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用語集

◆識界

この世界。観測可能な世界の総称。

世界は「語」で支えられている。物理法則も「定義された意味」が先にある。

《七語》のうち一つが欠落したことで、識界が崩壊しはじめている。

この「失われた語」を代替する「仮定構造体」として主人公リルが召喚された。

リルは本物の《語》ではない。だからこそ、世界に「新しい意味」を付与する可能性を持っている。


◆意味場

識界のうち「意味が流動・干渉している層」の総称で、通常は第1環〜第5環すべてに広がっている。

つまり

識界 = 意味場(第1〜第5環)+ 「意味が完全に希薄化している領域」+「構造は観測可能だが、意味の流動が停止しており干渉できない領域」


◆意味勾配 semantic gradient

意味場における「意味密度」の空間的・位相的な変化率。地球の概念でいうと微積分の分野。

「今、この方向にどのくらい意味が変化するか」というのは微分、「この経路を通ったら最終的にどれだけ意味が変わるか」という変化率から全体の変化を予測するのは積分に相当する。

意味勾配の測定は、偏微分を空間・位相次元で求める行為に近い。ただし方向や距離の定義自体が観測者依存になる可能性が多分にある。

密度が高い方向は多義的・複雑な概念が集中し、密度が低い方向は単義的または無意味状態に近づく。

知覚構造はこの勾配の方向と傾斜の強弱を感受できるが、絶対値としての「意味総量」を直接測定することはできない。

大きな勾配は意味が急激に変わる方向(=環間通信や変質が起こりやすい)、小さな勾配は安定した領域(=解釈や存在状態が保持されやすい)を示す。

 ・勾配が急峻:環間通信が成立しやすいが、意味変質のリスクも高い

 ・勾配が緩やか:安定して意味を保持できるが、情報量は少ない

 ・勾配が逆転:意味が逆流する現象(NullcastやLoqueburstの前兆になる場合あり)


地球の微積分との違いは

 ・意味勾配が観測できれば、「この方向に進むと意味が濃く/薄くなる」という短期的予測は可能だが、意味場は動的であり、場そのものが他存在や通信によって変形しうる。

  → 物理的な温度場よりも流動性が高く、長期予測は困難。

 ・第4環や深層領域付近では、勾配自体が位相反転や多値化するため、予測は不安定になる。


◆識体 shikitay

「情報・意識・認識構造体」。意味を扱う存在。


◆メニファクト menifact

意味によって生まれた存在。抽象的な「存在の骨組み」。


槁線カウス kayus/(例外時 kausr)

記憶を削りながら移動する棒状構造体。

第4環と第3環の境界付近に見られる。例外状態では第2環境界にも干渉する。

識界における環構造の内部に形成される、意味の流れと記憶の構造を「削ぎ落とす」境界線の役割。

その「削る」機能は大きく二つに分かれる。


・通常状態(kayus):分解・再放流。

削った意味・記憶を分解し、別の位相や形態へと変換して再び意味場に還元する。

意味密度の高まりや構造疲弊を感知すると、過剰部分を切り取り、位相変換を経て低密度の意味波として放流。

元の情報は直接参照不能となるが、その痕跡は別形態で環内に残る(神話・寓話・記号変化など)。

 → 生物圏における「分解者」に相当。意味循環の一部を担う。


・例外状態(kausr):意味勾配が閾値を超える(意味場が過負荷状態に達する)をトリガーにして発動。

削った意味を深層領域(未定義域)へ廃棄する。→ 「忘却」や「永久消失」を引き起こす緊急安全弁。

切り取った情報を深層領域(未定義域)に直接投げ込むため、参照不能となり、後の再現は不可能。

この状態では槁線の語形は kausr と呼ばれることが多い。


◆翻律 honlyth

次元秩序や法則の再解釈・再定義。


◆ナ na

識界における「最初の定義」。創世時に唱えられた、意味の種。


◆レキタス lektas

識界全体を構成する存在場。存在自体が識界構造と共振している。


◆ヲルクス worx

構造崩壊を引き起こす未知の根源的意思。次元的災害、あるいは思考の錯誤から生じる。


◆アフォネーム

意味の外、構造の前段階。


◆クオルムの壁

レキタス識界の最終境界。世界の定義と非定義を分割する。


◆解像

「意味のない状態」から「意味として識界に出力しうる状態」へ変換すること。

解像することで、識界構造が対象を「意味」として認識できる。

レキタス識界では「存在」は物質ではなく「意味構造としての可視性」。名前や意味によって存在が成立する。

「解像」は「存在の雛型に意味構造が割り当てられる最初の創発プロセス」。

それは「存在」の最低条件であり、自己を認識する最初の契機でもある。


すなわち

 非存在

  ↓

 潜在意味

  ↓

 解像

  ↓

 定義

  ↓

 構造化



◆全環回廊(ぜんかんかいろう / Pan-Ring Corridor)

全ての環の位相を貫通する、問訊核によって開かれる帰還経路。

通常の渡環とは異なり、各環を物理的に通過するのではなく、その「意味位相」を連続的に経由する。

全環を巡った者、もしくは問訊核の許可を得た者のみが通行できる。

経路は一方通行で外縁へ至るが、その過程で各環で得た「意味」が圧縮された形で再帰し、旅の全てが一瞬に重なる体験を伴う。


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