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面倒な依頼

 まあ結局冒険者なんてのは暴力で物事を解決するのが仕事みたいなもんで、おれもこの世界に来てから魔物討伐やら何やらでさんざん暴力を振るうことにも慣れてきたわけで、でも人間相手に使ったのは今日が初めてかもしれん。

 おれはクエストを終えて宿に戻ってから、なんとなく渚の部屋で渚の膝を枕にして寝転んだ。


「神様、どうかしましたか?」

「んー。もうちょっとこのまま居させてくれ。」

「わかりました。」


 渚の黒い髪がおれの顔のすぐ近くまで垂れる。渚の冷たい手がおれの顔に触れる。渚の指がおれの頬を撫でる。渚の制服の下は創られていないがスカートから伸びる脚は存在する。渚の膝を枕にしたのも今日が初めてだが、冷たくて柔らかくて気持ちいいかもしれん。


「……カミサマ?」


 渚の部屋の扉を開けていたので、おれが渚の膝枕で寝ているところをたまたま通りかかったアンナに見られたみたいだ。ちょうどいい。アンナにも甘えたいと思っていた。おれは起き上がって、渚の部屋の扉の向こうの廊下に立つアンナに近寄った。


「アンナ。ちょうど良かった。やらせろ。」

「え? え? 今?」

「ああ。」


 おれはアンナの身体に腕を回して抱きしめた。アンナの柔らかい腰。身体。アンナのいい匂いがする。


「カミサマ。ナギサさんに見られてるよ?」

「渚のことは気にするな。」

「でも……んっ。……んんっ。」


 アンナの唇を奪う。舌を入れる。アンナが少し抵抗をする。唇を離すとアンナが言った。


「ダメだよ、カミサマ……。まだ仕事残ってるし。夜また来るから……。」

「……わかった。」


 なんとなくおれはアンナに拒絶されるのが怖くなって手を離してしまった。またやりすぎたか……。


「カミサマ。また後でね。」

「……ああ。」

「ナギサさんも。ごめんね、邪魔しちゃって。」

「……いえ。」


 アンナは微笑んでおれに手を振ると食堂の方へ向かった。でも今、少しの間でもアンナを抱けただけで気持ちが落ち着いた気がする。うーん。これはプラス五ポイントだな。


「神様。」

「なんだ、渚?」

「そのポイントというのはいつまで続けるんですか?」

「お前、またおれの心を読んだな? このポイントはお前にこの世界がどれだけ良い世界か教えるために点けてるポイントだ。もうすぐ二百ポイントになるぜ。」

「でも、そのポイントの大半はアンナさんで増えたポイントですよね。」

「ま、まあな。」


 アンナとやるたびに十ポイント追加してるからな。


「じゃあ渚だったらどう点を付けるんだよ?」

「私が点をつけるとしたら、今のところゼロ点ですね。」

「ああ? なんでだよ?」

「自分で考えてみてください。」


 渚はそう言うと立ち上がり、部屋から出ていった。

 おい。なんでゼロ点なんだよ?



 翌日、冒険者ギルドに行くとカウンターのおっさんに呼び止められた。ちなみに渚は珍しくおれについてきていない。


「おい、オレ。昨日は派手にやりやがったな。」

「先につっかかってきたのはあっちだろ。」

「わかってるよ。だからお咎め無しにしてやる。だが少し面倒なことになってな。オレを名指しで依頼が来てる。ウェスベルク様からだ。」

「ウェスベルク?」


 ウェスベルクってこの街の名前じゃなかったか? ……いや、そういえば以前アンナが言っていたな。ウェスベルク家。この街の領主か。たまに依頼主が領主になっているクエストがあるのはおれも把握していた。


「それのどこが面倒なんだ?」

「ほれ。」


 カウンターのおっさんは詳細を告げずにおれに依頼書を渡してきた。

 おれは渡された依頼書を確認した。そこには、王都ノルトベルクに向かい、指名の人物から品物を受け取り期日までに持ってこいと書いてあった。期日は明後日まで。


「……ノルトベルクってどれくらい遠いんだ?」

「往復で三日はかかる。」

「じゃあ、そもそもこの期日は無理だろ。」

「俺もそう言ったんだが、どこで聞いたのかオレのあの噂を聞いたらしい。」

「はあ。どんなクエストも日帰りできるってあれか。」


 その噂を信じてるなら、明後日までって期日はだいぶ余裕を持たせた設定だな、おい。


「ちなみに断ったら街から追放だそうだ。」

「なんだそれ。」


 つまり揉め事を起こしたオレに無理難題をふっかけて追放できれば御の字。万が一達成できても領主は万々歳ってことか。ちっ。面白くねえな。

 だがおれならマジで日帰りは可能だ。おれの部屋を使えば三日の距離も一分で移動できる。


「わかった。受けるよ。」

「いいのか、オレ?」

「ああ。すぐ行って帰ってきてやるぜ。」


 ちょっとしたおつかいで済むなら楽なもんだぜ。


「そうか。すまんなオレ。それじゃ改めて今回の依頼主を紹介するからな。」

「あ?」


 カウンターのおっさんがそう言うと同時に、カウンターの少し離れたところに座っていたフードを被った奴がおれに近づいてきた。

 そいつがフードを取ると、フードの下から金髪の美女が現れた。


「ウェスベルク家のご令嬢、カトリーヌ様だ。」


 ああ?

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