1 プロローグ
リメイク作品です。
宜しくお願いします
「ソフィア。学院での成績は魔法科で一位、総合に三位か。お前ならもっといけると思っていたが。我が家の誇りを傷つけぬようもっと頑張りなさい」
父は相変わらず仕事をしながら話をしてこちらに目を向けようともしない。
「……はい。お父様」
私はグッと手を握りそう答えると、一礼し、父の執務室から退室する。
――この国には魔法が存在し、魔物も存在する。
建国当初の魔法使いは豊富な魔力を持っていたが、年月が経っていくうちに徐々に魔力量は減り始め今では魔法を使える者は減り、平民はほとんどいないと言っても過言ではない。
そして魔力は遺伝によるところが大きい。
平民で魔力があるとすればどこかの貴族のご落胤と考えて間違いはないといっていいだろう。
貴族達は魔力を持つことが一種のステータスと考えており、貴族は魔力を持つ者を平民であろうと囲い込む。
もちろん貴族の子供達は魔力持ちであれば手放しで喜ばれる状況であり、魔力がある者は貴族社会で引く手数多なのが現状である。
また、魔力量が多ければ多いほど婚姻事情は明るい。生まれた時から婚約者がいるのもざらである。
この国では五歳になると全ての国民は教会で魔力の有無判定を行うのだが、この魔力判定後に魔力を持つ子供たちの婚約が殆ど決まってしまうほどだ。
教会で行われる魔力の有無判定で一定の魔力が確認された者の大半は国の支援で学院の魔法科へ入学する事になっている。もちろんそれは国がより良い魔力持ちを確保したいためである。
さらに魔力持ちは魔力の影響と思われるが、魔力無しの人に比べて長生きが多い。王族と魔力無しでは倍以上違うのだ。
魔力のない平民は寿命が短くなってしまうため、貴族との婚姻は爵位もそうだが寿命も違うため難しいのが実情のようだ。