セフィロト
「黒闇剣……厄介だな。」
少年がその剣の名前を呼んで、つぶやく。
「何が厄介なの? てか、あんたの名前、教えて。やりにくい!」
「え? 僕の名前、か……ガブでいいよ、ガブで。」
急に話を振られて驚くガブだが、名前を言うと、すぐに何かを考え始める。
「……黒闇剣はね、少しでも斬り付けた相手の、魂を奪ってしまうという、恐ろしい力を持っているんだ。奪われてしまった魂は、持ち主を殺すか、剣そのものを破壊するしかないんだ」
「厄介だね」
「おねーさん、ワルキューレ、ワルキューレっ! だから戦うの、戦うのっ! その七色虹彩刀でっ!」
ミーは日向の持っている、長い剣である七色虹彩刀を指差し、上から目線で命令する。
「どうしてあんたに命令されなくちゃいけないの? しかもあたし、剣の使い方なんか知らないよ」
日向がそういうと、ミーはめんどくさそうにため息をついた。
「もぉー、しょうがないなぁ。本当はこれはしたくなかったけど、なかったけどっ! おねーさんの為にするんじゃないから、これは私と、私の大事なオトモダチの為なんだからね!」
大きな声でミーが叫ぶと、大きく息を吸って、目を閉じる。
目を閉じた瞬間、風の向きや周囲の気配、周りのものが、全て変わった。
『セフィロトの樹、生命の樹に宿りしセフィラよ……。』
ミーが不思議な呪文のようなものをブツブツとつぶやき始める。
「ミー!」
ガブがそれに気付いて叫ぶが、ミーは反応しない。
『私は、セフィラのイェソドを守るもの。私は今、汝に命令する。月を象徴し、シャダイ・エル・カイと言う神の名を持つ者よ。七つの光を放つ……』
「セフィラの力を使うつもり!? そんなこと、させないわ!」
そう叫んで、イレーヌは剣をふるうが、日向がとっさに使いの分からない剣をさやから抜いて、それを防ぐ。
ミーは一瞬目を開いて、周囲の安全を確認すると、また呪文を唱え出す。
彼女の眼は、淡い紫色に光り輝いていた。
『我の望むモノは汝の力。七つの光を放つ剣と、それを司る者に、汝の力を分け与えたまえ……』
「チッ!」
呪文が全て唱えられて七色虹彩刀が淡い紫色の光を帯びているのを見て、イレーヌは顔をしかめて舌打ちをする
(厄介な事になったな・・・・・・。これでは勝てないかもしれない!)
イレーヌは後ろに飛び、日向と七色虹彩刀から距離をとった。