル様や悪魔の兵の力はこんなものではなくってよ!!」
砂ぼこりが舞う中で、イレーヌの声が響く。
砂ぼこりがおさまった時には既に、イレーヌの姿はもうなかった。
「逃げられちゃったね・・・・・・。」
ガブが悔しそうにイレーヌがさっきまでいた場所を見つめながら呟く。
「ミーは無事だったけど、君のパートナーは大丈夫なの?」
その言葉を聞いて、日向の表情は凍り付く。
「そ、そうだ! ミィ!」
急いで日向は倒れているミィに駆け寄る。
「ミィ? ミィ?」
ミィの体を揺すると、目を覚ました。
「よかった、よかったぁ・・・・・・。」
目を覚ましたのを見て、思いきりミィに抱きついた。ミィも嬉しそうに体を擦り付けてくる。
「ん・・・・・・む、ぅ。」
ミーも目を擦りながら起き上がる。
「ミー、大丈夫? 痛いところとか、無い?」
ガブはミーが体を起こすのを手伝う。
「に、にーさま・・・・・・。うん、ミーは大丈夫。セフィラも、イェソドも。みーんな、きちんと在るべき場所に在るから。」
「そっか。急に呪歌を唱え出したから・・・・・・。」
ガブは目に涙を貯めながらも、ミーの頭を撫でる。
「ん・・・・・・。にーさま、心配かけてごめんなさい。」
ここは、きっと感動する場面なのだが、この世界の事が全く分かっていない彼女には、ただの面倒臭い場面でしかなかった。
(早くそんなくだらない仲良し兄妹愛なんか終わらせて。はやく家に帰ってゲームしたいんだけど!)
「いいシーンのところ、申し訳ないのだけれど、これ、どういうこと?」
日向がそう質問すると、二人はきょとんとする。
「どういうことって、どういうこと?」
「ここは、どこ?」
「そんなことも知らないですか? ここはクレスティナ王国の王女が統べる大陸、クレスティナ大陸ですよ。」
ふふん、と鼻を鳴らしながら、得意そうにミーはそういった。
「その言い方、なんかムカつく……。」
こめかみの辺りをピクピクとさせながらも、日向は荒ぶる気持ちを抑える。
「こら、ミー。そんな言い方しないの。」
なんとなく二人の相性が悪いと分かっているのか、言い合いがひどくなる前に、ガブがとめる。
「お腹空いたし、あそこの食堂で何か食べようか。食べながら話せばいいしね、ワルキューレさん。」
ガブは透き通る青い目で、日向を見つめる。
「分かった。でも、あたしお金……もってない。ここの世界に、お金っていうシステムが在るのかは分からないけど。
「あなたの言っていることの意味はよく分からないけど、僕お金持ってるから、心配しなくていいよ。」
「にーさま、にーさま。ミーはシチューが食べたいのです。」
「分かったよ。ワルキューレさん、動物は入っちゃいけないから、適当につないでおいた方がいいよ。」
ガブはミーに向かって優しく微笑むと、日向の方を向いてそう言った。
「分かった。おとなしくしていてね、なんか残しておくから。」
店の近くの柵につないで人名ですると、日向はガブたちに続いて店に入る。
「みゃーん、ここのパンは美味しいのにゃーん」
店に入ると、猫のような耳と尻尾を持った女性がパンにかぶりつきながら、騒いでいた。
(猫……?)
「ワルキューレさん、こっちだよ!」
不思議そうな表情をして猫を見ていると、ガブが手を振ってくる。
「みゃみゃみゃーん、何だかいつもと違う気配の人間が入ってきたのにゃーん。」
ガブたちの座っていたところの隣に座ると、猫の姿の女はクンクンと臭いを嗅ぐしぐさをする。
猫ちゃん存在感ない