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異世界での生活

 昨晩おれはアンナとやれてしまった。

 アンナの肌の柔らかさと温もりがまだおれの肌の上に残っている気がする。肌の擦れる感触。できるなら何度でも味わいたい。

 おれはこの世界を創った神様で、この世界は数日前におれが創った世界で、この世界のものすべて、アンナもおれが創ったんだよな。

 なかなか良い世界じゃねえか。なんだか窓の外の天気もいい気がするぜ。

 おれは着替えて部屋の外に出た。

 さて、いつものように冒険者ギルドに出かけるとするか。

 宿の入り口にアンナがいた。いつものように掃除をしてるみたいだ。


「あ、カミサマ。」


 おれに気付いたアンナは微笑んでおれに手を振った。アンナの頬が赤い気がする。


「アンナ。」

「カミサマ、お出かけ?」

「ああ。冒険者ギルドにな。」

「気をつけていってらっしゃい。」


 アンナってこんなに可愛かったか? アンナのつり目の顔も、髪も、赤い頬も、唇も、全部愛おしく感じる。これはおれがアンナの裸も内側もすべて知ってしまったからか?

 はぁ。またすぐにでもやりたくなってきたが。でも今はアンナも仕事中だ。


「アンナ。……今夜もいいか?」

「うん。夜になったらカミサマの部屋に行くね。」


 よし。また今夜もアンナとやれるぞ。

 おれは心ここにあらずというか、ふわふわとした足取りで冒険者ギルドへの道を歩いた。



「できればすぐに終わるクエストにしたいぜ。」


 おれは冒険者ギルドでクエストの依頼書を何枚か取って確認した。

 ナナオにもらった地図で依頼の場所を確認する。

 んん〜。泊まりになるクエストはパスだな。今夜は絶対に宿に帰らないといけない。Eランクのクエストは報酬もそこそこあるが、手間もそこそこなんだよな……。


「んー、今日はパスだな。」


 ちょうどいいクエストがない。まあ、そういう日もある。

 しかし、夜までどうやって時間を潰そう? ちょっと街の周りでも見回りするか?


「あ、そうだ。久々におれの部屋に戻るか。」


 あの部屋にならおれが元の世界で持っていた漫画やらゲームやらが置いてある。スマホは使えないが、時間を潰すにはちょうどいいはずだ。そういや、しばらく帰ってない。渚もおれの帰りを待っているかもしれない。

 おれは誰も見ていないことを確認し、適当な扉を別空間のおれの部屋に繋げて中に入った。

 扉の先は元の世界のおれの部屋とそっくりそのままに創ったおれの部屋だ。この空間にはおれと渚しか入れない。


「渚、いるか?」

「はい、神様。忘れてるのかと思ってました。」

「悪いな。」


 おれが呼びかけると、おれの背後で渚の声がして、そこに女子高生の制服姿の渚が立っていた。

 久々だが、渚は相変わらず綺麗な黒髪に整った顔をしている。おれが見たあっちの世界の神の姿そのままだ。


「夜までここで時間を潰す。」

「はい。お茶を入れましょうか?」

「頼む。」


 渚は部屋を出てキッチンへと向かい、しばらくしてコップに入れた紅茶を持ってきた。元の世界の飲み物を飲むのも久しぶりだ。この部屋のキッチンもおれが元いた世界のまんま再現されているのでこういうストックもそのままある。


「ありがとう、渚。」

「いいえ。」

「ずっと留守にして悪かったな。そういや渚は今までどうしてたんだ? この部屋ひとりで退屈だったろ?」

「……? ずっと一緒でしたが?」

「一緒?」

「はい。ずっと神様と一緒に。気付いていませんでしたか?」

「はぁ?」


 渚が首をかしげて見せる。その仕草で渚の黒髪が肩にはらりと落ちたが、そんなことより、ずっと一緒にいた? 俺と一緒に?


「一緒にって、どういうことだ? 渚もずっと異世界ファンタジーの世界にいたのか?」

「はい。姿は消してましたが。」

「なんでだよ! 言えよ!」


 確かに最初の渚は姿がない存在で、おれが渚に今の姿を創ってやった後も自由に消えたりはしていたが、ずっと一緒にいたなんて知るわけないだろ!

 渚が口元に笑みを浮かべて答えた。


「聞かれませんでしたので。性欲解消おめでとうございます、神様。」

「そ、それも見てたのか⁉」

「はい。神様がナナオさんと無理矢理やろうとして失敗したところも、神様とアンナさんの初めての夜も全て至近距離に立って見ていました。」

「お、おいっ!」


 全部、渚に見られてたってことか⁉ おれがナナオに振られるところも、アンナにリードされて果てたおれの姿も全部、渚に見られたってことか!


「い、言えよっ!」

「今言いました。」


 渚は涼しい顔をおれに向ける。こ、こいつ……。

 確かに渚は普通の人間ではなくあっちの世界の神の分身だ。こいつをまともだと思ったおれがバカだった。


「わかった。もういい。」

「はい。」


 おれはベッドに横になった。この柔らかいベッドも久しぶりだ。


「それで神様。」

「なんだ?」

「この世界を続けますか?」

「は?」

「性欲を満たしたのですから、この世界を創った目的は達成されたのでは?」


 何言ってんだ、こいつ? この世界を創った目的? 性欲を満たすため? そういや最初はそんな話だった気もするが、この世界にはナナオもアンナもいるし、みんなこの世界で生きてるんだぞ? 世界を続ける? ……もしも続けなかったらこの世界はどうなるんだ?

 いや考えるまでもない。


「続けるに決まってるだろ。というかおれはこの世界でこれからも生きるぞ!」

「そうですか。まあ、アンナさんと今夜も約束されていましたもんね。まだまだ満たし足りないということですね。わかりました。」

「渚!」


 断じて、そういうことじゃないぞ!

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