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依頼を受けよう③

「今日で四日目だけど、このクエストも今日で終わりにできそうね。」

「ああ、そうだな。」


 墓地の周りを左から時計回りに大ネズミ退治をしてきたおれたちだったが、残すところ五分の一くらいになっていた。

 ここまで稼いだ銅貨は百枚。日本円で五万円か。

 まあ、最終日でもおれたちのやることは変わらない。

 おれとナナオは黙々と感知の魔法のレーダーを頼りに大ネズミどもを退治していった。



 日暮れ前、おれたちは十六匹目の大ネズミを倒してクエストを終えた。

 まあおそらく全部の大ネズミを倒せたわけではないんだろうが、しばらくはこの墓地で眠る霊たちにも平穏が訪れるだろう。

 はぁ。これでナナオとのクエストも終わりか。少し寂しくもあるな。

 おれはナナオに言った。


「ナナオ。」

「なあに、オレ?」

「ナナオさえ良ければなんだが。次のクエストも一緒に受けないか? ほら、おれは神様だが、まだこの世界で知らないことが多いからさ。」

 

 大ネズミのしっぽを掴んで両手いっぱいにぶら下げたナナオがおれの顔を見て答える。


「うん。いいよ。」

「いいのか?」

「うん。やっぱり一人よりも効率がいいよね。オレだったらいいよ。」

「そうか。じゃあ、なんだ……よろしくな。」

「うん。よろしくね。」


 冒険者ギルドで報酬を受け取ったおれたちは、明日もこの場所で落ち合う約束をして別れた。

 なんでナナオはクエストを受ける仲間におれを選んだのか。キースのパーティに参加した時から、いやその前からなんでナナオはおれのことを見ていたのか。帰り道、急におれはそんなことが気になりだした。

 ナナオの故郷の村はどんなところだろうか。なぜ借金をしてまで冒険者になったんだ? いつかおれに教えてくれることはあるのだろうか?

 ナナオの借金を返すことくらいこの世界の神様であるおれなら簡単なことだろう。でもなんつーか、そういうことじゃないんだろうなと思った。それよりも二人でもっと稼げるクエストを受けられるようになって、もっと冒険者のランクを上げる方がいい。

 なんかそんなことを考えているうちに、おれは宿の部屋に戻り硬いベッドで横になっていた。人間こんなところでも慣れれば寝られるもんだ。まあ、布団は創ったがな。


     ◇


 翌朝も冒険者ギルドへと向かうためおれが宿を出ようとしたら、アンナに声をかけられた。


「お。カミサマ。今日も冒険者ギルド?」

「おう、行ってくるぜ、アンナ。」

「いってらっしゃい。私も途中まで一緒にいい?」

「ん?」

「買い物があるの。」

「ああ、いいぞ。」


 おれはアンナと一緒にいるところをナナオに見られたらどうするかなんて一瞬頭をかすめたが、別にナナオに見られたからってなんだってんだ。

 おれがアンナと冒険者ギルドまでの道を歩いていると、途中で人だかりができているのが見えた。

 人だかりの中心に周りの奴らとは少し雰囲気の違う金髪の女が見える。

 

「お? あれはなんだ?」

「あー。あれはカトリーヌ様だね。」

「カトリーヌ?」

「ウェスベルク家のお嬢様。」

「ほお?」


 ウェスベルクってたしかこの街の名前じゃなかったか?

 ウェスベルク家のお嬢様ってことは、もしかしてカトリーヌってのは領主の娘とかか?

 遠目からだが、おれは人だかりの中心に立つ金髪の女を観察した。

 歳はアンナと同じか少し若いか。たしかに言われてみれば着ている服も上等そうで、風になびく金色の髪と、どことなく自信に満ちた笑顔がさまになっている。そしてなにより胸が大きい。


「ああやってよく街に来るの。結構人気あるんだよねえ。」

「ふーん。そうなのか。」

 

 対しておれの隣にいるアンナの胸はささやかだ。

 おれがしばらくカトリーヌの姿を目で追っていると、アンナがおれを小突いて言った。


「カミサマもああいう子がいいの?」

「あ?」

「ずっと見てる。」

「いや。つい、な。」


 そりゃ、お近づきになれるならありがたいが、今のおれはただの冒険者だからな。さすがに接点が無さ過ぎる。あのおっぱいには惹かれないでもないが。


「もう。私は先行くよ?」

「すまん、アンナ。おれを置いていくな。」


 おれとアンナはしばらくまた一緒に歩いたが、アンナが冒険者ギルドとは反対の方向に行くというのでそこで別れた。


「それじゃ、がんばってね。カミサマ。」

「おう。」



 冒険者ギルドに着くと、ナナオがテーブルに座ってクエスト依頼書を何枚か読んでいるところだった。


「ナナオ。すまん、遅くなった。」

「ううん。今、次のクエストを選んでたところ。」

「どんなのがあるんだ?」

「そうね……。これとかどうかな?」


 ナナオが一枚の依頼書をおれに差し出した。


「ジャイアントボアの討伐か。」

「うん。二人がかりならいけそうでしょ?」

「そうだな。」


 ジャイアントボア。大イノシシってとこか。報酬は銀貨一枚。

 今のおれには感知の魔法もあるし、おれはステータスがカンストしているから魔物討伐のクエストなら楽勝だろう。


「じゃあ決まりね。」


 ナナオがおれに笑顔を向けて言う。

 ナナオもこうして見ると可愛い顔してるんだよな。だが、相変わらず鎧をがっちり着込んでいて体の線はわからない。アンナよりも胸はある気がするが、さすがにカトリーヌほどは無いか。

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