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1. 新生活


「わ〜!ここが私の部屋?!」


 足元のふかふかの絨毯。屋根付きの大きなベッド。落ち着いたモスグリーンの壁紙。頭上のシャンデリア。

 

見渡す限りが超最高級品だ。さすが王宮。次元の違いを感じる。


 ここまで案内してくれた侍女さんにお礼を言って扉を閉める。


自然と込み上げてくる笑みを隠すことをやめ、ふかふかのベッドに飛び込む。

 

「は〜。この仕事、引き受けて良かった〜。」


 見慣れない天井を見つめながらこれまでのことを思い出す。


 先日、私はロアニルダ学園を学年4位の成績で卒業した。上位3位は目立つが4位となると途端に人は記憶しなくなるものだ。


でも、決して成績が劣るわけでもない。

家の名誉を守りながら、平凡を目指す私、リーナ・トワイデルにとってちょうど良い結果が4位なのだ。


 常日頃から平凡に全力を注ぐ私は、建国時から続く名家トワイデル伯爵家の一人娘として生まれた。

 

 母は体が弱かったため、産後体調が悪化して私が3歳の頃に亡くなってしまった。


母がいないことはそれなりに寂しさを感じさせたが、不幸であったとは思わない。

 

 父は母にそっくりな私を溺愛し、ちょっと、いやかなりしつこい。


まあ、そんな父がいたからこそ私は前向きに生きれたのかもしれない。


 光が当たると艶やかに輝くミルクティーブロンドの髪にピンク色の瞳は私の自慢だ。


顔も上の中と言った感じでまぁまぁの美人なのではないだろうか。10人中6人が美人だという程度だろう。


 貴族は平均的に美人が多い。


 私のぐらいのレベルなどザラにいる。


 なので、全体的にいい感じに周りに溶け込めている感じがして気に入っている。


 これが父に似て赤髪金眼で派手めの美人だったらと考えると恐ろしい。母に似て良かったとつくづく思う。


 話を戻そう。4位で卒業した私は学園長に王太子の息子、第一王子の教育係に推薦された。


 学年1位と2位は魔法省に、3位は騎士団の救護団に就職したため、私にこの仕事がまわってきたのではないだろうか。



 トワイデル伯爵家は名家といえど、さほど裕福ではない。この仕事を引き受けない理由もなく、承諾した。

 

 そんな経緯で今日、王宮へやってきた。


 自分の部屋が与えられ、1日3食三つ星シェフのご飯、有給休暇、城の施設の使い放題など好待遇に早くも私は満足感と充実感に満ち溢れている。


「明日は第一王子と対面だから早く寝なくちゃ。」


 寝支度を終えた私は、そう呟いてベッドに潜り込んだ。

 ふかふかの羽毛布団に包まれると、あっという間に眠気が押し寄せてくる。


 王宮での生活。


 きっと穏やかな毎日になるだろう。


 平凡で、静かで、平和な生活。


 ――そう思っていた。


 意識が暗闇に吸い込まれていく中、小さく、かすかに、誰かのすすり泣く声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

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