39 カイン視点2
「先程ソフィアから私宛に郵便が届いた。私宛に、だ。中身はクッキーだった。ただそれだけだ」
それを聞いた息子達が俺の持っていたクッキーを箱ごと奪っていった。
「このクッキー、怪しいな。 ……美味い! 魔力が湧き上がってくるぞ?」
フィンが余計な事を言うから会議に参加している魔法使い達に一枚ずつ振る舞う事になってしまった。
くそっ。私のクッキーなのに。
そして一同驚きを隠せず、ソフィアのクッキーに議題が移ったのはしかたがないな。
本来魔力の受け渡しは相性があり、受け渡すには相手の魔力に形を合わせるか、魔石を通して受け渡すことができる。
クッキーは魔石と同じような役割を持っているのだろうか?
それともソフィアの魔力は形がないのだろうか?
そもそも我々魔法使いは基本的に貴族で構成されているため、料理などしたことはないし、発想も無い。
これはことと次第によっては食事の革命が起こるかもしれない。
本来の会議そっちのけでまず食材に魔力を込められるのか調べていくことが決まった。
次の日も夜になると、私宛にカップケーキが届いた。レオンは筆頭補佐官だ。同じ部屋で仕事をしているため、ソフィアからの郵便がバレた。
カップケーキは四つある。仕方がない。息子達を呼ぶ。
「お茶を淹れて休憩だ」
メッセージには『今日はカップケーキを練習してみました。お仕事頑張って下さいね』とある。ソフィアは今お菓子作りにハマっているのか。お茶と共にカップケーキを一口食べてみる。
こっ、これは!?
レオン達も薄っすら光っている。本来の回復魔法に比べれば格段に効果は落ちているがそこは問題ではない。
「父上、これ、ヒールが掛かってル。凄い、ソフィア。飛ぶネ!」
テオが興奮している。食べ物に魔法が込められるとは知らなかったな。
これは凄い。昨日に引き続き、可能性が広がるな。
私はカップケーキを一口また一口と噛み締めながら食べた。美味しかった。この日も深夜までお仕事だったが、ソフィアに助けられた。
我が娘に感動だ。
次の日も夜に魔法郵便でソフィアからのお菓子が届いた。二日連続ともなると、息子達は目敏く魔法郵便を察知し、部屋に入ってくる。
「お前達は呼んでないぞ?」
「父上、先程の郵便はソフィアからでは? その箱からソフィアの魔力を感じます」
ぐっ。バレている。
息子達は私に次ぐ者だけあって優秀だ。箱を開けると中身はパウンドケーキだった。三本入っており、これは切って魔法部管理室の皆も食べさせるか。
今日もヒールが掛かっているのか? よく視ると、何やら混合魔法が込められている!? 一口食べてみると、レオン達がびっくりする。
「父上、今日のお菓子は魅力が増すようですね。それと素早さかな」
メッセージは『お仕事を頑張る姿、素敵です。後少し頑張って下さいね』心温まる言葉が書いてあった。
皆に振る舞うと、少しだが、皆の周りがキラキラしている様に見えている。男同士で深夜に魅力がアップしても困るのだが……。
皆、一様に無言だ。
ソフィア、可愛い娘だ。素早さもアップしたので仕事も捗るな。
明日は早く邸に帰ろう。




