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三年生の三分の一を過ぎる頃にはほぼ午前しか授業がない。
何故かというと、三年生ともなると、就職活動や魔法実技で出かけている事が多く、授業が成り立たない日が沢山あるからだ。
座学の勉強としては二年生、三年生の最初のうちにほぼ終わりあとは魔法科の生徒は騎士科の誰かとペアを組み、魔物討伐に向けた訓練を行っていく。後半からは本当に討伐に出るようだ。
さて、今日は騎士科の方と合流し二人一組のパートナー決めを行う日だ。騎士科の人達の方が多いので溢れた人はどこかに入れてもらい、三人組みとなる。
騎士科で知っている人と言えば、元婚約者のノア様位なのよね。これから卒業までの期間はパートナーと過ごす時間が多くなるのでなるべくパートナーとは良い関係でありたい。
「魔法科の生徒と騎士科の生徒は成績順に並びなさい」
先生の声でみんなが並びはじめる。
私はもちろん先頭。
騎士科の一位の人は……ノア様だ。
こちらの事情を先生たちは考慮してくれることはないらしい。成績順なのは能力に差が出すぎると討伐などに支障が出るという理由のようだ。
やりづらいわ。
どうしましょう。
と、とりあえず挨拶は大事よね。
ノア様と向かい合うのが少し気まずく、淑女の仮面で頬笑む。
「シアン侯爵子息様。宜しくお願いします」
「もう、ノアと呼んでくれないのか?」
「では、ノア様とお呼びしますね」
ノア様が手を差し出そうとした時、斜め後ろから声が聞こえてきた。
「俺、あぶれ組なんだけど、ここに入れてくれないかな?」
そう言いながら騎士科の人が私の隣に来た。気軽な感じで声を掛けてきたその人は和かな笑顔でこちらを見ている。
「ルイ。お前は別のパーティーへ行け」
「いいじゃん。減るもんでも無いし、むしろ人数が増えた分、討伐は楽だよ?」
「ソフィアちゃん、宜しくね。俺の名はルイ・オーカー」
「私は構いません。私達の組にどうぞ。オーカー伯爵子息様、宜しくお願いします。ところで、オーカー伯爵子息様は私の名前を知っているのですね」
「やっぱりこの組には俺が必要だよな。俺の事はルイでいいから! 名前を知っている理由? ソフィアちゃんは美人で学年トップの成績。そりゃ、有名人だから知っているさ」
「美人だなんて。褒めても何にも出ないですよ」
ノア様は最初こそ嫌そうにしていたけれど、三人組は討伐が楽になるからその方がいいと先生の勧めもあって反対することはなかった。
正直なところ、ノア様と二人では気を使うし、ルイ様に感謝しているわ。
ちなみにモニカ様とリナ様のパートナーは格好いいと評判の方でした。二人は笑顔でパートナーと話をしている。
あぁ是非、ノア様とのパーティーをモニカ様、リナ様、交換して下さい!
私の心の叫びは無常にも届くことはないようだ。
今更だがノア様もルイ様も見目麗しい。二人とも婚約者がいるのに女生徒からのデートの誘いが絶えないのだとか。ノア様の婚約者は言わずもがな。ルイ様の婚約者はどんな可愛い方なのか。
これからはこの三人で行動する事が多くなる。一緒にいないと大事な場面で息が合わず、怪我に繋がると誰かが言っていたわ。
けれど、婚約者のいる方に心配を掛けないように配慮は必要ね。
「よし、組み分けは終わったな。では、これから長い時間共に過ごすためにお互いに理解が必要だ。まず自己紹介をするように」
先生の言葉で私たちは自己紹介を始める。
「改めて自己紹介します。ソフィア・オリヴェタンです。王宮魔法使いを目指しています。先祖返りとも言われるほどの魔力があるため、お二方にご迷惑をかけるかもしれませんが、どうぞ宜しくお願いします」
「ノア・シアンだ。近衛騎士を目指している。ソフィア、宜しく」
「なんだよー。俺には宜しくはないのか? 冷たい奴だ。俺も自己紹介するね。ルイ・オーカー。俺はそこそこの魔力持ちだが、騎士を目指してるんだ。
目指すは騎士団長! 剣の腕としてはノアに及ばないが、魔法剣を使える特殊な人材なんだ。美人なソフィアちゃんとは仲良くなれそうだし、このパーティーで良かった! 宜しくね」
明るいルイ様に救われながら自己紹介も終わり、この日は解散となった。
私は胸をなでおろし、モニカ様達のところへ向かう。
元婚約者と一緒のパーティーになってしまった。うぅっ、胃が痛いわ。絶対、ミリアが難癖をつけて突撃してくるに違いないもの。
教室へ戻るソフィアの姿をノアがじっと見つめていたことを彼女は気づいていなかった。




